【杉村富生の短期相場観測】 ─アメリカ市場に強い企業を狙う!

市況
2025年1月19日 9時15分

「アメリカ市場に強い企業を狙う!」

●トランプ政権の政策に乗ろうじゃないか!

トランプ政権の最初の2年間は「ゴルディロックス経済」(景気が過熱せず、冷え込まない適温の状態)となろう。もちろん、大幅な利下げは期待できない(今年は1~2回)が、利上げは当分先の話だ。これを受け、アメリカ市場は堅調な展開が続くだろう。良好な経済環境、ドル高に加え、好調な企業業績が株高を支える構図である。

ちなみに、S&P500指数採用企業の1株利益は1~3月が前年同期比11.4%増、4~6月が9.5%増、7~9月が12.8%増、10~12月が16.3%増と予想されている(ブルームバーグ推計)。伸び率は年後半にかけて加速する。国際マネーはこぞってアメリカ市場に向かう。いや、運用の主戦場は流動性の高いウォール街だ。この流れは不変と思う。

偉大なアメリカの再構築を目指す政策の目玉は「減税と関税」、そしてデファクト・スタンダード(事実上の国際標準)獲得、イノベーション(技術革新)を軸とする成長戦略だ。アメリカ経済の活況は2年間の賞味期限付きだろう。関税の引き上げは報復合戦を生む。トランプ1次政権も後半は失速したではないか。

恐らく、2年後の中間選挙では共和党が敗北し、トリプルレッドの維持は難しい。ただし、2年間はやりたい放題ができる。主要閣僚の多くが富豪、企業経営者だ。株価にネガティブな政策を打ち出すはずがない。とはいえ、関税引き上げでは1930年のスムート・ホーリー法が世界恐慌を蔓延させ、第2次世界大戦の引き金になったことが知られている。

だからこそ、賞味期限は2年と主張している。それまでが株式投資、資産形成のチャンスだ。いかに、「アメリカ・ファースト」といえども破天荒な政策がずっと通用するとは考えにくい。国民だって、離反するだろう。それが中間選挙のタイミングと重なる。特に、下院(435議席)は全員改選だ。カナダ、メキシコと親しいアメリカ国民は存在する。

●低位、かつ材料含みの妙味5銘柄!

さて、こんな状況下、狙い目はどうか。やはり、素直にアメリカ向け売上高比率ランキングの上位企業に注目できる。具体的には武田薬品工業 <4502> [東証P]、みずほフィナンシャルグループ <8411> [東証P]、キッコーマン <2801> [東証P]、住友林業 <1911> [東証P]、太平洋セメント <5233> [東証P]など。

フジクラ <5803> [東証P]、ファナック <6954> [東証P]、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]などもそうだ。メガバンクは北米向けの投資業務が大きなウェートを占めている。輸出関連企業は関税、およびトランプ大統領の外交政策の影響を受ける。特に、自動車業界はメキシコ経由の輸出が気掛かりである。

個別銘柄では大発会にストップ高を演じ、現在も相場が生きているWill Smart <175A> [東証G]、情報セキュリティのFFRIセキュリティ <3692> [東証G]に妙味があろう。Will Smartは交通系IoTの大手だ。自動運転地方創生(地方公共交通システムの維持)など切り口が多彩である。業績は急浮上の見込み。

このほか、株価が400円以下、300円超の低位(値下がりのリスクが乏しい)、かつ業績が上向き、材料含みの京写 <6837> [東証S]、システナ <2317> [東証P]、シンクロ・フード <3963> [東証P]、SMN <6185> [東証S]、トゥエンティーフォーセブン <7074> [東証G]などに注目できる。

シンクロ・フードは2025年3月期には15円の配当(中間配当はなし)を行う。前期は記念配(5円)を含め、10円だった。5円増配である。時価は350円絡み。この水準の配当利回りは4.3%と高い。200万株の公募増資と600万株の売り出し(発行価格・売出価格は336円)の打ち返しがあって、株価はさえない。しかし、配当取りの好機だろう。

2025年1月17日 記

株探ニュース

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