【杉村富生の短期相場観測】 ─マーケットにとっては最悪の総裁選結果!

市況
2024年9月29日 9時15分

「マーケットにとっては最悪の総裁選結果!」

●円高・株安の首相の登場をどう受け止める?

自民党総裁選は最悪の結果ではないか、とマーケットでは受け止めている。9月27日の第1回目の投票では円安・株高、デフレ脱却派の高市早苗氏がトップとなり、株式市場は1ドル=146円台の円安、そして日経平均株価の大引けは903円高の3万9829円と女性首相誕生を期待する歓迎相場となった。しかし、決選投票では暗転する。

石破茂氏が新総裁に選出されたのだ。彼は反アベノミクスの代表的な人物である。週明けの株式市場の動向が注目される。すでに、円高に振れ、日経225先物は大幅安になっている。前回の総裁選後の岸田首相のように、軌道修正があるかどうか、細心の注意が必要と思う。

いよいよ10月(下半期)相場入りである。日経平均株価は7月11日のザラバ高値(4万2426円)挑戦の動きになるとみていたが……。日本以外の各国中央銀行は金融緩和に大きく舵を切った。景気刺激策の発動だ。日本市場にはアメリカ、中国の政策転換が好影響を与える。すでに、半導体関連セクターが猛反騰に転じている。

東京エレクトロン <8035> [東証P]、ディスコ <6146> [東証P]、ソフトバンクグループ <9984> [東証P]、アドバンテスト <6857> [東証P]など値嵩株の急伸は日経平均株価を押し上げる。アメリカ市場ではマイクロン・テクノロジー<MU>が大出直りの構えだ。AI用メモリーが好調という。

アメリカにはエヌビディア<NVDA>は別格だが、コヒレント<COHR>、マーベル・テクノロジー<MRVL>などAI(人工知能)関連の成長企業が次々に登場している。半面、インテル<INTC>にはかつての面影がまったくない。いまや、クアルコム<QCOM>に買収提案を受けているほどだ。

●新技術がたどる「ハイプ・サイクル」の道!

AIなど新技術には「ハイプ・サイクル」が存在する。画期的な新技術が出現すると、過度な期待が生まれ、過剰な投資が行われる。しかし、意外に普及せず、利益を生まない。いわゆる、「幻滅期」である。期待は失望に変わる。AIがそう? だが、現状ではあらゆる分野で使われ始めている。インターネットが同様のパターンだったじゃないか。

日本市場ではやや小粒とはいえ、先端半導体パッケージ材料のレゾナック・ホールディングス <4004> [東証P]、データセンター向け光コネクタの精工技研 <6834> [東証S]、半導体検査用部品「プローブカード」を手掛ける日本電子材料 <6855> [東証S]など世界に通用するサプライヤー・テクノロジー企業が存在する。

アクビティスト(物言う株主)は日本企業への関与を強めている。京成電鉄 <9009> [東証P]、サッポロホールディングス <2501> [東証P]などがそうだ。最近は三和ホールディングス <5929> [東証P]、フロイント産業 <6312> [東証S]、セーレン <3569> [東証P]などに彼らの名義が登場している。

サンケン電気 <6707> [東証P]、青山財産ネットワークス <8929> [東証S]はアクティビスト主導の買い占めに発展しそうな気配だ。セブン&アイ・ホールディングス <3382> [東証P]、富士ソフト <9749> [東証P]は買収局面に突入している。日本企業は割安、かつキャッシュリッチが多いだけに、こういったケースが増えるだろう。

テーマ的には自然災害に備える国土強靱化政策防衛力の増強、電力需要の急増への対応などが新政府の喫緊の課題となろう。前田工繊 <7821> [東証P]、ピーエス・コンストラクション <1871> [東証P]、川崎重工業 <7012> [東証P]、フジクラ <5803> [東証P]などはロングランに潤うだろう。

小物では材料豊富な、テーマ性内包のWill Smart <175A> [東証G] 、アストロスケールホールディングス <186A> [東証G] 、QPS研究所 <5595> [東証G]、エヌ・ピー・シー <6255> [東証G]、FFRIセキュリティ <3692> [東証G]、ムサシ <7521> [東証S]などに注目できる。

2024年9月27日 記

株探ニュース

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