復活の鐘が鳴る「消費関連勝ち組」、騰勢拍車の6銘柄・厳選セレクト <株探トップ特集>

特集
2024年2月3日 19時30分

―半導体だけじゃない!内需セクターに宿る“成長神話”、上昇機運高まる銘柄群に刮目―

週末2日の東京株式市場は買いが優勢の地合いとなり、日経平均株価は首尾よく切り返し3万6000円台を固める動きとなった。米国株市場がハイテク株中心に上昇した流れを引き継ぎ、半導体関連生成AI関連の一角が買われ投資家心理を強気に傾けている。

ただ、企業の決算発表が本格化するなか、これらの銘柄群は株価を先駆させた分やや買い疲れ感があり、目先はその反動も警戒されやすい。ここはハイテクセクターの陰に隠れ、好業績や成長性が株価にまだ織り込まれていない内需セクターに目を向けるチャンスでもある。脱コロナとインバウンド復活によって輝きを取り戻している消費関連株に着目し、高成長路線を走る有望株に照準を合わせてみたい。

●マイナス金利解除は消費関連・株高の号砲

米国ではFRBが利下げに向けたタイミングを計っている状況だが、日本は逆に日銀のマイナス金利解除がいつ行われるかにマーケットの関心が集中している。マイナス金利解除をネガティブ視するのは間違いである。なぜなら金融政策の正常化は強い国内景気動向と表裏一体であるからだ。

1月22~23日の日銀金融政策決定会合では、展望リポートで「物価目標に対する確度が徐々に高まっている」との認識を示し、マイナス金利解除に向けた道筋が見えてきた。更に1月末に公表された同会合の「主な意見」でも、賃金と物価上昇の好循環が実現する可能性が高まっているとの見方が支配的だった。政府の財政支援を追い風に底堅い個人消費が日本経済を支える構図が鮮明となりつつある。

●消費関連4業種はいずれも様変わり

実際の現場に目を向けても、各業界団体が発表した 外食 百貨店 スーパーコンビニエンスストアの消費関連4業種の売上高はいずれも好調を極めている。2023年の業種別売上高は、外食が22年比で14.1%(全店ベース)の増加。外出機会の増加と宴会需要などが底上げする形となり、新型コロナウイルスの影響を受ける前の19年と比較しても7.7%増という、既に脱コロナで経済正常化に向かうプロセスからは脱却している状態だ。百貨店についてもインバウンド消費の復活が色濃く反映され、22年比で9.2%増(既存店ベース)と好調。コロナ禍以前の19年比ではまだマイナス圏だが、高額消費も着実に回復方向をたどっていることが分かる。

このほか全国スーパー売上高は22年比で2.4%増(既存店ベース)となり4年連続の増加。これは商品値上げ効果が如実に反映されている。コンビニ売上高も22年比で4.1%増(同)と好調で、こちらは3年連続の増加で金額も過去最高を更新している。

●エンタメ分野でも盛り上がる消費意欲

また、ここには含まれていないがコト消費についても拡大基調にあることは疑いなく、代表的なところではテーマパーク最大手のオリエンタルランド <4661> [東証P]の23年4~12月期決算で売上高、最終利益ともに大幅な伸びを示し過去最高を更新したことにも映し出されている。ポイントは値上げがすんなりと消費者に受け入れられていることで、コストが上がっても躊躇なく娯楽にお金をつぎ込めるのは、消費者マインドが上向きであることの証左である。

こうした状況下で、日銀はマイナス金利を解除しても緩和的環境の維持に努めることに変わりはなく、景気に配慮した金融政策を続けることが予想される。日本の成長持続が見込まれるなか、国内の消費関連株に改めてスポットライトが当たるのは時間の問題だ。日本株の復活はハイテク株だけにとどまらない。今回のトップ特集では、裾野の広い消費関連セクターの中から、特に成長ダイナミズムに富む“勝ち組・好業績株”を6銘柄厳選エントリーした。

●株高ロードを邁進する消費関連6銘柄

◎GENDA <9166> [東証G]

―エンタメの新星でM&A戦略で輝き放つ―

GENDAはアミューズメント事業を国内外で展開しM&A戦略などを駆使して業容を広げている。現在の収益の柱を担うのは20年にセガから取得したアミューズメント施設「GiGO」で店舗数の拡大によって売り上げ基盤も強化されていく方向にある。

1月時点で同社が展開する店舗数は329店(前月比1店舗増)、スタッフが常駐しないミニロケ拠点は514カ所(同18カ所増)となっている。また、中国では広州市のショッピングセンターにGiGOの中国大陸第1号店をオープンさせ注目を集めた。

同社は昨年7月28日に東証グロース市場に上場したニューフェースだが、株価は11月以降、25日移動平均線を支持ラインに一貫した下値切り上げ波動を形成中だ。ロックアップ解除で株式需給面での不安はあるが、ここは成長性に着目したい。24年1月期営業利益は前の期比18%増の50億円を見込み、続く25年1月期も2ケタ成長路線の維持は濃厚とみられ、最高値3545円を払拭し青空圏を走る展開へ。

◎DDグループ <3073> [東証P]

―外食業態のデパート、株式需給面でも思惑―

DDグループは「わらやき屋」や「九州熱中屋」などの居酒屋をはじめ、ダイニングバーやカフェなど多岐にわたる業態の飲食店を運営。また、ビリヤードやダーツ、カラオケといったアミューズメント業態、更にホテルや不動産事業など非常に幅広いビジネスエリアを持つ。脱コロナによる経済活性化に加えインバウンド特需なども追い風となり、都心店を中心に業績は急回復トレンドに入っている。

24年2月期は2ケタ増収が見込まれるなか、営業利益は前期比6.3倍の29億5000万円予想と変貌を遂げる見通し。これはコロナ禍の影響を受ける直前の20年2月期の水準を上回り一気に過去最高更新となる。続く25年2月期も2ケタの利益成長が有力視され、株価も急速に見直し途上に。

株式需給面では外資系証券による貸株市場を通じた空売りが高水準で買い戻しによる浮揚力も働きやすい。今年1月18日につけた戻り高値1644円奪回を経て、昨年9月29日の昨年来高値2051円を目指す強調展開が期待できる。

◎力の源ホールディングス <3561> [東証P]

―インバウンド特需捉え、海外展開も加速へ―

力の源HDは博多ラーメンの「一風堂」を主力に複数の飲食店ブランドを国内外で展開している。脱コロナによる急速な人流回復や訪日外国人観光客のインバウンド消費などが追い風となっており、製品値上げ効果も加わって業績は目覚ましい伸びを示している。

22年3月期に大幅な営業黒字転換を果たしたのに続き、23年3月期の営業利益は前の期比2.2倍の22億8100万円、更に24年3月期も前期比36%増の31億円予想と過去最高利益の大幅更新が続く見通しだ。海外展開に傾注しているのも大きな特徴。海外売上高は全体の4割強を占めているが、足もとで海外店舗数が国内を上回る可能性が高まっている。今後も海外での積極的な出店計画を進める構えで、中期的にも成長余地の評価につながりそうだ。

株価は昨年9月中旬につけた2480円の昨年来高値から1000円以上もディスカウントされた状態にある。貸株市場経由の空売りが溜まっていることで、買い戻しに火が付けば戻り妙味が一気に膨らむ。

◎トレジャー・ファクトリー <3093> [東証P]

―目を見張る業績変化、高ROEで見直し必至―

トレファクは家電、雑貨、家具などの総合リサイクルショップを展開し、アパレルやスポーツ・アウトドア分野の専門業態を展開するほか、M&A戦略を推進するなど業容拡大に積極的に取り組んでいる。出店攻勢も継続し、24年2月期は新規出店が25店舗前後に及ぶ見通し。ブランド古着についてはインバウンド需要が活発で、売り上げに大きく貢献している状況にある。

22年2月期以降の業績変化率は目を見張るものがある。23年2月期営業利益は前の期比2.6倍の25億6500万円で過去最高を大幅更新、更に24年2月期も前期比23%増の31億4700万円予想と高水準の伸びを確保する見込みだ。

成長力の高さを考慮すると15倍台のPERは割安感が伴うが、ROEが約30%と高い点も海外機関投資家などの買いを誘引しそうだ。株価は調整局面からの離脱初動にあり、昨年2点天井を形成した1900円どころが当面の目標となる。

◎イオン九州 <2653> [東証S]

―グループの中核担う、熊本関連で追い風強力―

イオン九州は九州で総合スーパーや食品スーパーを展開し、子会社でドラッグストアなども手掛けている。社名の通りイオン <8267> [東証P]が同社株式の約75%を保有する親会社でグループの中核としてイオンの連結業績押し上げに貢献している。

同社は食品部門が全体売り上げの8割近くを占めているが、製品値上げ効果が発現する一方、PB(プライベートブランド)商品に力を入れ採算向上に努め、利益成長が著しい。連結決算に移行する24年2月期は営業利益段階で104億円を予想。単独ベースでは110億円予想で前期比32%の大幅増益を見込んでいる。

熊本では台湾の半導体受託生産最大手のTSMC<TSM>の工場稼働が近づくほか、既に第2工場の建設も予定されており、経済活性化による個人消費拡大が今後一段と期待される。当然ながら中期的な同社の収益機会獲得にも強力な追い風となる。株価は03年5月につけた上場来高値3370円奪回を通過点にスケールの大きい上昇トレンドが続きそうだ。

◎サツドラホールディングス <3544> [東証S]

―札幌拠点で材料性豊富、業界再編の思惑も―

サツドラHDは北海道を営業基盤にチェーン展開する中堅ドラッグストアで、低価格戦略の推進により顧客ニーズを取り込むほか、日用雑貨、食品などを主軸に幅広い商品カテゴリーで収益機会を高めている。北海道は訪日外国人観光客にも人気があり、同社はインバウンド対応の店舗運営により医薬品特需などを捉えている。

また、日の丸半導体新会社のラピダスの最先端半導体工場の新設に伴い、札幌市周辺の経済活性化が見込まれることも中長期的に強力なフォローウインドとなりそうだ。24年5月期は売上高、営業利益ともに過去最高更新を予想しており、特に営業利益は前期比3.3倍の10億円と急拡大を見込んでいるが、25年5月期以降も2ケタ成長路線を走ることが期待される。

ドラッグストア業界はここにきて再編思惑も高まっていることで、株価の刺激材料にも事欠かない。700円台後半のもみ合いを抜けており、昨年4月につけた上場来高値903円奪回から4ケタ大台を目指す展開が想定される。

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