話題株ピックアップ【夕刊】(3):エプソン、郵船、日電子
■セイコーエプソン <6724> 1,894円 +76 円 (+4.2%) 本日終値
セイコーエプソン<6724>が大幅続伸。4月28日の取引終了後に発表した23年3月期連結業績予想で、営業利益が960億円(前期比1.6%増)と3期連続で営業増益を見込むことが好感された。売上高は1兆3200億円(同16.9%増)を見込む。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う在宅勤務・学習が定着したことで、SOHO・ホーム向けを中心にインクジェットプリンターの販売増加を見込む。また、商業・産業プリンティング事業も完成品ビジネス、プリントヘッド外販ビジネスともに成長が加速する見通しという。なお、22年3月期決算は、売上高1兆1289億円(前の期比13.4%増)、営業利益944億7900万円(同98.3%増)だった。
■日本郵船 <9101> 9,790円 +330 円 (+3.5%) 本日終値
日本郵船<9101>、商船三井<9104>、川崎汽船<9107>、NSユナイテッド海運<9110>など海運株が軒並み大きく買われており、一時業種別値上がり率で4.5%を超え、33業種中で群を抜いてのトップとなった。前週28日に、商船三井が後場取引開始前に発表した23年3月期の業績見通しが最終利益段階で3割減益見通しと大幅減益予想だったことから、一斉に下値を大きく探る展開を強いられた。しかし、商船三井は引けにかけて急速に株価水準を戻した。今期のコンテナ船事業の急減速は大方織り込まれているほか、市場では商船三井について「株式3分割考慮で、実質配当がほとんど前期実績から目減りしなかったことは、むしろサプライズといってよく前週末時点で11%を超える配当利回りを考えれば、長期資金にとっても時価水準は魅力がある」(中堅証券ストラテジスト)という見方もある。郵船と川崎汽は今月9日に決算発表を控えるが配当計画が注目されやすい。
■日本電子 <6951> 6,110円 +160 円 (+2.7%) 本日終値
日本電子<6951>が続伸。4月28日の取引終了後、集計中の22年3月期連結業績について、売上高が1300億円から1380億円(前の期比25.0%増)へ、営業利益が110億円から140億円(同2.7倍)へ、純利益が90億円から120億円(同3.2倍)へ上振れて着地したようだと発表したことが好感された。理科学・計測機器事業で電子顕微鏡を中心に販売が好調に推移したことに加えて、産業機器事業で電子ビーム描画装置が引き続き好調に推移したことが要因。また、為替が想定以上に円安方向に推移したことも寄与した。
■大平洋金属 <5541> 3,705円 +65 円 (+1.8%) 本日終値
大平洋金属<5541>が3日続伸。同社は4月28日取引終了後に22年3月期連結業績予想の増額修正を発表した。売上高は547億1300万円から571億2900万円(前の期比77.3%増)に見直したほか、純利益は84億5500万円から113億6800万円(同9.8倍)に見直した。フェロニッケル製品の販売価格形成の指標となるLMEニッケル価格が想定を上回って推移したほか、フィリピンの持ち分法適用会社が好調なうえに為替が円安に振れたことで外貨建債権に評価益が発生した。前期の期末配当も従来予想の110円から155円に増配し、年間配当は175円(前の期は20円)とすることも好感された。
■日本電気硝子 <5214> 2,670円 +47 円 (+1.8%) 本日終値
日本電気硝子<5214>が続伸。4月28日の取引終了後、第2四半期累計(1~6月)連結業績予想について、売上高を1600億円から1700億円(前年同期比19.4%増)へ、営業利益を180億円から200億円(同30.4%増)へ、純利益を140億円から180億円(同33.0%増)へ上方修正したことが好感された。第1四半期(1~3月)に薄型パネルディスプレー(FPD)用ガラスの販売が好調に推移したほか、ガラスファイバの価格改定が浸透し、売上高・利益ともに伸長したことに加えて、第2四半期(4~6月)も概ね順調な販売を見込むことが要因という。なお、22年12月期通期業績予想は、売上高3300億円(前期比13.0%増)、営業利益370億円(同12.9%増)、純利益300億円(同7.5%増)の従来見通しを据え置いている。また、同時に発表した第1四半期決算は、売上高859億9100万円(前年同期比25.4%増)、営業利益105億1500万円(同51.8%増)、純利益142億8900万円(同2.1倍)だった。
■日本航空 <9201> 2,177円 +26 円 (+1.2%) 本日終値
日本航空<9201>、ANAホールディングス<9202>いずれも買い優勢の展開。今年の大型連休は、まん延防止措置などの行動規制がなく最大10連休となることもあって、旅行需要が大きく喚起される状況となっている。前週末29日に羽田空港など国内線ロビーは旅客が急増し、新型コロナウイルスの感染拡大前の需要に近い形で回復が鮮明となった。また、28日取引終了後に発表したANAHDの23年3月期の営業損益は500億円の黒字(前期実績は1731億2700万円の赤字)と3期ぶりの黒字回復を予想していることで、空売り筋の買い戻しも誘発した。
■エムアップ <3661> 1,034円 +2 円 (+0.2%) 本日終値
エムアップホールディングス<3661>は5日続伸。午前11時30分ごろ、電子チケット事業などを手掛ける子会社Tixplusが、ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(通称B.LEAGUE、東京都文京区)の委託を受けて公式NFTサービス「B.LEAGUE PARK」の開発を行い、リリースしたと発表しており、これが好感された。「B.LEAGUE PARK」は、B.LEAGUE公式NFTサービスとして、カード、動画、アイテムなどのさまざまなNFTが販売される予定で、2次流通も行われる。既存のB.LEAGUEファンはもちろん、NFTをきっかけにした新たなファンの獲得機会として、より活性化されたファンコミュニティーの醸成を目指すとしている。
■日本M&A <2127> 1,402円 -212 円 (-13.1%) 本日終値 東証プライム 下落率トップ
日本M&Aセンターホールディングス<2127>が急反落。前週28日の取引終了後に23年3月期業績予想を発表し、売上高を前期比4.0%増の420億円、営業利益を同9.6%増の180億円とした。増収増益トレンド継続の見通しを示したものの、市場予想(売上高477億円程度、営業利益216億円程度)を下回ったことから目先失望売りが出たようだ。同時に発表した22年3月期決算は、売上高が前の期比16.1%増の404億100万円、営業利益が同7.1%増の164億3000万円で着地。成約件数(譲渡・譲受別カウント)は、前の期比110件増の996件だった。あわせて、TAKARA & COMPANY<7921>とTOKYO PRO Market関連事業で業務提携することを明らかにしている。
■PHCホールディングス <6523> 1,555円 -232 円 (-13.0%) 本日終値 東証プライム 下落率2位
PHCホールディングス<6523>は大きく売られ上場来安値更新。前週28日の取引終了後に22年3月期業績予想の修正を発表し、最終損益を100億円の赤字(前の期169億600万円の黒字)とした。従来予想の202億5000万円の黒字から一転赤字となる見通しで、これを嫌気した売りが出たようだ。がん検診に関する製品を手掛ける病理事業について、原材料費や輸送費などコスト増に伴う減損損失をはじめ、同事業の今後の業績見通しを踏まえた繰り延べ税金資産の取り崩しによる法人所得税費用の計上が利益を押し下げる。また、保有する米センシオニックス・ホールディングス<SENS>への転換権付き貸付金の公正価値評価に基づく評価損の計上も響く見込み。なお、売上収益は3317億7000万円から3400億円(前の期比11.1%増)へ引き上げた。
■明和産業 <8103> 797円 -80 円 (-9.1%) 本日終値 東証プライム 下落率5位
28日に決算を発表。「今期経常は12%減益、前期配当増額も今期減配」が嫌気された。
明和産業 <8103> [東証P] が4月28日大引け後(15:00)に決算を発表。22年3月期の連結経常利益は前の期比90.1%増の34.1億円に拡大したが、23年3月期は前期比12.0%減の30億円に減る見通しとなった。同時に、前期の年間配当を118円→119円(前の期は15円)に増額し、今期は前期比94円減の25円に大幅減配する方針とした。
■新京成電鉄 <9014> 2,599円 +500 円 (+23.8%) ストップ高 本日終値
新京成電鉄<9014>はストップ高。前週28日の取引終了後、京成電鉄<9009>が株式交換により同社を完全子会社化すると発表した。新京成株1株に対し、京成株0.82株を割り当て交付するとしており、これをもとにした理論価格を意識した値動きとなったようだ。実施予定日は9月1日。今回の子会社化により、千葉県北西部における事業基盤の強化をはじめ、経営資源の相互活用による競争力強化や事業規模の拡大、スケールメリットを生かした効率的な協働体制の実現といったシナジーを見込む。なお、新京成は8月30日付で上場廃止となる見通しだ。
■ブイキューブ <3681> 1,069円 +150 円 (+16.3%) ストップ高 本日終値
ブイキューブ<3681>が急騰、投資資金が集中し150円高はストップ高となる1069円まで買われる人気となった。前週28日に22年12月期第1四半期(22年1~3月)決算を発表、営業利益は前年同期比52%減の3億9000万円と低調だった。ところが、きょうは朝方こそ前週の終値近辺でスタートしたものの、その後は大口の買いがなだれ込み一気に株価水準を切り上げる展開となっている。市場では「第1四半期の業績悪化は想定内で、上期計画比で進捗率が46%とまずまずの水準を確保したことで、ネガティブ材料とはなりにくかったようだ。日証金では大幅に売り長で逆日歩がついており、貸株調達による空売りなども考慮すると、実質的には需給事情による踏み上げ相場の色が強い」(準大手証券ストラテジスト)としている。あらゆる業界のイベントをメタバース化する「メタバースイベントサービス」を立ち上げていることで、「Web3」関連の有力株としてテーマ性を内包していることも人気素地につながっている。
■アズーム <3496> 7,360円 +1,000 円 (+15.7%) ストップ高 本日終値
アズーム<3496>はストップ高に買われ、年初来高値を更新した。28日の取引終了後、自社株買いを実施すると発表したことが好感された。上限を2万株(発行済み株数に対する割合0.68%)、または1億円としており、取得期間は5月2日から7月29日まで。経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を遂行するために取得する。また、同時に発表した第2四半期累計(21年10月~22年3月)連結決算は、売上高30億2100万円(前年同期比29.8%増)、営業利益4億2200万円(同66.7%増)、純利益2億9600万円(同86.3%増)と大幅増益となり、従来予想の営業利益3億3500万円を上回って着地したことも好材料視された。遊休不動産活用事業における月極駐車場サブリースサービスの拡大に加え、人件費の増加が想定を下回った。なお、22年9月期通期業績予想は、売上高64億円(前期比28.7%増)、営業利益8億5000万円(同67.5%増)、純利益5億4000万円(同65.5%増)の従来予想を据え置いた。
●ストップ高銘柄
中央製作所 <6846> 1,530円 0 円 (0.0%) ストップ高 本日終値
など、4銘柄
●ストップ安銘柄
なし
株探ニュース