円安や中国回復が追い風、 機械・設投関連株にリターン・リバーサル期待の波 <株探トップ特集>

特集
2022年7月26日 19時30分

―自動車関連の回復もプラス要因に、脱炭素パワー半導体用需要なども拡大―

日経平均株価は先週末22日まで7連騰を記録し、一時2万7900円台に上昇した。この日は27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を前に、軟調な値動きとなったが、市場にはFOMC通過後の再上昇に期待する声も少なくない。そんななか、売られた株を買い戻す「リターン・リバーサル」による反騰期待が膨らむのが 機械 設備投資関連株だ。機械株にとって円安は追い風となるほか、中国市場回復への期待も膨らむ。果たして、機械株はここから反騰基調を強めることはできるか。

●想定為替レートは120円前後、一段の円安は追い風に

機械・設備投資関連株の先行きを探る当面の注目ポイントは、為替動向と中国景気の行方だ。まず為替動向に関して、目先の市場の関心は、27日に結果が発表されるFOMCに向かっている。今回のFOMCでは0.75%利上げの見方が有力だが、FOMCを通過すれば次は8月10日の米7月消費者物価指数(CPI)、25~27日のジャクソンホール会議に向かうとみられている。当面のポイントは「米国が景気後退(リセッション)に至らないかどうか」(市場関係者)だが、アナリストからは「目先は円高方向に進んでも1ドル=135円前後で止まり、秋口以降をにらめば再び140円近辺への円安進行が見込める」との声は少なくない。この要因として「急激な利上げを進める米国と超低金利政策を続ける日本との政策の差」(アナリスト)を挙げる声は多い。

この円安は輸出セクターである機械株には追い風に働く。主な機械メーカーの想定為替レートをみても安川電機 <6506> [東証P]の23年2月期は1ドル=121円00銭、ファナック <6954> [東証P]の23年3月期は同125円00銭、牧野フライス製作所 <6135> [東証P]は同120円00銭に置かれている。1ドル=120円前後の想定為替レートが多いこともあり、130円台半ばから後半の円安水準は為替面でのプラス要因に働くことになる。

●中国ロックダウン解除で機械需要回復期待が膨らむ

更に、機械・設備投資関連株をみるうえで重要性が高いのが中国経済の動向だ。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う中国での都市封鎖(ロックダウン)による中国景気への影響が懸念された。ただ、6月に上海市のロックダウンが解除されるなど先行きに明るさが見え始めている。今月1日に財新・マークイットが発表した中国6月製造業購買担当者景気指数(PMI)は51.7と景況改善・悪化の分岐点となる50を4ヵ月ぶりに上回っている。実際、日本工作機械工業会が発表した6月の工作機械受注額は中国向けが前年同月比24%増と前年実績を5ヵ月ぶりに上回った、と伝わっている。更に、6月日銀短観では日本企業の設備投資計画が全規模全産業で前年度比14.1%増と設備投資に前向きな姿勢が出ている。

同じ輸出セクターでも半導体関連などハイテク株が高PERグロース株の性格を持つのに対して、機械株は比較的低PERが多いバリュー株の性格を持つ銘柄も少なくない。特に「半導体不足が緩和し、今後自動車生産の回復が見込めることは機械株にとってプラス要因」(アナリスト)との見方が多い。今後、機械・設備投資関連株にはリターン・リバーサルに向けた動きが期待されている。

●ハーモニック、DMG森精機、旭ダイヤなど注目

個別銘柄では、市場の注目度が高いのがファクトリーオートメーション(FA)関連株だ。今月上旬に第1四半期決算を発表した安川電の連結営業利益は、前年同期比7.8%増の139億5300万円だった。市場には「想定に比べ伸び悩み」との評価もあったが、「第2四半期からは半導体の調達環境の改善で業績は拡大していく」(アナリスト)との期待もある。SMC <6273> [東証P]やキーエンス <6861> [東証P]、ハーモニック・ドライブ・システムズ <6324> [東証S]などにも注目したい。

工作機械業界は6月の受注総額が前年同月比17.1%増と底堅く推移している。DMG森精機 <6141> [東証P]は5月に22年12月期の連結営業利益を400億円から450億円(前期比95.1%増)に増額修正するなど堅調。脱炭素・自動化絡みの受注が伸びている。牧野フは電気自動車(EV)向け高精度加工分野などで活躍余地を広げており、中期成長が期待されている。ベアリングでは日本精工 <6471> [東証P]やNTN <6472> [東証P]などに注目。NTNは業績回復期に入り、今期は3期ぶりの復配が計画されている。更に、旭ダイヤモンド工業 <6140> [東証P]はダイヤモンド工具の大手。炭化ケイ素(SiC)を始めとするパワー半導体用加工ツールの成長が期待されており、業績も増益基調にある。

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