伊藤智洋が読むマーケット・シナリオ【週間展望】 8月28日版
日経平均株価は9月中に一気に2万4681円まで下げる公算も
1. 日経平均株価は弱気の年なら、9月までに年初来安値へ接近する
日経平均株価の1990年以降のチャートで、9月以降に年間の最安値を更新している年は、1990年、1993年、1996年、1997年、1998年、2000年、2001年、2002年、2007年、2008年、2011年、2018年の12回あります。
過去12回の中で、うち10回は9月までに価格が年間の最安値に近い値位置まで下げています。
過去10回は、「9月までに年初来安値に接近して、9月にいったん年初来安値付近から反発した後、10月以降に下値を切り下げる展開になる」か、または「それまでの下げの流れを継続して、9月以降も年初来安値を切り下げる流れを作る」かのどちらかの展開となっています。
どちらであってもこれらの年は、9月には年初来安値に急接近しているか、下抜いています。
9月までに年初来安値に近づいていない年は、1993年と2018年の2回です。
これらの年は、10月から12月の期間に急落して、年間の最高値付近から一気に下値を切り下げる展開となっています。
1993年は、4月と9月に2回の経済対策を実行しました。前半は経済対策への期待や、バブル崩壊後、下げ続けていたことの反動もあり、株価を押し上げましたが、9月以降、下降を開始して、11月に年初来安値を割れています。
2018年は、10月以降、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融引き締め政策が注目されて、それまでの下値堅い状況が一変します。
この過去2回は、前半に株価を押し上げる材料が注目されていましたが、後半になって市場参加者の注目するポイントが弱気材料へと変わったことで、9月、10月以降、急激な下げ場面となりました。
本年は米国の場合、金融引き締め政策が先行きの景気を落ち込ませる可能性がある点、日本の場合、コロナ不況から脱出する道筋の見えないことが、年初から株価を抑える要因になっています。