配当期待が最も大きい銘柄のランキングで2位はJT、ではトップは?
第3回 日本株&アメ株で勝つ人(データ分析・全体編その3)
日本株&アメ株で勝つ人~個人投資家4800人の調査で判明!
ビジネス誌、マネー誌などを経て、2018年4月にみんかぶ(現ミンカブ・ジ・インフォノイド)に入社。現在に至る。
全体編その1「日本株で含み益が最も大きい銘柄のランキング・トップは『オ』で始まる銘柄」を読む
全体編その2「あの海運株がトップに、売買益期待が最大・2番目・3番目の各上位30は!」を読む
『株探』編集部が実施した第2回 「株探-個人投資家大調査」(2022春)のデータ分析・全体編の3回目は、
今後6カ月の日本株の投資態度や狙い方
日本株投資で注視する指標および情報
配当期待が最大・2番目・3番目について、各上位30のランキング
――などを紹介する
今後6カ月先の見通しは「中立」「弱気」「強気」の順
まず、今後6カ月先の投資態度については、「中立」がトップで、次に「慎重」、そして3番目が「強気」となった。米国の金融引き締めとロシアによるウクライナへの軍事攻撃、そして急速なインフレ進行などで、強気になりにくい状況を反映している。
昨年の調査では、強気が45%と最も多く、慎重の21%を2倍上回る水準となっていた(参考)。
■今後6カ月先の見通し
順位 | 見通し | 全体 |
1 | 中立 | 33.8% |
2 | 慎重 | 31.4% |
3 | 強気 | 27.8% |
4 | 分析中 | 7.0% |
強気と弱気の理由を示したのが、以下の2つの表だ。
強気の理由を上位から見ていくと、トップが「下落からの反発期待」となり、わずかの差で「景気・業績の拡大期待」が続き、3番目が「地政学リスクの後退」だった。
4番目は「追加経済対などの政策期待」となったが、その割合は約16%と、3位の約52%から36%ポイントも低い水準だった。
足元では、参院選を念頭にした補正予算の編成が永田町での話題になっている状況だ。だが、1カ月~半月前の回答時点では、「追加経済対策」に対して期待する個人投資家は多くないという結果だった。また「日銀の緩和継続への期待」も14.6%と低水準となっている。
■強気の理由
順位 | 理由 | 全体 |
1 | 下落からの反発期待 | 59.2% |
2 | 景気・業績の拡大期待 | 56.6% |
3 | 地政学リスクの後退 | 51.9% |
4 | 追加経済対策などの政策期待 | 15.8% |
5 | 日銀の緩和継続 | 14.6% |
6 | 米中間選挙での政策期待 | 13.2% |
7 | 米金融政策の緩和転換 | 10.6% |
8 | その他 | 8.0% |
注:回答は3つまで。母集団と回答数は1612と3043。
合計は100%を超える
根強い「岸田政権への政策不信」
弱気の理由のトップは、「地政学リスクの深刻化、長期化懸念」で約61%の回答者が挙げた。2番目は「岸田政権の政策不信」で、その割合は約58%と1位とほぼ同水準となった。
昨秋、「新しい資本主義」を掲げる岸田政権の誕生に、株式市場は「岸田ショック」で反応したことは記憶に新しい。その状況は半年ほど経っても、投資家の間では根強く残っている状況が見て取れる。
それは、岸田政権への政策不信を挙げた回答者の割合が、3位の「米国の金融引き締め」と4位の「景気・業績の悪化」より20%ポイント近く高いことからもうかがえる。
米国の金融政策や景気・業績は、世界中の投資家が注視する材料。そんな"王道の懸念材料"よりも、岸田政権への不信が高いのは、ホームカントリー・バイアスを考慮しても特異な状況かもしれない。
■弱気の理由
順位 | 理由 | 全体 |
1 | 地政学リスクの深刻化・長期化懸念 | 60.9% |
2 | 岸田政権の政策不信 | 57.7% |
3 | 米国の金融引き締め | 41.7% |
4 | 景気・業績の悪化 | 39.5% |
5 | 日銀の緩和政策の変更 | 24.1% |
6 | 投資家心理・需給の悪化 | 21.8% |
7 | 米政権の基盤悪化 | 8.8% |
8 | その他 | 4.3% |
6カ月先の狙い方については、「売上・利益の高成長」に注目するがトップで、次に「割高回避」だった。前回記事で見たように回答者の投資スタイルはバリュー重視が最大であったが、全体の回答では、「インカムゲイン重視」や「ディフェンシブ系への配分増」の選択は低かった。
ただし、バリュー派だけで見れば、
トップは「割高回避」、
2番目が「売上・利益の高成長」、
3番目が「インカムゲイン重視」、
4番目が「期待のテーマへの配分増」
――となっている。
グロース派の中では、
トップが「売上・利益の高成長」、
2番目が「成長セクターへの配分増」、
3番目が「期待のテーマへの配分増」、
4番目が「割高回避」
――となっている。
バリュー派は割安成長株を狙う層が多く、グロース派はスタイル通りに業績モメンタムが強い銘柄を狙いつつ、足元では株価水準が高いものは回避しようとしている姿勢がうかがえる。
■6カ月先の狙い方
順位 | 狙い方 | 全体 |
1 | 売上・利益の高成長 | 44.5% |
2 | 割高回避 | 41.8% |
3 | 期待のテーマへの配分増 | 35.1% |
4 | 成長セクターへの配分増 | 30.9% |
5 | 株価モメンタム重視 | 19.9% |
6 | インカムゲイン重視 | 18.9% |
7 | ディフェンシブ系への配分増 | 12.4% |
8 | 高ボラ回避 | 10.0% |
9 | 景気敏感系への配分増 | 7.7% |
参考にしている指標・情報は以下の通りになる。
■参考指標・情報
順位 | 参考指標・情報 | 全体 |
1 | 国内の株価動向 | 57.5% |
2 | 米国の株価動向 | 50.0% |
3 | FRBの金融政策 | 48.6% |
4 | 米国の金利・物価水準 | 36.3% |
5 | 日本の政策 | 35.2% |
6 | 日経22の5先物・オプション | 33.5% |
7 | ドル円為替レート | 33.2% |
8 | 米国の政策 | 31.0% |
9 | 日銀の金融政策 | 28.7% |
10 | 米雇用統計 | 21.9% |
11 | 国内の金利・物価水準 | 19.4% |
12 | コモディティー価格 | 16.9% |
13 | 中国の政策 | 12.1% |
14 | 投資部門別売買状況(東証) | 9.3% |
15 | 日銀短観 | 9.2% |
16 | 国内外の実質GDP成長率 | 6.9% |
17 | 国内の雇用・賃金に関する統計 | 4.9% |
18 | ない | 4.6% |
19 | 貿易もしくは経常収支 | 4.4% |
20 | その他 | 3.5% |
21 | 日銀の展望レポート | 3.2% |
22 | 中国のPMI | 2.4% |
23 | ドルインデックス | 2.3% |
24 | OECD景気先行指数 | 2.0% |
「利回り2桁台」の海運株、トップ3に2社
最後に、配当期待の大きい銘柄のランキングを紹介する。大きさを「最大」「2番目」「3番目」と分けて、それぞれの上位30を以下に掲載した。
配当期待が最も大きい銘柄では、トップ3に配当利回りが2桁台の郵船<9101>と商船三井<9104>がランクイン。さらに1回目の記事で見た含み益が最大の銘柄のトップだったオリックス<8591>も3位になっている。配当利回りが2桁台の海運株では、1回目の記事で含み損の大きい銘柄の29位に入った乾汽船<9308>も入っている。
なお、下に記載した銘柄のうち重複を除いた42銘柄について
業種、
時価総額、
配当利回り、
3期平均配当性向、
総還元性向、
をまとめた表を、次ページに掲載した。こちらはプレミアム会員向けとなっている。
次回データ分析・全体編では、『株探』および『株探プレミアム』の活用内容、日本株以外の投資対象の動向、そして株主優待の期待が大きい銘柄のランキングなどを紹介する。
■配当益期待が1番目・2番目・3番目に大きい銘柄
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。