明日の株式相場に向けて=覚醒する半導体セクターの中小型株

市況
2022年10月25日 17時00分

きょう(25日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比275円高の2万7250円と続伸。後半は上げ幅を縮小しており、戻りに弾みがついているという印象はないが、下値切り上げ型の三角もち合いで上値慕いの典型となっている。当欄では今月13日に陰の極からのリバウンドの可能性に言及したが、翌14日の853円高はまさに追い詰められたコーナーポストで目をつぶったまま繰り出したアッパーカットがラッキーパンチとなったような上昇だった。ただ、今振り返るとここでいったん態勢が入れ替わった感がある。再び売り方が動揺してショートカバーを誘発しやすい地合いに変わっている。

米国で今後FRBの金融引き締めピッチが減速するとのシナリオが、買い方にすれば反撃のロジックだ。具体的には11月のFOMCでの0.75%の利上げはほぼ動かし難いものの、12月は0.5%で済みそうだという観測。これまでは12月についても5会合連続の0.75%がメインシナリオとなっていたが、「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の観測記事が出てからは、Fedウォッチで0.5%を予想する向きが全体の50%を超え逆転した」(ネット証券アナリスト)という。またこれに合わせて、ターミナルレート、いわゆる最終的な金利の上限についても「従来から25ベーシスほど低下し、4.75~5.0%が予測の本線となった(それ以前は5.0~5.25%)」(同)とする。

たかが25ベーシスの違いで売り方が恐怖するほどのインパクトがあるかどうかだが、相場の流れを変えるのは、材料の重さよりもタイミング的な要素が大きい。要はこのWSJを使った観測気球が何を意図していたかがポイントで、「FRBが金融引き締めによる経済のオーバーキルを回避したいという意思を提示し、マーケットに打診したものである」(中堅証券ストラテジスト)という仮説が成り立つとすれば、それは株式市場にとってはポジティブ材料として威力を発揮する。“中央銀行には逆らうな”という相場格言が、今度はショートポジションを積み上げた売り方にのしかかることになる。

日米ともに空売り筋が焦燥感を覚える局面が訪れているということになる。現在の相場は完全に金利動向とリンクしており、景気減速を示す経済指標がむしろ株式市場には心地良いものとなる。ただ、覚えておかなければならないのは、景気が減速すれば企業業績にも押し下げ圧力が働くということだ。今はインフレというモンスター退治でマクロに目が向いているが、株式市場は個別企業(ミクロ)の株価の集大成である以上、中期的な観点では業績悪を嫌気する逆業績相場とどこかのタイミングで向き合わなければならない。例えば来年はインフレが沈静化しても、強弱観の争点は既にそこではない可能性がある。

ともあれ今は風向きが順風に変わっていることで、足もとの個別株戦略に意識を傾けたい。中国の習近平総書記があからさまに最高指導部4人を入れ替え徹底的に内輪で固めたことが、世界では半ば驚きをもって受け止められている。台湾有事の下準備というのは穿(うが)ち過ぎとしても、統制強化の足かせが外れないとの思惑は現実味を帯びている。当分はゼロコロナ政策の継続が見込まれるなか、東京市場もインバウンド関連は勢いを削がれる格好となっている。しかし、これとは入れ替わりで半導体 関連株に投資マネーがシフトされており、目先の地合いの変化を捉えておくことも大切となる。

レーザーテック<6920>はきょうで6連騰となったが、さすがに上値は重くなってきた。だが、半導体関連の中小型株についてはこれからが書き入れ時である。半導体実装用テープを手掛ける巴川製紙所<3878>が動兆しきりだ。また、半導体用プローブカードを主力とする日本マイクロニクス<6871>や、パワー半導体関連で存在感を示すタムラ製作所<6768>などの上値にも期待。このほか、穴株としては車載用半導体を展開するミタチ産業<3321>半導体商社の栄電子<7567>などをマークしておきたい。

あすのスケジュールでは、9月の企業向けサービス価格指数、8月の景気動向指数改定値など。またIPOが2社予定されており、東証グロース市場にAtlas Technologies<9563>、リンカーズ<5131>が新規上場する。海外では9月の豪消費者物価指数(CPI)、9月の米新築住宅販売件数が発表されるほか、カナダ中銀とブラジル中銀が政策金利を発表する。海外主要企業の決算発表では、ボーイング<BA>とメタ・プラットフォームズ<META>などが注目されている。なお、インド市場は休場。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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