【杉村富生の短期相場観測】 ─深押し銘柄の"逆襲"を狙う!
「深押し銘柄の“逆襲”局面を狙う!」
●今年前半の好調組は高値しぐれ状態に!
あっという間に7月である。最近は時間が過ぎるのが速い。歳を取った証拠だろう。さて、2022年相場は前半が終わった。投資家の皆さんの1~6月のパフォーマンス(成果)はどうだったか。まあ、難しい投資環境だったと思う。方向感は乏しいし、先物に振り回される展開が続いた。それに、ショート筋の暗躍がある。
ちなみに、昨年末~今年7月1日のTOPIX500ベースの値上がり率ランキングをみると、上位には東京電力ホールディングス <9501> [東証P]、三菱重工業 <7011> [東証P]、日揮ホールディングス <1963> [東証P]、コスモエネルギーホールディングス <5021> [東証P]などがランクされている。
さらに、IHI <7013> [東証P]、INPEX <1605> [東証P]などが大幅高を演じた。ウクライナ紛争(ロシアの軍事侵攻)を受け、国際商品市況が高騰、メリット享受が期待されたエネルギー、防衛関連セクターである。この傾向は継続するだろう。ただ、原油(WTI)は1バレル=100ドルを割り込むなど、国際商品市況には変調がみられる。
やはり、各国中央銀行の利上げ、QT(量的金融引き締め)があって、景気に下押し圧力がかかっているのだろう。このため、今年前半に活躍した銘柄群は利食い急ぎと環境変化があって、高値しぐれ状態となろう。三菱商事 <8058> [東証P]、三井物産 <8031> [東証P]などもそうだが、値ぼれの買いは「不可」と判断する。
●ハイテク系の戻りが期待できる!
一方、同様に値下がりランキングをみると、Sansan <4443> [東証P]、ベネフィット・ワン <2412> [東証P]、インフォマート <2492> [東証P]、レーザーテック <6920> [東証P]、マネーフォワード <3994> [東証P]、日本M&Aセンターホールディングス <2127> [東証P]などの下げがきつい。5~6割の下落率になっている。
売られた理由はさまざまだが、業績不振、不祥事などだ。オムロン <6645> [東証P]、新光電気工業 <6967> [東証P]、アルバック <6728> [東証P]、日本電産 <6594> [東証P]などハイテク系がさえなかった。アメリカの金利上昇、ナスダック市場の不振が影響しているのだろう。
物色面での後半相場をどうみるか。まず、言えることは大きく買われた銘柄がそれ以上に値上がりするのは難しい。半面、アメリカの30年物国債利回り、10年物国債利回りのピークアウトは近い。ハイテク系のメイコー <6787> [東証P]、三和油化工業 <4125> [東証S]に注目できる。
深押し銘柄ではイビデン <4062> [東証P]、ポストコロナのベネフィット・ワン、日本M&Aセンターホールディングスの逆襲に期待したい。日本電産は永守重信氏が社長に復帰。「なぜか?」と問われ、「株価が下がったから」と答えている。いや~、やる気満々である。年初の高値(1万3840円)を目指している。
値動きの良さではわらべや日洋ホールディングス <2918> [東証P]、水素空気電池のFDK <6955> [東証S]、EV(電気自動車)充電システムのブイキューブ <3681> [東証P]、バイオ関連のプレシジョン・システム・サイエンス <7707> [東証G]、出直りのM&A総合研究所 <9552> [東証G]などに妙味があろう。
商い面ではレーザーテックが快調な戻りを示し、イオン <8267> [東証P]の動きが抜群だ。イオンは業績の拡大を評価している。リクルートホールディングス <6098> [東証P]は反発態勢、SHIFT <3697> [東証P]は出来高を伴っての急騰だ。ダイキン工業 <6367> [東証P]にはサマーストックの側面がある。
外部環境では7月13日のアメリカの6月のCPI(消費者物価指数)上昇率、26~27日のFOMC(連邦公開市場委員会)が焦点だ。政治的にはイギリスのジョンソン首相が辞意を表明、バイデン大統領の支持率は低迷している。日本では安倍晋三元首相が銃撃された。治安の良さが「売り」だったが、こんな暴力は許されない。今後の政局には注意を要する。
2022年7月8日 記
株探ニュース