アメ株で含み損が最大のトップは「T」、では含み益最大のトップは?
第5回 日本株&アメ株で勝つ人(データ分析・アメ株さん編その1)
日本株&アメ株で勝つ人~個人投資家4800人の調査で判明!
ビジネス誌、マネー誌などを経て、2018年4月にみんかぶ(現ミンカブ・ジ・インフォノイド)に入社。現在に至る。
日本の会社と比べると、とっつきにくい印象もあるアメ株(米国株)。
しかし、この10年の間に株価を何倍にも膨らましてきたGAFAM*は、今や「毎日利用しない日はない」と言っても過言でないほど日本人には馴染みのある存在になっている。
*米国のグーグル親会社のアルファベット、アップル、旧フェイスブックのメタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフトの略
生活に密着したサービスを繰り広げる企業の株は投資対象としても魅了する存在になってきたこともあり、アメ株(米国株)に投資する人たちの裾野が広がりつつある。『株探』編集部が実施した第2回 「株探-個人投資家大調査」(2022春)は、こうした変化も踏まえて、アメ株の投資状況も調査に加えた。
その結果を、これから3回に分けてお届けしていく。初回は、アメ株投資家の属性や、調査時点で含み益および含み損が最大と回答した銘柄のランキングになる。
日本株に投資している人の36.5%がアメ株に投資
まずは、アメ株に投資している人の割合について。日本株投資家の4765人のうち、アメ株に投資している人は1740人と全体の36.5%を占めた。
■アメ株投資の状況
割合 | |
している | 36.5% |
していない | 63.5% |
アメ株投資家の性別、年齢構成、職業、年収は以下の通り。
男女比は大きく変わらないが、アメ株投資家の女性比率は、調査全体の回答者の比率より僅かだが上回っている。
年齢構成も全回答者の傾向と大きく変わらず、50歳代がトップで、次に40歳代、そして60歳代、30歳代と続く。あえていえば、アメ株投資家は20~50歳代が全回答者の構成割合が高めになっている。
その一方で70歳以上は、全体の割合より半分程度の水準となっている。70歳以上の場合、日本株の投資歴が20年以上の人が過半を占めており、慣れ親しんで来た日本株以外に手を伸ばすことを控えている可能性がある。
■性別
性別 | 順位 | アメ株 | 順位 | 全体 |
男性 | 1 | 86.8% | 1 | 87.4% |
女性 | 2 | 13.1% | 2 | 12.5% |
その他 | 3 | 0.1% | 3 | 0.1% |
■年齢構成
何歳代 | 順位 | アメ株 | 順位 | 全体 |
50 | 1 | 27.8% | 1 | 25.9% |
40 | 2 | 25.5% | 2 | 22.3% |
60 | 3 | 18.2% | 3 | 22.0% |
30 | 4 | 17.2% | 4 | 13.2% |
70以上 | 5 | 6.3% | 5 | 12.6% |
20 | 6 | 4.9% | 6 | 3.9% |
10 | 7 | 0.1% | 7 | 0.1% |
■職業
職業 | 順位 | アメ株 | 順位 | 全体 |
会社員等 | 1 | 54.8% | 1 | 47.8% |
定年退職後 | 2 | 11.6% | 2 | 17.8% |
自営業 | 3 | 9.9% | 3 | 10.0% |
パート・派遣社員等 | 5 | 5.5% | 4 | 6.4% |
会社役員等 | 4 | 6.6% | 5 | 5.1% |
専業主婦・主夫 | 7 | 2.8% | 6 | 3.1% |
専門職 | 6 | 3.5% | 7 | 2.8% |
専業投資家 | 8 | 2.2% | 8 | 2.6% |
その他 | 9 | 1.8% | 9 | 2.5% |
求職中 | 10 | 1.0% | 10 | 1.2% |
学生 | 11 | 0.4% | 11 | 0.5% |
■収入
年収 | 順位 | アメ株 | 順位 | 全体 |
200万円未満 | 6 | 8.5% | 7 | 3.6% |
200万~400万円未満 | 2 | 19.1% | 4 | 10.9% |
400万~600万円未満 | 1 | 27.5% | 2 | 24.3% |
600万~800万円未満 | 3 | 17.0% | 1 | 26.7% |
800万~1000万円未満 | 4 | 11.1% | 3 | 14.3% |
1000万~1500万円未満 | 5 | 9.4% | 5 | 9.6% |
1500万~3000万円未満 | 7 | 4.1% | 6 | 7.4% |
3000万円以上 | 9 | 0.8% | 8 | 2.5% |
無収入 | 8 | 2.5% | 9 | 0.8% |
投資歴1年程度が40%、2~5年程度が45%
いつからアメ株に投資を始めたのか聞いたところ、最も多かったのが投資歴2~5年程度で、全体の45%を占めた。次に多かったのが投資歴約1年で、約40%になっている。
アメ株投資家の「日本株の投資歴」を見ると、最も多いのが「2~5年程度」とアメ株と同じ。次が「10~20年程度」で、「1年程度」は4番目だった。
■アメ株の開始年
開始年 | 順位 | アメ株 |
2018~20年 | 1 | 44.9% |
2021年以降 | 2 | 39.5% |
2013~17年 | 3 | 9.5% |
2003~12年 | 4 | 3.4% |
1993~2002年 | 5 | 1.4% |
1992年以前 | 6 | 1.2% |
■アメ株投資家の日本株の投資開始年
投資開始年 | 順位 | アメ株 | 順位 | 全体 |
2018~20年 | 1 | 31.3% | 1 | 28.6% |
2003~12年 | 2 | 17.3% | 2 | 18.5% |
2013~17年 | 3 | 16.7% | 3 | 16.7% |
2021年以降 | 4 | 14.9% | 4 | 13.7% |
1992年以前 | 6 | 9.8% | 5 | 12.6% |
1993~2002年 | 5 | 10.0% | 6 | 9.9% |
アメ株の投資歴で最も多い「2~5年程度」の人に絞って日本株の投資歴を見ると、同じく「2~5年程度」の人が最も多く、44%を占めた。一方で、最も少ないのは「1年程度」の2%にとどまる。
この数字から判断すると、アメ株に投資している人の半数近くは、日本株に投資を始めた同じ時期にアメ株も投資対象にしたことになる。
2~5年前に投資を始めた人は、NISA(少額投資非課税制度)などで投資に興味を持った層が、国際分散投資の一環で、米国株そして米ETF(上場投資信託)に投資を始めた可能性がある。
株探プレミアムでこれまで紹介してきたアメ株投資家は、GAFAMを代表とする成長株に魅了された人と、日本株に比べて格段に高い株主還元を評価する人と、大きく2つに分かれる。アメ株では、個別株はもちろんETFで、高配当やグロース狙いができる。
日本では多くの個人投資家が利用するネット証券で、海外ETFの取り扱い数を増やしており、ネット証券で投資デビューした人が、日本株と同時に親しみのあるGAFAMや豊富に選べるETFに関心を持ち、アメ株投資を始めた可能性がある。
含み損益の大きい上位30銘柄、GAFAMの状況は
最後に、調査時点で含み益および含み益が最も大きい銘柄のランキングを紹介する。含み益のトップはアップル<AAPL>で次に、米S&P500種株価指数や米国株全体に投資するETFが続き、そしてテスラ<TSLA>、エヌビディア<NVDA>と続いた。
テスラやエヌビディア、そしてネットフリックス<NFLX>はGAFAMに匹敵ないし凌駕するようなグロース銘柄。株探編集部がこれまで取材した投資家は、アメ株のグロース銘柄を長期視点で保有し始める人が多かった。
それは取引時間が昼夜逆転し、また取引手数料が日本株より高めであることから頻繁に取引しにくいことが1つ。そして日本のグロース株に比べて、アメ株のグロース株は長期で業績を伸ばし続ける期待が高いことなどが、背景にあるとみられる。
グロース銘柄はボラティリティー(株価の変動率)も高くなりがちだが、アメ株の場合は長期で成長期待を持てることが、GAFAMそしてNVDAとTSLAが含み益の大きい銘柄にランクインしている可能性がある。
一方の含み損の大きい銘柄にもGAFAM+NVDA+TSLA、そしてネットフリックス<NFLX>が入っている。こちらの場合は、昨年後半から堅調になり始めたバリュー優位の局面転換で、軟調になった影響を受けた可能性がある。
含み損トップAT&T<T>は高配当利回り銘柄の代表格だが、株価は20年春のコロナショック以降、株価の反発力もあまり大きくなく、21年5月をピークに下落トレンドが続く。安定業種で配当利回りの高さに引かれて購入したが、株価の不調が続く影響を受けている投資家が多いようだ。
4位のリビアン・オートモーティブ<RIVN>は、21年秋にIPO(新規株式公開)した電気自動車(EV)関連企業。IPO直後には、株価は騰勢を強めたが、その後は同社の赤字体質に改善の傾向が見られないことなどもあり、株価も公開価格を大きく下回る状況になっている。期待のテーマの関連銘柄で注目したが、業績不振の失望売りに巻き込まれたことが、含み損の上位になったものと思われる。
なお、次ページに下に記載した銘柄のうち重複を除いた55銘柄の
業種、
時価総額、
目標株価
――をまとめた表を掲載している。こちらはプレミアム会員向けとなっている。
次回は、アメ株投資家の運用資産額や資産構成比、日本株・アメ株以外の投資対象、
そして売買益期待が大きい注目銘柄のランキングなどを紹介する。
■アメ株・含み損益益が大きい上位30
含み益 | 含み損 | ||
順位 | 銘柄名<ティッカー> | 順位 | 銘柄名<ティッカー> |
1 | アップル <AAPL> | 1 | AT&T <T> |
2 | バンガードS&P・500 ETF <VOO> | 2 | アップル <AAPL> |
3 | バンガード・トータル・ストック ・マーケットETF<VTI> | 3 | メタ・プラットフォームズ <FB> |
4 | テスラ<TSLA> | 4 | リビアン・オートモーティブ <RIVN> |
5 | エヌビディア <NVDA> | 5 | テスラ <TSLA> |
6 | マイクロソフト <MSFT> | 6 | バンガード・トータル・ストック ・マーケットETF<VTI> |
7 | SPDRポートフォリオS&P・500 高配当株式ETF<SPYD> | 7 | マイクロソフト <MSFT> |
8 | アマゾン・ドット・コム <AMZN> | 7 | マルケタ <MQ> |
9 | インベスコQQQトラスト <QQQ> | 9 | インベスコQQQトラスト <QQQ> |
10 | バンガード米国高配当株式 ETF<VYM> | 10 | エヌビディア <NVDA> |
11 | エクソン・モービル <XOM> | 11 | ビヨンド・ミート <BYND> |
12 | アッヴィ <ABBV> | 12 | Direxionデイリー半導体株 ブル3倍ETF<SOXL> |
13 | コカ・コーラ <KO> | 12 | グローバルX・NASDAQ100 カバード・コールETF<QYLD> |
14 | ジョンソン・エンド・ジョンソン <JNJ> | 12 | ズーム・ビデオ・ コミュニケーションズ<ZM> |
15 | ファイザー <PFE> | 12 | ベライゾン・コミュニケーションズ <VZ> |
16 | シェブロン <CVX> | 16 | 3M <MMM> |
16 | メタ・プラットフォームズ <FB> | 16 | カーニバル <CCL> |
18 | アドバンスト・マイクロ・デバイシズ <AMD> | 16 | ネットフリックス <NFLX> |
19 | iシェアーズ・コア米国高配当株 ETF<HDV> | 19 | ヴァージン・ギャラクティック ・ホールディングス<SPCE> |
19 | SPDR・S&P・500 ETF <SPY> | 19 | モデルナ <MRNA> |
21 | アルファベットA <GOOGL> | 19 | アリババ・グループADR <BABA> |
21 | アルファベットC <GOOG> | 22 | C3・ai <AI> |
23 | Direxionデイリー半導体株 ブル3倍ETF<SOXL> | 22 | バンガード米国高配当 株式ETF<VYM> |
23 | バークシャー・ハサウェイB <BRK.B> | 22 | ペイパル・ホールディングス <PYPL> |
23 | プロクター・アンド・ギャンブル <PG> | 25 | iシェアーズ米国国債 20年超ETF<TLT> |
26 | DirexionデイリーS&P・500 ブル3倍ETF<SPXL> | 25 | アファーム・ホールディングス <AFRM> |
26 | バンガード・トータル・ワールド ・ストックETF<VT> | 25 | ニーオADR <NIO> |
28 | バンガード米国増配株式ETF <VIG> | 25 | パランティア・テクノロジーズ <PLTR> |
29 | コストコ・ホールセール <COST> | 25 | ロイヤリティ・ファーマ <RPRX> |
29 | ビザ <V> | 30 | TSMC <TSM> |
29 | ロッキード・マーチン <LMT> | 30 | アマゾン・ドット・コム <AMZN> |
34 | クラウドストライク・ホールディングス <CRWD> | 30 | ウォルト・ディズニー <DIS> |
30 | テラドック・ヘルス <TDOC> |
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