来週の株式相場に向けて=「米金利ショック」の行方探る、一部グロース株に物色機運
10月に入り日経平均株価は4日に一時3万400円台まで下落するなど、厳しい下げに見舞われた。この背景にあるのは「金利ショック」とも呼ばれる米国の金利上昇だ。米長期金利は一時4.8%台と16年ぶりの水準に上昇し5%に接近。この金利上昇が嫌気されNYダウなど米国株が売られ、同時に日本株も下落基調となった。
足もとでバリュー株の急落が注目を集めているが、「日本株をドル建てベースでみた場合、円安進行で下げがきつくなっている。海外投資家はバリュー株を中心に利益確定売りを出しているのではないか」(アナリスト)との見方が浮上している。海外投資家からみれば、「米10年債が5%近い水準となれば素直に米国債を買った方がいい」(同)となる。
今後の米金利を見るうえでは、やはり今晩発表の米9月雇用統計と来週12日の同消費者物価指数(CPI)の重要性は一段と増している。来週以降の相場展開は、この2つの経済指標に大きく左右されそうだ。もう一つの懸念材料は、米下院議長解任を巡るゴタゴタだ。11月には再び米政府閉鎖を巡る混乱が起こりかねず警戒要因に浮上している。
とはいえ、秋相場入りとともに混迷の様相が強まっているなか、市場には「日経平均株価は下がっても3万円割れ程度だろう」(市場関係者)との見方は少なくない。買い出遅れた国内機関投資家や個人投資家のバリュー株などを拾う意欲は強い様子だ。
また、半導体関連などグロース株への見直し機運も指摘されている。半導体株も大型株よりイビデン<4062>やマクニカホールディングス<3132>のような部材株や商社株に物色機運を指摘する声がある。依然として不安心理は強い局面だが、そろそろ下値を拾う局面に到達しつつあるともみられている。
上記以外の来週のスケジュールでは、11日に9月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が公表される。13日に米ミシガン大学消費者マインド指数、中国9月CPIが発表される。同日にはJPモルガン<JPM>やシティグループ<C>の決算発表があり、米国は決算シーズンに突入する。
国内では9日はスポーツの日の祝日で休場。10日に9月景気ウォッチャー調査、12日に機械受注が発表される。10日にJ.フロント リテイリング<3086>、11日に吉野家ホールディングス<9861>、東宝<9602>、12日にファーストリテイリング<9983>、13日に良品計画<7453>の決算が予定されている。来週の日経平均株価の予想レンジは3万400~3万1500円前後。(岡里英幸)