明日の株式相場に向けて=FOMCと日銀決定会合は嵐を呼ぶか
きょう(20日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比218円安の3万3023円と続落。指数の下げ幅自体は大したことがないが、値下がり銘柄数が全体の86%を占めており、地味に“全面安商状の一歩手前”くらいの弱い地合いだったといえる。中銀ウィークである今週は、何といってもFRBと日銀の政策決定会合にマーケットの視線が集中する。日本時間あす未明に判明するFOMCの結果は追加利上げ見送りの公算大だが、問題はドットチャートとフォワードガイダンス、そしてパウエルFRB議長の記者会見の発言内容がどうなるかである。パウエル氏がタカ派的発言で利上げ終了ムードに釘を刺す可能性はそれなりに高い。その際、年内あと1回の0.25%利上げがあるか否かということ以上に、来年の早期利下げ期待の剥落をマーケットは恐れている。
一方、週末22日に発表される日銀金融政策決定会合も現状の緩和政策に変更なしが基本線ながら、こちらも植田日銀総裁が会見で何を述べるかに市場筋の関心は高い。政府・日銀は急速に進む円安に歯止めをかけることに腐心しているが、マイナス金利の解除は、住宅ローンの問題なども考慮して簡単ではない。今はまだポーズを見せるにとどまりそうだが、とはいえ今回の会合で「日銀動かず」となると仕掛け的な円売りが懸念される。それを牽制するためには、握りしめたゲンコツを見せるにもそれなりのインパクトが求められる。
前日に三井住友銀行が、個人向け米ドル建て定期預金の金利をこれまでの0.01%から一気に5.30%に引き上げると発表したが、これは富裕層のドル建て預金を急増させる可能性がある。三井住友にすれば、これだけ金利をつけても為替手数料で利益は十分取れるという判断と思われるが、問題はこうした動きが他のメガバンクや地銀に波及すると、円安を加速させる可能性があることだ。この話は日銀の政策変更を催促する背景ともなり得るだけに、今後のドル建て預金金利引き上げに絡む銀行のリリースには注意が必要となる。
きょうは地合い悪のなかで 半導体関連に頑強な値動きを示すものが散見されたが、前週にも触れたように循環物色の一環で波の上下動に過ぎない。基本的に押し目を買い下がりリバウンドしたらあまり引っ張らず利益を確定しておく方がよい。半導体市況の回復が従来想定より遅れていることは同関連株におおむね織り込まれており焦る必要はないが、かといって今資金を投下して本格反騰を待つと言えるほどのタイムリーな時間軸ではなさそうだ。次の半導体関連の上昇シナリオを先導するのは「生成AI」であることは論をまたない。しかし、半導体セクターの株価底上げ局面はもう少し先とみておきたい。
リアルタイムでは引き続きトヨタ周辺株を徹底マークしておくところ。例えばトヨタ系自動車部品会社で内装用レザーを手掛ける共和レザー<3553>に改めて注目してみたい。9月1日にマド開け大陽線で上放れた後も売り物を吸収し水準を切り上げているが、足もとの上昇一服場面は狙い目。依然としてPBRは0.5倍に届かず、解散価値の半値以下の水準で先高期待を内包している。このほか、トヨタを筆頭株主とする特殊鋼大手の愛知製鋼<5482>やトヨタ向けを中心にプレス部品を製造販売する太平洋工業<7250>も押し目は狙える。愛知鋼のPBRは共和レザーよりも低い0.4倍台だ。
目新しいところでは自動車用ばねを手掛ける中央発條<5992>。トヨタが24%の株式を保有する筆頭株主であり、売り上げの約6割がトヨタ向けだ。700円台後半でもみ合いを続けているが、0.2倍台の超低PBRを考慮すると、この踊り場の先には上り階段が待っている公算が大きい。2月2日の年初来高値792円奪回が目前だが、一昨年(21年)7月に1447円の高値をつけており、時価は中長期視点に立てばまだ底値圏に近い。
あすのスケジュールでは、前場取引時間中に8月の白物家電出荷額、後場取引時間中には8月の食品スーパー売上高が発表される。また、午前中に3カ月物国庫短期証券の入札が予定されている。IPOが1社予定されており、東証グロース市場に揚羽<9330>が新規上場する。海外では、英中銀の金融政策委員会の結果発表のほか、インドネシア、トルコ、スイス、スウェーデン、ノルウェー、南アフリカ各国の中銀が政策金利を発表する。米国では週間の新規失業保険申請件数や9月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数が発表される。また、4~6月期の米経常収支、8月の米中古住宅販売件数、8月の米景気先行指標総合指数などにもマーケットの関心が高い。(銀)