大塚竜太氏【企業の決算発表突入でどうなる日米株式市場】(2) <相場観特集>
―日経平均株価2万7000円割れで弱気ムード台頭か―
週明け11日の東京株式市場は日経平均株価が反落し、2万6800円台まで水準を切り下げている。米長期金利の上昇やウクライナ情勢など不安要因を抱えるが、そうしたなか今月下旬から企業の決算発表が本格化することで、マーケットには緊張が走っている。ここからの日米株市場はどう動くのか、米国株市場の動向についてはフィリップ証券の笹木和弘氏、日本株市場の動向については東洋証券の大塚竜太氏にそれぞれ話を聞いた。
●「上値は買わず押し目買いに徹する」
大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)
東京市場は4月後半からゴールデンウイーク明けにかけ、しばらく様子見ムードで方向感の定まりにくい地合いが想定される。日経平均株価は、下値については2万7000円近辺、上値は2万8000円を上限ラインとするボックス圏推移の可能性が高いとみている。
この時期は企業の22年3月期の決算発表を控え、目先模様眺めムードが出やすいタイミングであるが、地合いが上下どちらか一方向に傾くこともなさそうだ。強弱観対立で一進一退の展開が予想されるなか、上値に飛びつかず、あくまで押し目買いに徹して報われる公算が大きいと考えている。
主要製造業の決算では2月決算の安川電機 <6506> がトップバッターで注目されていた。前期も今期予想もいずれも大幅増益となっているが、株価材料的には微妙なところである。前期営業95%増益も事前計画には未達であり、発射台が低くなったところで今期36%増益予想は、正直ポジティブには評価しにくい。今期も下振れするのではないかという思惑も拭えない。実際、同社の株価はいったん買われたものの、その後値を消しているところをみると、今後の主力輸出株の決算絡みの動きにも注意が必要といえそうだ。
米10年債利回りがここにきて急速に上昇しているが、これについては日米株式市場ともに織り込みが進んでいるとみている。ウクライナ情勢については、仮にロシアとウクライナが停戦で合意しても、ロシアに対する経済制裁がすぐに解かれるわけではないので、過度な期待はできない。ただし、現状はウクライナ問題が以前ほど相場を揺らす材料ではなくなっていることから、深押しがあれば、そこは買い場となるだろう。
物色対象は半導体関連の突っ込みリバウンド狙いの買いか、内需株ではリベンジ消費が期待される小売関連で業績内容の良い銘柄の見直しが進むと考えている。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。
株探ニュース