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明日の株式相場に向けて=量子技術周辺のネクストブレークを探す

市況
2025年5月22日 17時30分

きょう(22日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比313円安の3万6985円と続落。寄り付き時点で3万6000円台に売り込まれ、終日軟調な値動きで一時400円以上下落する場面もあった。しかし、後場の後半に下げ渋る動きとなり3万7000円大台ラインを巡る攻防が続いた。個別では防衛関連の旗艦銘柄である三菱重工業<7011>が、きょうも一頭地を抜く売買代金をこなし終盤の大口買いで堂々の6日続伸と気を吐いている。半導体関連 も強くはないが高安まちまちで、リスクオフ相場の逆風を何とか凌いだ。

全体相場は再び下値模索局面に入っている。株価の方向性を左右する相場環境は元来曖昧なもので、上がればそれなりの買い材料が囃されるが、同じ時間軸でも下がれば下がったで、もっともらしい理由がついてくる。経済全体のファンダメンタルズは短時日で変わるものではないが、相場の方向性は常に変わるため、どうしても後講釈的な傾向が強くなる。

4月初旬の急落は世界同時株安的なリスクオフだったが、4月中旬のNYダウ急落局面においては、米株市場の独歩安的な色彩が強かった。これを受けて米国からの資金逃避、フライ・トゥ・クオリティーが取り沙汰された。実際、米国では株式、債券、ドルが同時に売り込まれるトリプル安の様相を呈したのだが、ショート筋がかなり体重をかけて売り乗せていたのも事実で、結果はその後に鮮烈な踏み上げ相場に発展した。東京市場もその流れに乗って日経平均は3万8000円台まで怒涛の戻り相場を演じた。今は、そのリバウンド祭りが一巡した場面となっている。米国では10年債利回りだけではなく、20年債、30年債といった超長期債利回りの急上昇に焦点が当たり、有無を言わさず財政規律問題が俎上に載せられ、またぞろトリプル安というワードが躍り始めた。

日経平均も上下にボラティリティが高いが、CTAによるAIアルゴリズム順張りトレードの影響もあってか、ひとたび動き出すと全体指数はしばらく止まらない傾向がある。今は、高速道路の下り路線に乗ったところで、次のインターチェンジまで、しばらくは辛抱という時間帯にあるようだ。カギを握るのは半導体セクターである。企業の決算発表ラッシュを通過したことで、ガイダンスリスクも含め概ね株価への織り込みが進み、主力どころは大底圏から急速に株価水準を切り上げた。しかし、需給的側面でみると空売りのアンワインドが終了し、今は勢いが止まった状態となっている。半導体関連が相場の華であることに変わりはない。投資家にとって今の踊り場がイコール買い場なのかどうかが肝要であり、これは来週28日に予定される米エヌビディア<NVDA>の決算が大きな意味を持つことになる。ここから投資対象を半導体関連の中から探していくのであれば、実態の良い中小型株に照準を合わせるのが戦上手といえそうだ。

個別株戦略としては、半導体にかかわらず、しばらくは中小型株の局地戦のイメージが強い。内需系であれば、小売りやサービスよりも、デジタルトランスフォーメーション(DX)サイバーセキュリティー 、あるいは量子コンピューター 関連など“バーチャル空間”を舞台とする銘柄の方が全体指数に惑わされず、ポジティブな値動きが期待できる。最近で言えばビットコイン関連のメタプラネット<3350>などは、既に観賞用の領域に入ってしまっているが、これは一つのバーチャル系全般のモメンタムの強さを暗示した動きでもある。

量子コンピューターについては、今更ながらと言いたいところではあるが石破首相が今年を「量子産業化元年」と位置付けスタートアップ支援を宣言した。引き続き目抜き通りを行くテラスカイ<3915>の押し目買いの機をうかがいながら、フィックスターズ<3687>、HPCシステムズ<6597>、エヌエフホールディングス<6864>などに目を配っておきたい。また、サイバーセキュリティーをテーマとする銘柄群にも動兆著しいものが増えている。業績高変化が際立つテリロジーホールディングス<5133>は、75日移動平均線ブレークで号砲を鳴らし、上値を慕う動きが鮮明だ。株価はまだ300円台ソコソコで参戦しやすい。一方、ネットセキュリティー専業のバリオセキュア<4494>も今期業績はトップラインから利益まで2ケタ伸長で回復色を強める見通し。更に官公庁向けで強みを発揮するSIGグループ<4386>は、大陽線形成後にひと押し入れているが、滞留出来高の多い800円大台ラインをクリアすれば、天井も高く本格的な上昇も視野に入りそうだ。

あすのスケジュールでは、4月の全国消費者物価指数(CPI)が朝方取引開始前に総務省から発表されるほか、前場取引時間中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われる。後場取引時間中には日本百貨店協会から4月の全国百貨店売上高が開示され注目されそうだ。海外では4月の英小売売上高のほか、米国では4月の新築住宅販売件数が発表され、その内容にマーケットの関心が高い。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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