【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─先回りで狙う!買い戻し期待の「売り長銘柄」

市況
2022年5月22日 9時30分

「先回りで狙う!買い戻し期待の『売り長銘柄』」

●悲観の中で上昇の種は蒔かれ、芽生えを待つ

米国市場がいまだ落ち着かない。頼りのNYダウが5月5日以降、6日続落してしまったものの13日からは急回復。これで安定するかと思われたのだが、18日は1164ドル安とまた急落、19日も続落してしまった。

しかし、 ナスダックの下落はもっと酷く、3月30日以降、時々は反発するものの、基本的には下げ続けている。その結果、昨年11月につけた史上最高値からは、すでになんと31%超も下げてしまっている。

ハイテク企業の集まりであるナスダックが信じられないほど下げていることになり、東京市場が軟調な展開になっているのもやむを得ない、こういうことになろう。

ところが、実際は意外なことになっている。日経平均株価のバブル崩壊後の戻り高値は2021年9月14日の3万0795円だが、その後、今年3月の安値2万4681円まで下げ続け、その下落率は20%弱だった。そして、現在はそこから少し戻って2万6700円前後なので、前述高値からの下落率は13%強だ。

ナスダックの下落率が30%を超えていることを考えると、東京市場は意外に下げていない。いや、頑張っているじゃないか、ということになる。

ただ、これはナスダックよりは下げていないということであり、正直、学生時代なら数学で自分は100点満点中45点だった。でも、友達は35点だった。だから頑張っているだろう、と母親の前で胸を張るようなもの。決して喜べることではない。

こんな状況ではあるが、実は市場では興味ある現象が見られる。それも、株価上昇要因になりそうな現象だ。

市場環境が悪化すると当然、株価はこれからも下がり続ける――こう考える投資家が多くなるため、株価の下落で儲けようと考える投資家が増加する。彼ら彼女らは、信用取引の売りを行うことになる。

その結果、いまは信用取引で買われている銘柄より、売られている銘柄が通常より多くなっている。この原稿を書いている時点で、東証プライムだけでも、売り残が買い残を上回っている銘柄が330ほどある。

●信用倍率下位銘柄の“買い予約”に着目

それらの中には、有望株が埋まっている。こう考えてよい。いずれ買い戻さねばならないからだ。市場環境が悪化している時には、新規に株を買う投資家は激減する。ところが、信用売り残の多い銘柄は、いずれ株を買い戻さねばならないのだから、買い予約が入っているようなものになる。いまはこの点に着目したい。

今回は東証プライム上場企業で信用倍率1倍以下の売り長銘柄から絞り込んでみたい。市場はプライムだけでなく、スタンダード、グロースもあるが、日々の出来高が少ない銘柄の場合、信用倍率のデータの信頼性が低いため、東証プライムで十分だ。

以上のような観点から投資するなら、どのような銘柄があるか。

まずはコネクター製造大手で車載用に強いイリソ電子工業 <6908> [東証P]だ。信用残は売り残17万5700株、買い残6万5800株、信用倍率は0.37倍。

鉄骨建築資材大手のフルサト工業と機械専門商社のマルカが経営統合して誕生したフルサト・マルカホールディングス <7128> [東証P]も、高値圏ながらなお上昇余力ありと見ている。同社の売り残は29万0400株、買い残は1万8600株、信用倍率は0.06倍。

パチスロ大手のサミー、ゲームソフト大手のセガを傘下に擁し、韓国での統合型リゾート運営でも知られるセガサミーホールディングス <6460> [東証P]も緩やかながら上昇トレンドを継続する可能性が高い。同社の売り残は20万5100株、買い残は13万9900株、信用倍率は0.68倍。

中華料理店「中華食堂日高屋」を首都圏中心に展開するハイデイ日高 <7611> [東証P]も売り残の多い銘柄であり魅力的だ。同社の売り残は13万1500株、買い残は1万6900株、信用倍率は0.13倍。

意外にも通信大手KDDI <9433> [東証P]も条件を満たしていて見逃せない。売り残は69万6500株、買い残は28万4500株、信用倍率は0.41倍。

目先株価上昇の勢いが強く、浅い押し目を狙いたいのがコナミホールディングス <9766> [東証P]。売り残は14万3400株、買い残は5万4500株、信用倍率は0.38倍。

最後に野村不動産ホールディングス <3231> [東証P]を。こちらは次のようなデータになっている。売り残は17万3900株、買い残は5万2200株、信用倍率は0.30倍。

2022年5月20日 記

株探ニュース

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