中小型材料株の宝庫、独自技術誇る「研究開発型企業」を徹底マーク <株探トップ特集>

特集
2022年7月9日 19時30分

―新市場創造で業績拡大へ夢膨らむ、軟調地合いのなか投資家の人気集める―

研究開発を軸に事業を展開する企業のIPOがここ相次いだ。6月23日に上場した坪田ラボ <4890> [東証G]は慶應義塾大学発ベンチャーで、眼科向け医療機器の開発を手掛ける。上場初日に好調な初値をつけると、その後短期間で公開価格の2倍強に上昇した。翌24日に上場したマイクロ波の産業利用に取り組むマイクロ波化学 <9227> [東証G]は初値形成後にその日も含め3日連続ストップ高、27日上場のダイヤモンド単結晶製造技術を用いた製品開発を行うイーディーピー <7794> [東証G]も物色人気となった。こうした、いわゆる「研究開発型」の企業は将来的に高い成長が見込まれ、全体地合い悪のなかであっても投資家からの根強い人気を誇るものが少なくない。

●豊富な材料性を内包、急騰銘柄続々現る

研究開発型企業とは、主に大学などでの研究成果や独自開発した技術の事業化を図る企業のこと。革新的な製品やサービスを生み出して新たな市場を創造する可能性を秘めており、経済成長の源泉を担う存在として欠かせない。なかでも事業化までのハードルが高く、社会的なインパクトが大きい領域で取り組みを進めるディープテック(大規模研究開発型)企業への関心が高く、話題にのぼる機会も多い。

こうした企業は新技術やそれを応用した製品の開発といった材料性を多く内包しており、株式市場での注目度は高い。研究開発型関連の代表的な銘柄であるユーグレナ <2931> [東証P]はミドリムシを活用した製品開発に注力、先行投資による赤字が続いているものの個人投資家の熱い視線を集めている。グロース株有名どころのFRONTEO <2158> [東証G]も関連代表格に位置づけられ、人工知能(AI)ベンチャーとしてこちらも大きな期待が寄せられている。同社は、物色人気の高さに赤字克服という業績面での材料が組み合わさり、株価を変貌させた経緯がある。

足もと方向感のつかみにくい相場が続いている。一方、個別では材料性のある銘柄を中心に物色が活発化しており、研究開発型関連の銘柄で株価を急騰させるものも続々と現れている。こうしたなか、今後ほかの関連銘柄に関心が広がる可能性もあり、注目しておく必要がありそうだ。以下では、さまざまな産業分野に存在する関連銘柄を網羅的にラインアップした。

●好業績AIベンチャーのパークシャ、エッジテクノ

まずは、幅広い産業への応用が進むAI分野の企業に目を向けたい。関連主力のPKSHA Technology <3993> [東証G]は、自然言語処理や機械学習・深層学習技術に関するアルゴリズムの研究開発にまい進。開発成果をもとに各企業のニーズに合わせた製品を販売しており、大手を中心に2000社以上の導入実績を持つ。ストック売り上げ中心で収益性が高く、高成長路線を走っている。

エクサウィザーズ <4259> [東証G]は昨年12月のIPO企業。独自開発のAIと、多様な業界・業務に関する知見を蓄積したプラットフォーム「exaBase(エクサベース)」を強みに事業を展開している。顧客には第一三共 <4568> [東証P]や日立金属 <5486> [東証P]、ヤマトホールディングス <9064> [東証P]などが名を連ねる。

また、台湾発AIベンチャーのAppier Group <4180> [東証G]、AIによるサポート機能などを搭載したゲーム「将棋ウォーズ」で知られるHEROZ <4382> [東証P]に加え、直近IPO銘柄のエッジテクノロジー <4268> [東証G]、トリプルアイズ <5026> [東証G]、セカンドサイトアナリティカ <5028> [東証G]からも目が離せない。

●急騰みせたザイン、中小型半導体株をマーク

半導体関連では、ザインエレクトロニクス <6769> [東証S]が有力株に位置づけられる。同社は研究開発型のファブレス半導体企業で、液晶向け信号処理・表示制御用の半導体チップで世界高シェアを誇る。米半導体大手エヌビディア<NVDA>の製品に自社技術が採用されたとの発表をきっかけに、足もと急速に物色が向かった。

同じく研究開発型のファブレス半導体企業としてディジタルメディアプロフェッショナル <3652> [東証G]、アクセル <6730> [東証S]があるほか、化合物半導体の製造装置メーカーであるサムコ <6387> [東証P]、半導体向け中心に単結晶や光部品、レーザ光源を開発するオキサイド <6521> [東証G]をマークしておきたい。

●PSS、助川電気など各種機器・装置メーカーにも注目

半導体分野以外でも、もちろん関連銘柄は数多くある。プレシジョン・システム・サイエンス <7707> [東証G]は独自技術のDNA抽出装置を主力とし、新型コロナウイルス向け全自動PCR検査装置を手掛けていることで有名。サル痘ウイルス検査キットの販売を7月から開始すると発表し、直近で株価を急動意させた経緯がある。

熱制御技術に特化した研究開発型メーカーで原発関連有力株の助川電気工業 <7711> [東証S]をはじめ、飛行姿勢の制御技術に強みを持つドローン専業のACSL <6232> [東証G]、半導体レーザ技術を用いた製品開発を行うQDレーザ <6613> [東証G]、ロボットスーツ開発のCYBERDYNE <7779> [東証G]にも要注目。

このほか、計測器中堅のHIOKI <6866> [東証P]、不眠症治療アプリを開発するサスメド <4263> [東証G]、生産ライン向け外観検査装置を手掛けるヴィスコ・テクノロジーズ <6698> [東証S]などがある。

●ソフト・システム開発分野では自社株取得実施中のAMI

ソフト・システム開発 の分野では、足もと株価を動意させたアドバンスト・メディア <3773> [東証G]を押さえておきたい。音声認識技術「AmiVoice(アミボイス)」を活用した議事録作成システムを展開しており、テレビ会議やオンライン診療の広がりによって音声ビジネス市場が拡大するなか関連需要を捉えている。直近、発行済み株式数の約16%にあたる300万株を上限に自社株取得を実施することを発表(うち立会外で30万株取得済み)、マーケットの耳目を一気に集めた。

高速化技術を強みとするソフト開発会社のフィックスターズ <3687> [東証P]、地理情報システムを手掛けるドーン <2303> [東証S]のほか、リアルタイム技術に強みを持つソフト会社のセック <3741> [東証P]、画像処理ソフトのモルフォ <3653> [東証G]、先進運転支援システムなど画像認識ソフトを開発するフィーチャ <4052> [東証G]なども。

●バイオ関連のGEIなども

Green Earth Institute <9212> [東証G]は微生物を活用した発酵技術を核に、バイオジェット燃料などバイオマス由来の製品を開発する。ユーグレナと同様の製造系バイオベンチャーとして、マーケットの高い関心を集めている。

医療系のバイオ企業では創薬ベンチャーのペプチドリーム <4587> [東証P]、再生医療関連のセルソース <4880> [東証G]、研究用試薬を開発・製造する免疫生物研究所 <4570> [東証G]が見逃せない。このほかでは、電子基板向け薬品を手掛けるメック <4971> [東証P]、はんだメッキ薬大手の石原ケミカル <4462> [東証P]、水産食品メーカーのSTIフードホールディングス <2932> [東証S]などが面白い。

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