馬渕治好氏【日経平均戻り加速、4月新年度相場の見通しは】 <相場観特集>
―ウクライナ情勢の不透明感と米金融政策への警戒は織り込みか―
3連休明けとなった22日の東京株式市場は、日経平均株価が6連騰と戻り足を強め2万7000円大台を回復した。日経平均の上げ幅は一時450円を超える場面があった。前日の欧州株市場は高安まちまちで、米国株市場はNYダウなど主要株価指数がそろって安くなったが、東京市場の上値追い基調は継続した。3月期末を目前に控えるなか、4月新年度相場も含めた今後の見通しについて、ブーケ・ド・フルーレットの馬渕治好氏に意見を聞いた。
●「4月相場で2万8000円台も」
馬渕治好氏(ブーケ・ド・フルーレット 代表)
日経平均は6営業日続伸で一気に2万7000円台を回復してきたが、ここまでの戻りは空売り筋の買い戻しによる先物主導の切り返しではあったものの、足の長い資金による実需買いもそれなりに入っていたと感じる。リバウンドの背景には注目されていたFOMCを通過したことによる不透明感の後退と、世界的なインフレ懸念を助長していた原油価格の高騰も最高値からみればとりあえず一服したことが挙げられる。また、米小売売上高など最近発表された米国の経済指標が思ったより強いことが過度な不安心理の後退につながった。
タカ派色を強めるFRBの今後の動きが警戒されるとはいえ、それでも日米株式市場は段階的に織り込んでいくことが予想される。また、ウクライナ情勢についても同様であり、ロシアに都合の良い形での停戦は困難であると思われ、その意味では長期化懸念も拭えないが、株価的にはそうした事情を織り込みつつ、上昇トレンドを形成することが可能と考えている。
米国株市場では、今後も基本的にリスク選好の地合いが継続するであろう。NYダウは4月後半にかけて3万5000ドル台での推移となり、機を見て3万6000ドル台をうかがう展開が想定される。
国内に目を向けると、きょうから「まん延防止等重点措置」が全面解除となったことで、内需株にはポジティブ材料となる。外国為替市場でドル高・円安が急速に進んでいることは企業コストの上昇につながるとはいえ、1ドル=120円前後の水準から更に加速度的に円安方向に振れることは考えにくく、過度に警戒する必要はなさそうだ。為替の動向が落ち着けば投資家心理は改善するとみている。
日経平均は中長期波動で考えて年後半に向け上昇基調が続くとみている。4月下旬まで向こう1ヵ月のタームでは、戻り売りをこなしながら2万8000円台乗せをうかがう強調展開を予想している。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(まぶち・はるよし)
1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米MIT修士課程修了。米国CFA(証券アナリスト)。マスコミ出演は多数。最新の書籍は「コロナ後を生き抜く 通説に惑わされない投資と思考法」(金融財政事情研究会)。日本経済新聞夕刊のコラム「十字路」の執筆陣のひとり。
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