為替週間見通し:底堅い値動きか、米金融引き締めは長期化の公算
【今週の概況】
■米金融引き締め策の長期化を警戒してドル売り縮小
今週のドル・円はもみ合い。週前半は米長期金利の上昇を受けたドル買いが強まり、137円台後半まで買われたが、12月13日発表の11月消費者物価指数は市場予想を下回り、ドルは135円を割り込んだ。13-14日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.5ポイント引き上げ、4.25-4.50%とすることが決定された。0.5ポイントの利上げは予想通りだったが、FOMCで公表された最新の金利見通しでは2023年末までに政策金利は5%台前半まで上昇すると予想されており、金融引き締め策の長期化を警戒してドル売りは縮小した。パウエルFRB議長が会見で「インフレが2%まで低下するとの確するまで利下げはない」と述べたこともドル買い材料となった。15日の欧米市場でもドル買い・円売りが優勢となり、ドルは一時138円台前半まで買われる場面があった。
16日のニューヨーク外為市場でドル・円は一時、136円台前半まで下落した。この日発表されたS&Pグローバル12月米製造業PMI速報値と同サービスPMI速報値はいずれも市場予想を下回り、景気後退の懸念が再浮上した。経済指標の悪化を受けてリスク選好的なドル買いは縮小し、ドル・円は136円68銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:134円54銭-138円17銭。
【来週の見通し】
■底堅い値動きか、米金融引き締めは長期化の公算
来週のドル・円は底堅い動きとなりそうだ。経済・金融関連の重要イベントの通過に伴い、安全逃避的なドル買いは一服する可能性がある。米長期金利の低下もドル売り要因となる。ただ、米金融引き締め策の長期化が想定されており、ドルは下げづらい状態が続くと予想される。米連邦準備制度理事会(FRB)は13-14日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、利上げ幅を0.75ポイントから0.50ポイントへの縮小を決定。ただ、今回の会合で注目された金利見通しを示すドット・チャートの2023年の中央値は前回9月の4.6%から5.1%に上方修正されている。
パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で今後の金融政策について景気抑制的な政策スタンスとして不十分とし、インフレを抑え込むまで引き締め的な政策を維持する方針を改めて示した。米10年債利回りの低下はFRBの引き締め鈍化を織り込んでいるが、年末年始の休暇入りを控え投機的なドル売りは縮小し、ドル・円は底堅い値動きとなる可能性がある。
【米・5月消費者信頼感指数】(21日発表予定)
21日発表の米12月消費者信頼感指数は101.0と、11月の100.2を上回る見通し。比較的安定して推移しており、市場予想に沿った内容であれば景気減速懸念は弱まり、金融引き締め政策を後押ししよう。
【米・11月PCEコア価格指数】(23日発表予定)
23日発表の米11月PCEコア価格指数は前年比+4.6%と、上昇率は鈍化する見通し。インフレのピークアウトが改めて示されれば金融引き締め長期化への期待は後退し、金利安・ドル安の要因に。
予想レンジ:135円00銭-139円00銭
《FA》