大谷正之氏【強さ際立つ日本株、2万8000円は通過点か】(2) <相場観特集>
―米株安でも朝安後に切り返しへ、今後の展望と個別株―
週明け6日の東京株式市場は、前週末の米株安を受けて日経平均株価が朝方は安く始まり2万7000円台半ばまで水準を切り下げたが、その後は急速に買い戻される展開でプラス圏に切り返した。気がつけば2万8000円大台にあと一歩まで迫っている。日本株の相対的な強さが指摘されているが、果たしてこの上昇波動は本物なのか。相場の先読みに定評があり、個別銘柄の発掘でも強みを持つ市場関係者2人に今後の展望を聞いた。
●「夏場に向け強気相場、2万9000円意識の展開も」
大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)
日経平均株価は夏場に向け強気相場が期待できそうだ。来週14~15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)が焦点だが、このイベントを通過すれば、材料出尽くし感から戻り歩調を強める展開も見込めるだろう。
特に、7月には参院選が予定されており、政策期待も高まりやすい。過去の例をみても与党の勝利が見込める場合、選挙の1ヵ月ほど前から相場は上昇基調となっている。また、中国のロックダウンの解除もプラス要因。米国の金融政策も6月と7月の0.5%利上げを経て、残りの年内は0.25%となり、来年は利上げ停止といった展開も期待できる。足もとの円安進行も業績面の追い風に働こう。こうしたなか、少なくとも夏場いっぱいは強調展開が期待できると思う。
今後1ヵ月程度の日経平均株価は3月高値(2万8252円)の更新から2万9000円を意識する展開も見込めそうだ。下値は2万7000円が抵抗線として働こう。
個別銘柄では、Go Toトラベルの再開に向けた動きも期待され、経済再開(リオープン)の流れが強まるなか、エイチ・アイ・エス <9603> [東証P]のほかJR東海 <9022> [東証P]など電鉄会社、それにラウンドワン <4680> [東証P]などの銘柄が注目されそうだ。また、米金利が落ち着けば東京エレクトロン <8035> [東証P]など半導体製造装置関連株、中国ロックダウン解除に伴うサプライチェーン回復でトヨタ自動車 <7203> [東証P]など自動車関連株も注目できる。加えて、参院選に向けた政策関連では防衛費の増額で三菱重工業 <7011> [東証P]やIHI <7013> [東証P]、それに新明和工業 <7224> [東証P]などが注目できる。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。
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