来週の株式相場に向けて=マザーズ指数の上昇基調は続くのか
28日の日経平均株価は、前日の米ナスダック安を背景に一時300円超の下落となり、その後、下げ渋ったものの、後場にかけ再び売り直された。「午後にかけ時間外の米長期金利が上昇したほか、香港ハンセン指数の下落などが警戒された」(市場関係者)という。
中国共産党大会を経て習近平体制は3期目に入った。指導部を側近で固めており「経済重視の姿勢が見えない」(同)ことが、香港株式市場の動揺となって表れているようだ。ただ、中国市場の株安で東京市場への資金シフトが向かうことを期待する声も強まっている。
そんななか、来週の11月1~2日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。4回連続となる0.75%利上げが有力視されているが、12月FOMCでの0.5%利上げへのペース減速が示唆されるかが最大のポイント。2日のパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見が注視されている。
すでに利上げペース鈍化を市場は先読みしており、足もとの半導体関連株の反発などとなって株式市場を押し上げている。注目されるのは、半導体関連などの上昇はリスクマネーの増加を意味し、中小型株などグロース株買いが期待できる点だ。新興市場の指標となるマザーズ指数の10月の上昇率は7%強と日経平均株価の4%強をアウトパフォームしている。日本の新興市場は内需株が多く米中摩擦などの影響を受けにくいことも再評価の要因だ。東証グロース市場の時価総額上位銘柄である、ビジョナル<4194>やAppier Group<4180>、ティーケーピー<3479>などは上昇基調を強めており、米長期金利が低下し東証マザーズ指数の上昇が続くのなら中小型株には見直し余地が大きい。
来週の最大の注目点はFOMCだが、同時に1日には米10月ISM製造業景況感指数、3日に同ISM非製造業景況感指数、そして4日に米10月雇用統計と12月FOMCを左右する重要経済指標が発表される。また、日本国内では決算発表シーズンの真っ最中となる。特に、11月1日発表のトヨタ自動車<7203>やソニーグループ<6758>などが注目を集めそうだ。また10月31日にはコマツ<6301>やレーザーテック<6920>、2日にはSUBARU<7270>やエムスリー<2413>、4日には伊藤忠商事<8001>や日本郵船<9101>などの決算が予定されている。3日は文化の日で休場となる。来週の日経平均株価の予想レンジは、2万6800~2万7400円前後。(岡里英幸)