プラチナは堅調、米利上げ減速・供給不足の観測が支援要因に <コモディティ特集>

特集
2022年12月7日 13時30分

プラチナ(白金)の現物相場は11月、米連邦準備理事会(FRB)の利上げペース減速の見方を受けて堅調となり、3月以来の高値1058ドル台をつけた。その後は、英国の景気後退(リセッション)に対する懸念や米金融当局者のタカ派発言を受けてドル高に振れたことから上げ一服となった。ただ、パウエル米FRB議長が講演で利上げペース減速の見方を示したことをきっかけに地合いを引き締めた。

今月13~14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では50ベーシスポイント(bp)利上げとこれまでの75bp利上げから減速するとみられている。10月の米消費者物価指数(CPI)は、前年比7.7%上昇と前月の8.2%上昇から伸びが減速した。13日に11月の米CPIの発表があり、引き続き減速するかどうかを確認したい。

一方、11月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が予想以上に増加したことや、米ISM非製造業総合指数(NMI)が予想外に上昇したことは米経済の堅調を示しており、インフレ抑制のため、利上げを継続する必要があるとみられている。

CMEのフェドウォッチで、ターミナルレート(政策金利の最終到達点)が低下する場面も見られたが、堅調な経済指標を受けて5.00~5.25%に戻した。ただ、来年3~5月に利上げ打ち止めとの見方が強く、ドルが戻りを売られればプラチナの支援要因になるとみられる。

●プラチナは供給不足に転じる見通し

各国の中央銀行の積極的な利上げで英国やユーロ圏の景気後退が意識されていることはプラチナの上値を抑える要因だが、ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)の四半期報告で来年に供給不足に転じる見通しが示されたことは強材料である。来年は需要が19%増加する一方、供給が2%増にとどまり、需給が引き締まるとみられている。

中国では輸入増加による現物市場のひっ迫や脱炭素化の動きが強調され、投資需要につながるとの見方が指摘されている。中国はこれまでゼロコロナ政策で厳しい制限措置を採っていたが、抗議活動などを受けて一部緩和する動きも出ている。オミクロン株の致死率が非常に低いことから、感染症分類を来年1月に引き下げる可能性があると伝えられており、中国の経済活動が再開すると、需要がさらに増加するとみられる。

●NYプラチナの大口投機家の買い越しが拡大

プラチナETF(上場投信)残高は12月5日の米国で32.66トン(10月末33.99トン)、英国で13.95トン(同14.01トン)、南アフリカで9.68トン(同9.60トン)となった。3月以来の高値をつける中、合計で1.31トン減少した。ただ、米FRBの利上げ打ち止めが視野に入っており、各市場の動向と投資資金の動きを確認したい。

一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、11月29日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万4259枚(前週2万2490枚)に拡大し、3月8日以来の高水準となった。プラチナ価格を押し上げたのは先物市場での大口投機家の買いも一因である。

(MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行)

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