物価高もフォローの風、好決算光る「リユース関連」本格飛翔へ <株探トップ特集>

特集
2022年10月20日 19時30分

―市場規模は12年連続で拡大中、割安感追い風に25年には21年比3割増へ―

10月に入って以降、リユース 関連企業に好決算が相次いでいる。トレジャー・ファクトリー <3093> [東証P]が12日に発表した第2四半期累計(3-8月)連結決算は営業利益が前年同期比6.5倍となったほか、ブックオフグループホールディングス <9278> [東証P]が13日に発表した第1四半期(6-8月)連結決算は営業利益が同3.8倍となった。

ロシアによるウクライナ侵略に端を発した資源高や円安により、あらゆる物の値段が上昇している。リユース品も例外ではないが、相対的に割安感があることから、生活防衛の手段としても需要は高まっている。今後もリユース市場の活況は続くとみられており、関連銘柄には引き続き要注目だろう。

●生活防衛意識の高まりが後押し

かつては「リユース」といえば、「中古品」というイメージから敬遠する人が多かった。例えばファッション業界ではリユース(古着)といえば長年、文字どおり「お古」のイメージで、購入するのは主に安価な服を探す人かコレクターだった。しかし近年では、流行ではなく自分だけのファッションを求める人や、コスパ(コストパフォーマンス)を重視する若者を中心に、多くの消費者が古着を新品と同等かそれ以上と考えるようになっており、リユース品を好んで購入する人が増えている。

これらに加えて、社会のSDGs推進の動きやメルカリ <4385> [東証P]をはじめとするフリマアプリの普及によりリユース市場は拡大傾向にあったが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う巣ごもりにより、不用品を売却したり、中古品を購入したりする人が増え、リユース業界の活発化に勢いがついている。更に、前述のように物価高による生活防衛意識の高まりもあり、これらがリユース各社の業績好調の背景にある。

●21年のリユース市場は2.7兆円規模へ

リユース業界の専門紙である「リサイクル通信」が独自にリユース市場規模の推計を行ったところ、2021年のリユース市場規模は、前年比11.7%増の2兆6988億円と12年連続で拡大した。同調査によると、20年は緊急事態宣言による休業や時短営業を強いられたが、外出自粛なども薄れたことから店舗販売が同12.0%増と回復。ネット販売のBtoCもコロナ禍でECに注力する事業者の流れが反映され同14.7%増となったという。

リユース市場は足もとで割安な中古品に注目が集まっていることを追い風に、今後も拡大が見込まれており、同調査では22年には3兆円規模になると推計。更に拡大トレンドは継続する見込みで、25年には3兆5000億円規模になると予測している。

●テイツーの8月中間期決算は38%営業増益

リユース関連銘柄の好業績銘柄としては、前述のトレファク、ブックオフG以外にも、第1四半期(4-6月)時点で増益が確認された「2nd STREET」を展開するゲオホールディングス <2681> [東証P]、「ハードオフ」を展開するハードオフコーポレーション <2674> [東証P]などが上期決算への期待も高まるが、直近で四半期決算を発表したものではテイツー <7610> [東証S]の好決算ぶりが目立つ。

同社が今月14日に発表した第2四半期累計(3-8月)連結決算で、営業利益は前年同期比38.2%増の8億6100万円となった。「ポケモンカードゲーム」や「遊戯王OCG」「ワンピースカードゲーム」などのトレーディングカード(トレカ)が中古、新品ともに好調を継続した。23年2月期通期では営業利益14億1000万円(前期比8.2%増)を見込む。同社では改革期を経て、再成長期に移行していると認識しており、今後はリユースEC領域の強化や、リユースBtoB領域への進出により27年2月期に営業利益20億円を目指すとしている。

バリュエンスホールディングス <9270> [東証G]は今月14日に22年8月期決算を発表し、営業利益は18億8800万円(前の期比61.6%増)で着地。続く23年8月期は同25億円(前期比32.4%増)と4期ぶりの最高益更新を見込む。同社は買い取り専門店「なんぼや」を展開しており、今期は新規出店の再加速を計画。それに伴うコストは増加するが、増収効果で吸収する。

●コメ兵HD、シュッピンは月次売上高が好調

次に月次動向が好調なものとして、ブランド品買い取り販売のコメ兵ホールディングス <2780> [東証S]が挙げられる。今月7日に発表した9月度の月次売上高は前年同月比27.9%増と増収基調が継続した。宝石・貴金属などの高額品需要が堅調に推移しているほか、9月は3~25日に秋の大決算バーゲンを開催したことが寄与した。なお、第2四半期決算の発表は11月14日の予定だ。

カメラや時計などの中古品や新品を買い取り販売するシュッピン <3179> [東証P]が今月7日に発表した9月度売上高は前年同月比18.0%増と20ヵ月連続で前年を上回った。カメラ事業、時計事業がともに好調で、特に時計事業の免税売り上げが回復基調。両事業ともに国内だけではなく海外での需要も高く、円安効果もあって越境ECが大幅に伸長した。なお、第2四半期決算の発表は11月8日の予定だ。

神奈川県を中心に家電やデジタル家電、趣味商品などのリユースに強みを持つワットマン <9927> [東証S]が今月11日に発表した9月度既存店売上高は前年同月比12.3%増と8ヵ月連続で前年を上回った。服飾や家電、オーディオ、ホビージャンルが伸長したほか、海外輸出が増加。ここ数年取り組んできたネット通販の強化や専門ジャンルの強化などが寄与した。なお、第2四半期決算の発表は11月14日が予定されている。

●バイセルは8月に今期予想の上方修正を発表

このほか、着物などの出張訪問買い取りに強みを持つBuySell Technologies <7685> [東証G]は、8月12日に22年12月期連結業績予想について、営業利益を31億円から33億5000万円(前期比44.7%増)に上方修正したことで足もとの好業績がうかがえる。また、中古品買い取りサイト「高く売れるドットコム」を運営するマーケットエンタープライズ <3135> [東証P]は22年6月期第4四半期(4-6月)売上高が四半期として過去最高の売り上げを記録し、23年6月期は営業利益3億円(前期3億1900万円の赤字)と黒字転換を見込む点に注目したい。

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