雨宮京子氏【戻り一服の日経平均、ここは押し目買い好機か】(2) <相場観特集>
―2万8000円台にあと一歩、当面の投資戦略は―
週明け25日の東京株式市場では日経平均株価が8日ぶり反落となった。2万8000円近辺では戻り売り圧力が強く売りが優勢となった。前週末の米国株市場ではハイテク株中心に売りがかさみ、NYダウ、ナスダック総合株価指数ともに下落した。ここ戻り足を強めていた東京市場も、きょうはドル・円相場が円高方向に振れたことなども影響して利益確定を急ぐ動きが表面化したが、この押し目は拾い場となるのかどうか。先読みに定評のある市場関係者2人に、今後の相場展開と物色の方向性について意見を聞いた。
●「日経平均は2万8300円台突破をにらむ」
雨宮京子氏(雨宮総研 代表)
全体相場は足もと売り優勢となっているが、前週末まで日経平均が7連騰していたことを考慮すれば当然の小休止といってよさそうだ。世界的に中央銀行による金融引き締めの動きが強化される状況にあるが、早晩行き過ぎた不安は後退するとみている。今週の26~27日の日程で行われる連邦公開市場委員会(FOMC)で引き締めに関する大方の部分は織り込む格好となるのではないか。FOMC通過後に米国株市場では戻り足が強まることが予想され、つれて東京市場でも日経平均は一段の上値をうかがう公算が大きい。
当面は3月下旬と6月上旬につけた2万8300円近辺が強力なフシ目として意識され、戻り売り圧力も強く、ここを上抜くのは容易ではないようにも見える。しかし、これから本格化する企業の23年3月期第1四半期の決算発表で好決算が相次げば、このフシを突破することは十分に可能であり、3万円大台をにらんだ新たな上昇波動形成に期待が膨らむ。
物色対象としては、半導体などハイテク系主力株の需給改善が今一つで、もうしばらくは我慢の地合いが続くかもしれない。全体相場の上昇局面でも全面高とはなりにくく、目先的には主力株についても二極化の様相を示しそうだ。当面の日経平均のレンジについて、下値は2万7300~2万7500円程度で、調整を入れたとしても押しは浅いだろう。一方、上値は2万8300円近辺が最初の関門となるが、ここを上抜けば2万9000円前後まで上値を伸ばす可能性が高いとみている。
個別株では、まず大型株の中ではリベンジ消費とインバウンド再開期待でファーストリテイリング <9983> [東証P]や、日本を代表する重電メーカーの日立製作所 <6501> [東証P]のほか、製品値上げ効果が収益に反映されている日本製鉄 <5401> [東証P]などをマークしたい。また、中小型株では直近IPO銘柄でパーキンソン病専門の老人ホームに特化しているサンウェルズ <9229> [東証G]、メタバース関連で値動きの良いKudan <4425> [東証G]、特殊土木を強みとし台風シーズンで注目度が高まりそうな日特建設 <1929> [東証P]などに目を配っておきたい。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
雨宮総研 代表。元カリスマ証券レディとして、日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスター、SBI証券 投資情報部などを経て現在に至る。
株探ニュース