来週の株式相場に向けて=FOMCに視線集中、不動産株など注目
今週は、日経平均株価が9日まで5日続伸し、約2カ月ぶりに一時2万8000円を回復した。しかし、週末の10日は422円安と売り込まれた。前日までの5日間での上昇幅は800円を超え、騰落レシオ(25日移動平均)も110%を記録していただけに、当然の一服ともいえる。とはいえ、2万8000円台に定着できなかったことは、依然として地合いは軟弱なことを示しているようだ。
9日の欧州中央銀行(ECB)の量的緩和終了の発表が大幅安の要因となったように、市場の関心は欧米の金融引き締めに向かっている。その焦点となるのが、今晩の米5月消費者物価指数(CPI)であり、そして14~15日にかけて開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)だ。なかでも、来週のFOMCに市場の関心は集中している。6月と7月の0.5%利上げはすでに織り込まれており、市場では「年後半に向け米国の金融引き締めペースは減速するか」(アナリスト)が注目されている。来週のFOMCでは今後の政策金利見通し(ドットチャート)が示されるが、先行き米国の利上げペースが落ちるとの見方が出れば相場はリスクオンに向かう可能性がある。しかし、強めの金融引き締めが続くとなれば、調整ムードとなるだろう。来週のFOMCは「当面の相場の大きなポイント」(同)となる。
全体相場はFOMC次第だが、東京市場の物色動向を眺めると内需株などを中心に底堅さがみえる。特に、三井不動産<8801>や三菱地所<8802>といった大手不動産株が年初来高値圏にあり、強含みで推移している。高島屋<8233>など百貨店株の上昇も底流には保有不動産に着目した側面がありそうだ。東京市場ではデフレ脱却を意識した物色が続いているとみられ、不動産など内需株の動向に注目したい。更に、7月10日投開票とみられている参院選に向けた動きも見逃せない。
来週は、海外では14日に米5月生産者物価指数(PPI)、15日に同小売売上高、16日に同住宅着工件数が発表される。国内では15日に4月機械受注が発表される。また、16~17日には日銀金融政策決定会合が開催される。日銀の金融政策は現状維持の見通しだが、黒田日銀総裁の会見内容などが注目されており、状況次第では一段の円安が進むこともあり得る。13日には神戸物産<3038>が決算を発表する。来週の日経平均株価の予想レンジは2万7400~2万8300円前後。(岡里英幸)