【杉村富生の短期相場観測】 ─売り方が演出し、主演する急騰劇!

市況
2022年10月16日 9時15分

「売り方が演出し、主演する急騰劇!」

●ベアマーケットラリーの認識は必要!

これは売り方(ショート筋)が演出、主演する急騰劇である。彼らはここ数週間、CPI(米消費者物価指数)ショック再来を唱え、先物を売りまくった。いわゆる、CPIうんぬんは売るための口実、買わない理由にすぎない。古来、泣く子と需給に勝てない、需給はすべての材料に優先する、という。

イベント通過とともに、ショート筋は積み上がった売りポジションの手仕舞いを始めた。さらに、11月決算のヘッジファンドの「45日前ルール」(解約の申し入れは決算期末の45日前までに行うこと)に伴うヘッジ売りが一巡したようだ。すなわち、需給悪のピークは過ぎた、と判断できる。

まあ、悲観主義者はあらゆる機会の中に困難を見出す、といわれている。探せば売る材料はいくらでもある。ただ、6月20日(日経平均株価は2万5520円の安値)、10月3日(同2万5621円の安値)がそうだったように、売られすぎは必ず修正される。今回もそうなっているではないか。

なお、注目の9月の米CPI上昇率は前年同月比8.2%(8月は8.3%)と、事前予想(8.1%)を上回った。これをイヤ気し、13日のNYダウは瞬間549ドル安と急落したものの、大引けは827ドル(2.83%)高と切り返して終わった。ナスダック指数は2.23%の反発だ。ショート筋の買い戻しだろう。

ちなみに、VIX(恐怖)指数は4.86%の低下、SOX(半導体株)指数は2.94%の上昇をみせている。金利は上昇した。2年物国債利回りは4.466%、10年物国債利回りは3.954%だ。これを受け、円は1ドル=147円台後半の円安に振れている。介入警戒感は存在するが、単独介入には限界があろう。

●個別銘柄対応の投資戦術が有効!

CPI上昇率の高止まりを反映、11月1~2日のFOMC(公開市場委員会)では0.75%(75ベーシスポイント)の利上げの確率がほぼ100%に高まっている。1%(100ベーシスポイント)の利上げを予想する向きもある。12月13~14日のFOMCでも0.75%の利上げが確実視されている。

当面、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策に一喜一憂する展開となろう。バイデン政権にとっては「インフレ抑制」が最優先課題だ。したがって、引き続いてベア(弱気)マーケットとの認識が欠かせないし、個別銘柄対応の投資戦術が求められる。この基本方針は不変である。そう、各論勝負と主張している。

具体的な銘柄はどうか。まず、隠れた円安メリット銘柄を狙いたい。エムスリー <2413> [東証P]、東映アニメーション <4816> [東証S]、リクルートホールディングス <6098> [東証P]、サンリオ <8136> [東証P]などがそうだ。サンリオはインバウンド(テーマパークを運営)の切り口がある。

一方、大幅な円安(年初比30円超)にもかかわらず、為替レートを110~115円に据え置いている企業が存在する。増額修正予備軍である。たとえば、THK <6481> [東証P]、日本電産 <6594> [東証P]、NEC <6701> [東証P]、ジェイテクト <6473> [東証P]、コマツ <6301> [東証P]など。

個別銘柄ではパワー半導体製造装置を手掛ける高田工業所 <1966> [東証S]、グローバルニッチ企業の湖北工業 <6524> [東証S]、アルファベット(グーグル)<GOOGL>と密接な関係を有するBeeX <4270> [東証G]、プレイド <4165> [東証G]は中・長期的に狙える。

プレイドは2021年4月20日に5080円の高値をつけた。IPOとアルファベットの人気に乗った格好である。しかし、今年8月10日には360円の安値まで売り込まれた。実に、14分の1だ。経験則的にはファンダメンタルズの好転があれば安値3倍(1080円目標?)になるのだが……。

2022年10月14日 記

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