佐藤正和氏【強烈な上昇続く東京市場、天井はまだ先か】(2) <相場観特集>
―米株高と円安を追い風に日経平均は3万1000円台へ―
29日の東京株式市場は、リスクオン相場が継続する形で日経平均株価は3万1000円台を大きく回復してきた。米国で懸案だった債務上限引き上げを巡る問題が解決の方向に向かったことが、マーケットの強気心理を後押しし前週末の欧米株市場がほぼ全面高となったことが追い風となっている。ここから更に上に行くのか、そして株式相場のカギを握る為替動向はどうなるのか。業界第一線で活躍する市場関係者2人に今後の展望を聞いた。
●「6月FOMCを意識の展開に、ユーロは上昇基調」
佐藤正和氏(外為オンライン シニアアナリスト)
米債務上限問題は、2025年まで法定上限を引き上げることで基本合意した。その内容には妥協も目立ち、デフォルト(債務不履行)を避けることが優先されたようにも見える。この合意を受けて米債券市場が売られるのか、あるいは買われるのか、メモリアルデーの休場明けとなる30日の米国市場の反応に注目している。
より長い目では、市場の関心は6月米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げが実施されるかに向かっている。米1~3月期国内総生産(GDP)改定値は、速報値から上方修正されたほか、米新規失業保険申請件数も予想ほどは増えず、経済指標は底堅さが目立つ内容となっている。
個人的には6月FOMCでは政策金利の据え置きを予想している。ただ、今週末2日の米雇用統計や13日の米消費者物価指数(CPI)の結果に左右される面も大きいだろう。もし6月に利上げがあるとしても、残りは多くて年内にもう1回程度だろう。利上げ局面は終盤を迎えており、昨年のような急ピッチでの利上げが行われる状況ではない。6月の日銀金融政策決定会合も、金融政策の現状維持を見込んでいるが、年後半に向けて国内での物価上昇が続くようなら、日銀も金融政策の見直しを迫られることになるだろう。
こうしたなか、今後1ヵ月程度のドル円相場のレンジは1ドル=135円00~142円00銭前後を見込んでいる。ドルはFOMCの前後にかけ値の荒い展開が予想される。ユーロは対ドルでは1ユーロ=1.06~1.11ドル前後、対円では同=147~153円前後のレンジを予想する。欧州中央銀行(ECB)理事会での利上げも見込まれるなか、ユーロ高の基調を予想している。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(さとう・まさかず)
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。通算20年以上、為替の世界に携わっている。
株探ニュース