後場に注目すべき3つのポイント~手掛かりなく狭いレンジで推移
30日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。
・日経平均は続落、手掛かりなく狭いレンジで推移
・ドル・円は底堅い、146円台は買戻し
・値下り寄与トップはファーストリテ<9983>、同2位はリクルートHD<6098>
■日経平均は続落、手掛かりなく狭いレンジで推移
日経平均は続落。65.85円安の33255.37円(出来高概算6億5632万株)で前場の取引を終えている。
29日の米国株式市場のダウ平均は13.44ドル高(+0.04%)、S&P500は4.31ポイント安(-0.09%)、ナスダック総合指数は23.27ポイント安(-0.16%)とまちまち。7-9月期の国内総生産(GDP)改定値が予想以上に上方修正され、約2年ぶりの高い伸びを記録したことが材料視され買いが先行した。その後リッチモンド連銀のバーキン総裁が追加利上げの選択肢を除外したくないとの見解を示すと、相場は一時失速。ただ、来年の利下げ観測が根強く、さらにソフトランディング期待から買われる場面もみられた。終盤にかけては、地区連銀経済報告(ベージュブック)で経済活動の減速が報告されるとNYダウは上げ幅を縮小し、ナスダックは下落に転じるなど、まちまちの展開だった。
一方、日経平均は前日比61.08円安の33260.14円と続落スタート。手掛かりなく上下レンジ176円と狭い範囲での動きとなった。
個別では、ローツェ<6323>、アドバンテスト<6857>など半導体銘柄の一角が好調。寄り付き前に発表された10月鉱工業生産が好調だったことで、TDK<6762>、太陽誘電<6976>、村田製<6981>などが買われた。値上がり率ランキングには、黒崎播磨<5352>、大真空<6962>のほか、上位にはショーケース<3909>やクワザワHD<8104>などの東証スタンダード銘柄や、アマナ<2402>、コンヴァノ<6574>などの東証グロース銘柄が多くランクインした。
一方、日経平均への寄与度が大きいリクルートHD<6098>、ファーストリテ<9983>が下落。値下がり率ランキングには伊藤園<2593>、ACCESS<4813>、TOKYO BASE<3415>のほか、上位にはBBタワー<3776>などの東証スタンダード銘柄や、ZUU<4387>、地盤ネットHD<6072>、アーキテクツSJ<6085>などの東証グロース銘柄が多くランクインした。
セクターでは、海運業、鉱業、証券・商品先物取引業などを筆頭に上昇。一方、陸運業、サービス業、小売業などを筆頭に下落した。東証プライム市場の値上がり銘柄は46%、対して値下がり銘柄は50%となっている。
本日の東京市場も非常にこう着感の強い展開が続いている。28日にウォラー米連邦準備制度理事会(FRB)理事がタカ派姿勢を崩し、数カ月先の利下げ可能性を示唆したことは市場の来年利下げ期待を高めたもよう。為替市場では米金利低下に加え、月末の実需筋による円買いなども加わり円高方向へ徐々にシフトしており、日本株への重しとなっている。また、米連邦公開市場委員会(FOMC)の12月会合での政策金利据え置きは既定路線ととらえられているとみられ、関心が政策金利から景気へ移りはじめている。市場は米国にゴルディロックス経済(適温経済)を求めており、今後経済指標発表に対しては神経質さを増してきそうだ。
今晩は米国で個人消費支出(PCE)コア・デフレーターなどの発表が控えており、後場はこの結果を見極めたいと様子見ムードも出てくるだろう。一方、バリュー株が手掛けにくい中、米金利低下見通しを背景に昨日はグロース市場のみプラス圏での推移となった。本日前場は利益確定売り優勢で昨日の上げを消す格好となっているが、昨日安値付近では押し目買いも入ってきそうだ。
■ドル・円は底堅い、146円台は買戻し
30日午前の東京市場でドル・円は147円19銭から146円83銭まで下げたが、147円付近に戻した。米連邦準備制度理事会(FRB)当局者がタカ派姿勢を弱めており、米金利安・ドル安の展開。ただ、146円台は割安感から買戻しが入りやすく、下げ渋った。
ここまでの取引レンジは、ドル・円は146円83銭から147円19銭、ユーロ・円は161円13銭から161円53銭、ユーロ・ドルは1.0969ドルから1.0983ドル。
■後場のチェック銘柄
・アマナ<2402>、ショーケース<3909>など、7銘柄がストップ高
※一時ストップ高(気配値)を含みます
・値下り寄与トップはファーストリテ<9983>、同2位はリクルートHD<6098>
■経済指標・要人発言
【経済指標】
・日・10月鉱工業生産速報値:前月比+1.0%(予想:+0.8%、9月:+0.5%)
・中・11月製造業PMI:49.4(予想:49.8、10月:49.5)
・中・11月非製造業PMI:50.2(予想:50.9、10月:50.6)
【要人発言】
・中村日銀審議委員
「賃金と物価の好循環を実現させる千載一遇のチャンスが到来」
「今は慎重な対応が必要で、(緩和修正には)もう少し時間がかかる」
<国内>
特になし
<海外>
特になし
《CS》