来週の株式相場に向けて=米CPIに注目集まるが一進一退継続か
10日の日経平均株価は3日ぶりに反発し、前日比155円高で取引を終えた。一時600円超上昇したが、その後は伸び悩んだ。この日は「先物で買われ、先物で売られた」(市場関係者)といい、やや方向感に欠けた。ゴールデンウイーク明けの今週は4日間の立ち会いだったが、週間では7円安とほぼ横ばいだった。日経平均株価の上値は25日移動平均線(3万8550円前後)に抑えられており、上値の重い展開となっている。
東京市場の上値の重さの要因には、第1には米金融政策への警戒感が挙げられる。また、第2にはトヨタ自動車<7203>の25年3月期業績予想が市場予想を下回るなど、業績面への不透明感もあるだろう。
まず米金融政策に関しては、先週の米4月雇用統計などを受け市場には再び利下げ機運が台頭しているが、この期待が続くかどうかだ。特に来週は15日に米4月消費者物価指数(CPI)が発表されるだけに、その結果を市場は注視しそうだ。また、15日には米4月小売売上高も発表されるほか、CPIに先立つ14日には米4月卸売物価指数(PPI)が公表される。加えて、大きな焦点である半導体関連株の動向に関しては16日にアプライド・マテリアルズ<AMAT>の決算発表が予定されており、その結果も関心を集めるだろう。
日本企業の決算では13日のソフトバンクグループ<9984>、14日のソニーグループ<6758>、15日の三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>などが注目される。決算発表は来週15日には一巡するが、今期業績予想に関しては「会社側からは控え目な数字も出ており、決して悲観的になる必要はないが、その内容を確かめるには夏場の第1四半期(4~6月)決算発表を待つ必要がありそうだ」(アナリスト)との見方もある。日経平均株価の高値をつけたのは3月下旬であり、「小回り3カ月」とすれば、次の転換点は6月下旬頃となる。こうしたなか、当面の相場は一進一退を予想する声も出ている。
上記以外のスケジュールでは、16日に米4月鉱工業生産、同住宅着工件数、17日に中国4月小売売上高などが発表される。15日にシスコ・システムズ<CSCO>、16日にウォルマート<WMT>の決算が予定されている。国内では15日に訪日外客数、16日に1~3月期国内総生産(GDP)が公表される。13日に大成建設<1801>、ブリヂストン<5108>、14日にSMC<6273>、楽天グループ<4755>、15日にリクルートホールディングス<6098>、エーザイ<4523>などの決算発表が予定されている。来週の日経平均株価の予想レンジは3万7800~3万8900円前後。(岡里英幸)