鈴木英之氏【戻り一服の日経平均、ここは押し目買い好機か】(1) <相場観特集>
―2万8000円台にあと一歩、当面の投資戦略は―
週明け25日の東京株式市場では日経平均株価が8日ぶり反落となった。2万8000円近辺では戻り売り圧力が強く売りが優勢となった。前週末の米国株市場ではハイテク株中心に売りがかさみ、NYダウ、ナスダック総合株価指数ともに下落した。ここ戻り足を強めていた東京市場も、きょうはドル・円相場が円高方向に振れたことなども影響して利益確定を急ぐ動きが表面化したが、この押し目は拾い場となるのかどうか。先読みに定評のある市場関係者2人に、今後の相場展開と物色の方向性について意見を聞いた。
●「往来圏の上限を試す展開も、自動車やベアリング株など注目」
鈴木英之氏(SBI証券 投資情報部長)
全体相場全般の見方として、26~27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.75%利上げが予想され、世界的なインフレ上昇懸念はある程度織り込みつつある。この点が評価され7月相場は堅調に推移している。ただ、例年8月は夏休みシーズンということもあり、市場参加者が限られる時期。世界的にみた場合、本格的な上昇相場に移るにはなおインフレ懸念は強く、上値の重い展開が予想される。
そんななか、日本はコロナ禍からの回復で欧米に出遅れる格好で経済再開の恩恵を享受できるなど、海外市場とはやや異なる。世界的には、逆金融相場から逆業績相場を迎えつつあるが、日本は業績回復が期待できる状況にある。
こんな状況を背景に今後1ヵ月程度の日経平均株価のレンジは、下値は2万6800円、上値は2万8300円前後を見込んでいる。基本的には往来相場のなかでの値動きを見込んでいるが、そのボックス圏の上限を試す展開も期待できるだろう。
個別では、トヨタ自動車 <7203> [東証P]など自動車株や機械株などに注目。決算発表を経て株価が伸び悩むようなら買い場になるだろう。自動車株は円安が進むなか、半導体不足や新型コロナウイルス感染拡大で中国の都市封鎖(ロックダウン)が続くなか、上値を買い上がりにくかったが、これら不透明要因は後退している。機械株も同様の状況だが、特に日本精工 <6471> [東証P]やNTN <6472> [東証P]、ジェイテクト <6473> [東証P]といったベアリング3社に注目したい。ベアリングにはコロナ禍からの回復で航空機需要や戦闘機など防衛関連需要、それに風力発電関連需要などが期待できる。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(すずき・ひでゆき)
早稲田大学卒。リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資情報部長に。モーニングスター株式会社(投資調査部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て現職。ラジオ日経、ストックボイス等で相場解説を行っている。
株探ニュース