この記事はプレミアム会員限定です

億ヤラレ中の億り人、日本株躍進もアメ株でつまずきのワケ

特集
2022年5月26日 10時05分

第14回 日本株&アメ株で勝つ人
~個人投資家4800人の調査で判明!(日本株&アメ株億り人・MACさんの場合)

登場する銘柄
ブロック<SQ>(当時スクエア)、ショッピファイ A <SHOP>、テスラ<TSLA>、アドビ<ADBE>、カーニバル<CCL>、ピンタレスト<PINS>、村田製作所<6981>、オプティム<3694>、トレンドマイクロ<4704>、QDレーザ<6613>

文/福島由恵(ライター)、編集・構成/真弓重孝(株探編集部)

【タイトル】MACさん(ハンドルネーム・60代・男性):
足元の運用資産は日本株とアメ株で1億円を超える億り人。保有銘柄数は70銘柄以上。日本株では「世界的な競争力がある高い技術力を持った企業」に長期投資するスタイル。投資の世界に足を踏み入れたのは中学生の頃で、父の手伝いの「週足ローソク足」の描き込み作業がきっかけ。ここで自然に相場観が身に付き、東洋醸造株を父に代行してもらう形で投資したら、30万円の利益に。以降、同様に他の銘柄も父親に代行で買ってもらい、大学を中退する頃にはそれらの資金は100万円以上に膨らんでいた。投資は社会人になってから本格的に開始。起業してクルマの輸出入を手掛けていた経験から、日本株は世界に羽ばたく要素を持つ企業に長期投資する。現在は無農薬野菜の生産・販売を手掛けている。

億り人だけど億ヤラレ中――。波乱に満ちた投資人生を歩んできたのが、今回登場するMACさん(ハンドルネーム)だ。

数十万円で始めた株式投資で、相続資産の追加分を含め、一時は運用資産を2億円超にまで膨らませた。かと思えば、足元ではその半分の1億円程度にまで資産を凹ませたという。

それでも、数十万円の種銭を1億円以上に増やした実績の持ち主でもあることには違いない。そんなMACさんとはどんな投資家さんなのか。

相場と関わり始めたのは、なんと中学生の頃から。浮き沈みが激しい投資人生となりながらも、イヤになって投げ出すことなく、約50年という半世紀にわたる長い歩みで続けてきた。

その力の源をクローズアップする。

コロナ反発に乗って増やした資産以上を溶かしてしまったアメ株

現在60歳代のMACさんは、20歳代の頃に8年ほど会社勤めをした後、クルマの輸出入業を起業し成功。そして10年ほど前からは、近畿地方で、にんじんやケールなどの無農薬野菜を生産し販売するという、まさに畑違いの事業を起こしたバイタリティあふれる兼業投資家だ。

足元の運用は日本株とアメ株が軸。日本株では、企業業績の大きな流れを見ながら銘柄選択し、長期保有(バイ&ホールド)していくスタイルだ。そうした中で、約1億円にのぼる含み損を抱えているのは、2013年頃から始めたアメ株で大きく凹んでしまったことだ。

ハイテク株を中心とした最近のアメ株相場の好調にうまく乗り、一時は大きく資産を増やしたまではいいものの、今年22年に入ってからはこの好調は逆回転へ。大幅調整に巻き込まれ、それをまるまる吹き飛ばす形となってしまう。

コロナ禍で全体相場の大リバウンドが演出された20年は、当時の相場の牽引役となったブロック<SQ>(当時スクエア)、ショッピファイ A <SHOP>などの寄与で、約4000万円のリターンを獲得。さらに翌21年はテスラ<TSLA>、アドビ<ADBE>などへの投資で約2000万円を稼ぐことに成功した。

■ブロックの週足チャート(20年1月~)

【タイトル】

注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同

だが、この直前2年分の6000万円のリターンは、あっという間に消滅してしまった。保有中のカーニバル<CCL>、ピンタレスト<PINS>など数銘柄が軒並み大幅下落し、まさにジェットコースターのような上げ下げを味わっている状況にある。

■ピンタレストの週足チャート(20年7月~)

【タイトル】

営業マン任せが裏目に

大きな凹みの一因には、アメ株市場が今年、年初から▲30%以上も調整したこともがあるが、それだけではない。根本の原因は、取引する証券会社の営業マンの助言を、そのまま従ってしまったことだ。

MACさんがアメ株を始めたきっかけは、日本株に偏った資産を分散させようと思ったため。「資産を守りながら増やすには、ポートフォリオの一部を海外資産に振り分けるべし」と指摘する書著に啓発された。そこで、亡き父親の付き合いがあった証券会社2社で、アメ株個別株への投資をスタートさせた。

この2社には「細かいことは言わない。良いと思うアドバイスが欲しい」と伝えた。アメ株は土地勘が乏しいため、専門家に任せた方がいいと判断したため。だが、任せきりにしたことが、裏目に出る。

当初は推奨銘柄の取引でリターンを生んでいる。が、それらの銘柄は売却後にも騰勢が衰えず、さらなる値上がり益を逃すことに。そして、リターンで再投資を勧められた銘柄は、先に触れたように軒並み株価を下げて、現在は稼いだリターン以上の金額を溶かすことになってしまった。

こんな状況もあって、今後の対応策や方針について話し合うために支店に出向くと、頼みもしないのに応接室に通され、時には支店長お出ましで「お客様のために」「大丈夫です」など、根拠のない口当たりのよい言葉でかわされることに。こうした対応に不信感を募らせ、今後、対応次第では、資金の引き上げも考えているところなのだという。

アメ株のヤラレを日本株が下支え

一方の日本株は、足元では700万円程度のヤラレはありながらも、数十万円の元手を億単位の規模まで引き上げた。その原動力は、海外に市場展開できる技術力や商品を持つ銘柄を選好してきたことだ。

足元で保有しているのは、約70銘柄。例えば、セラミックコンデンサで世界首位の村田製作所<6981>、情報管理端末ソフトのクラウドサービスを行うオプティム<3694>、ウイルスソフト国内首位のトレンドマイクロ<4704>などのほか、最近では21年2月にIPO(株式新規公開)した半導体レーザや網膜走査型レーザアイウェアなどを手掛けるQDレーザ<6613>などになる。

■村田製作所の月足チャート(13年1月~)

【タイトル】

選ぶ日本株は世界に通じる高い技術力を応援したいから

現在の保有銘柄で特に期待を掛けるのがオプティム<3694>だ。世界的に広がるデジタル化の動きに欠かせないサービスを展開する会社だ。

昨年から下落トレンドにあるものの、特許を多数抱える同社の強みは、今後長期的に評価を得るものと見る。じっくり、気長にその成長を見守りたいとする。

■オプティムの月足チャート(14年11月~)

【タイトル】

■『株探プレミアム』で確認できるオプティムの通期業績の成長性推移業績

【タイトル】

QDレーザも昨年の上場時を天井にやはり下落トレンドをたどるが、同社の技術も世界に誇れるものがあり、先駆者的存在でもある。現在は赤字の状況ではあるが、長い視野で花開く時期をじっくり待つ姿勢だ。

MACさんは、足元ではアメ株中心に大ヤラレとなり、さすがに心持ちは穏やかでない。だが反面、「いずれはなんとかなるさ」という気持ちがあるのも確かだ。バタバタせず、しばらくはどっしりとした気持ちで全体相場の反転を待つという作戦でいる。

こんな大らかな気持ちが持てるのは、これまでの長い投資の道のりの中で、リーマン・ショックをはじめとし、幾多の荒波を乗り越え資産を拡大させてきた実績があるからだ。

その原動力になったのが、長く投資を続けてきた父からの教えを忠実に守ったこと。加えて自身でも、事業の荒波を乗り越え積み重ねた実績から生まれた自信がその後ろ盾となっている。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。

次ページ 億ヤラレでも退場せずに済んでいる父の教えとは?

 

こちらは株探プレミアム限定記事です。プレミアムプランをご契約して読むことができます。
株探プレミアムに申し込む (初回無料体験付き) プレミアム会員の方はこちらからログイン
プレミアム会員になると...
株価情報をリアルタイムで提供
企業業績の表示期数を拡大
限定コラムが読み放題

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
株探プレミアムとは

日本株

米国株

PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.