富田隆弥の【CHART CLUB】 「NYダウのダブルトップが確定」

市況
2022年12月17日 10時00分

◆注目されたFOMC(米連邦公開市場委員会)が終わった。重要イベントを終えてマーケットはいよいよクリスマスに一直線……と言いたいところだが、米国ではまだ16日にメジャーSQ(先物・オプション清算日)が控えている。需給の重要イベントであり、クリスマスムードに浸るのはここを無事に通過してからだろう。

◆この原稿を書いているのは日本時間で日付が16日に変わったところだが、15日のNYダウは700ドルほど下げて3万3200ドル台になっている。この下落には少なからずメジャーSQに絡む需給が関わっているのだろう。

◆NYダウは、10月13日の2万8660ドルを安値に12月1日の3万4595ドルまで一本調子で6000ドル近く上昇してきた。12月13日には上ヒゲで3万4712ドルの高値を付けたが、ここまでの上昇にはショートカバー(買い戻し)など先物・オプションに絡む売買が多分に関わっていた。そして、メジャーSQを前に今度は買い方(ロング)が利益確定売りに出てきてもおかしくはない。

◆NYダウの日足チャートを見れば、12月1日高値の3万4595ドルと13日高値の3万4712ドルで「ダブルトップ」形成の気配を漂わせていた。その間の6日に3万3418ドルの安値があるが、15日の下落ではそこを割り込み、日足チャートは「ダブルトップ」を確定させた。ポイントの一つである25日移動平均線(14日時点3万3835ドル)も割り込んでおり、NYダウは調整入りの可能性を高めたと言える。

◆そうなると、日本株への影響も心配になる。日経平均株価の15日終値は2万8051円と25日移動平均線(2万7971円)の上にある。8日に2万7415円まで下げたものの、75日線にサポートされて切り返した。だが、11月24日の高値2万8502円は奪回できず、チャートは調整入りの兆しを灯したままである。

◆5年間で総額43兆円の防衛費が突如浮上し、与党は財源確保へ「法人税、所得税、たばこ税」の増税方針を税制改正大綱に盛り込むことで合意した。“師走”だからではあるまいが、駆け足であっという間に決めてしまった。日本の株式市場はこのドタバタ劇を見て見ぬふりをして「クリスマスムード」に浸れるのだろうか。

◆ボーナス資金獲得に努めた金融界の「株高」作戦もピークアウト。そして、NYダウのチャートは調整入りを暗示する。こうなると、懸念された「12月前半に戻り高値を打つ」というアノマリー(経験則)の信憑性が増してくる。この局面では「静観」姿勢を保って、平穏にクリスマスを迎えたい。

(12月15日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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