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電力争奪・新時代 「水素エネルギー関連」爆速上昇株スペシャル5選 <株探トップ特集>

特集
2026年3月14日 19時30分

―90兆円市場の扉が開く、米ビッグテックも刮目するAIDC電源としての水素―

週末13日の東京株式市場は日経平均株価が600円あまりの下げで続落となり、5万4000円台を再び割り込んで取引を終えた。中東の軍事衝突が長期化傾向をたどるなか、リスク回避目的の売りが五月雨的に続いた。しかし、原油市況高を背景に資源開発関連や非鉄株、商社株などに強い動きを示す銘柄も少なくなかった。エネルギー周辺銘柄を投資資金が如実に選好していることが分かる。相場の潮流にやや変化が出始めている。

ただ一方で、米国では直近オラクル<ORCL>が好決算発表を好感されて株価を急上昇させるなど、アンソロピック・ショックで売り込まれたAI周辺株に見直しムードも漂う。仮に新興AIのアンソロピックが、クラウド関連企業を勝ち組と負け組に色分けするような淘汰の波をもたらしたとしても、AIデータセンター はインフラ基盤として欠かせない。そして、このAIインフラの構築はエネルギー問題とも密接に関わっている。

●「シンギュラリティ」には膨大な電力が必要

人間の脳を模したニューラルネットワークを駆使するディープラーニングと、膨大な情報量の蓄積であるビッグデータの融合が人工知能(AI)の飛躍的進化をもたらしたが、その延長線上に刻まれる新たな文明の歴史は驚愕的な要素をはらんでいる。 生成AIの登場とともにAIの3次元空間への進出(=フィジカルAI)が我々の日常を劇的に変えてしまう時代が近づいている。AIが人類の英知の総和を超える、いわゆるシンギュラリティだが、これは畏れではなく、むしろ人類が描いてきた夢の構図といってもよい。

しかし、そのプロセスで物理的に大きなタスクが浮上している。生成AI全盛時代を迎えるうえで絶対に必要なインフラがデータセンターである。そして、そのコンセプトの下、世界的なAIデータセンターの建設ラッシュが半ば必然的に始まった。AIデータセンターは大量のコンピューターや通信機器の塊であり、そのエネルギー源はまぎれもなく電力である。常時これらを動かし続ける膨大な電力の確保が人類にとって重要な課題となっているのだが、これを化石燃料に頼り切ることはもはやできない。

●ビッグテックが目指すカーボンフリーなAI

巨大なデータセンターの運用者でもある米ビッグテックは「24時間365日、カーボンフリー電力」でデータセンターを稼働させることを目標に掲げている。だが、これはかなりハードルが高い。再生可能エネルギーだけでは現実問題として賄うことができないからだ。太陽光は夜間に使うことができず、無風時が続けば風力発電も機能しない。当然ながら蓄電システムを活用することになるが、それでも絶対量が足りない。ここで浮上してくるのが 水素 原子力のようなクリーンエネルギーの活用である。

ビッグテック各社はクリーンエネルギーでなおかつ送電網から独立して電力を確保できるオフグリッドの原子力と水素に着目している。オフグリッドであることの必要性は、データセンターを建設する際に、既存の電力網へ接続する場合は工事に数年という時間を浪費してしまう背景があるからだ。日進月歩でAIが成長を遂げていく時代に、このスピード感では話にならない。最も高効率でベースロード電源として適性が高いのは原子力であることは論をまたない。しかし、SMR(小型モジュール炉)を隣接させるにしても、イニシャルコストの高さと新設に時間を要するという点や、廃棄物の取り扱いなど容易ならざる問題もある。ここで、将来的には原子力の補完に回る含みをもたせながら、短期的なタームで水素エネルギーが切り札的なポジションを担うことになる。

●水素市場は10年あまりで指数関数的に拡大

元来、水素は脱炭素社会におけるエネルギー源の急先鋒に位置付けられてきたが、この文脈に加えて、AIデータセンターの建設ラッシュという現実が猛スピードで背後に迫ってきたことは確かである。早晩、株式市場でも「水素関連」はこれまで以上に強力なテーマ物色の対象として投資マネーの熱視線を浴びることになりそうだ。水素は市場規模として足もとはまだ黎明期といえるが、2030年以降は電力需要対応で爆発的に伸びていく可能性が高い。

周辺機器も併せて国内の水素市場の規模は数千億円程度とみられているが、これが40年には経済波及効果も含め、全体でおよそ90兆円という莫大な市場に発展することが一部で試算されている。水素関連の範疇に含まれる銘柄群は要マークだ。市場の驚異的成長シナリオが、個別銘柄の時価総額膨張に前倒しで反映されていく可能性も十分に考えられる。そこで今回のトップ特集では、ここから株価変貌のプロセスをたどる可能性を秘めた有望企業を5銘柄エントリーした。

●水素パワーで株価変身前夜の有望5銘柄

【化工機は超高純度水素ガス製造分野で中核を担う】

三菱化工機 <6331> [東証P]は石油・化学装置を主力にエンジニアリング事業を展開するが、創業以来、「固体・液体・気体の分離」をコアテクノロジーに持ち前のモノづくり技術を駆使して実績を積み重ねてきた。小型オンサイト水素製造装置「HyGeia(ハイジェイア)シリーズ」は、超高純度の水素ガスを製造する設備で、工業分野に必要とされる水素を現地で製造することで顧客ニーズに対応している。燃料電池自動車(FCV)の商用水素ステーション向けで培った水素供給技術は、データセンター向けのバックアップ電源やオフグリッドによる分散電源などに横展開し、インフラ構築に貢献することが可能となる。足もとの業績も絶好調で26年3月期は営業利益が前期比58%増の90億円と飛躍的な伸びを見込み連続で過去最高更新が濃厚だ。

株価は2月20日に3975円の昨年来高値を形成後、調整を入れているが、PER10倍、配当利回りは3%を超えており、投資指標面から再評価される余地は十二分にある。信用買い残は足もと増勢にあるとはいえ100万株程度で日々の売買高を考慮すれば上値の重石とはならない。当面は3月4日に開けたマドを埋めに行く展開で3500円どころを目指し、その後は25日移動平均線を足場に大勢2段上げが期待できる。昨年来高値更新から中勢4000円台での活躍を想定しておきたい。

【新日本電工は水素吸蔵合金でAIDC特需獲得へ】

新日本電工 <5563> [東証P]は日本製鉄系の合金鉄最大手で、高炭素フェロマンガンでは国内トップシェアを誇る。電力事業にも傾注姿勢をみせるほか、水素吸蔵合金の製造では存分に実力を発揮している。水素吸蔵合金は水素を貯蔵するもので、合金の中に水素を取り込んで安全かつコンパクトに貯蔵・放出できる仕組み。同社の水素吸蔵合金は低圧で大量の水素を貯めることを可能としており、AIデータセンター向けで今後一段と引き合いが活発化する公算が大きい。業績も漸次回復色を強めることが予想される。26年12月期はトップラインについては小幅減収を見込むものの、経常利益段階で前期比2.2倍の60億円と急拡大を予想している。在庫調整の進んだ電子部品向け機能材が伸びれば更に上振れするケースも考えられる。一株純資産は前期実績ベースで570円弱あり、3%超の高配当利回りを考慮すれば0.7倍台のPBRは割安感が際立つ。

株価は3月9日にマドを開けて25日移動平均線を下回ったものの、押し目ではすかさず買いが入り、その後の復元力の強さも見逃せない。目先は25日線を絡めた攻防だが、同移動平均線をサポートラインとする中期上昇波動への復帰は時間の問題であろう。年間配当も今期は連続増配で13円を計画し、インカムゲイン狙いでも魅力がある。2月27日につけた昨年来高値470円奪回から、中勢500円台に歩を進める公算が大きい。

【千代建は業績高変化、次世代水素技術で本領発揮】

千代田化工建設 <6366> [東証S]は三菱系のプラント建設大手で液化天然ガス(LNG)プラントを得意とする。エネルギー関連だけでなく、化学、環境、省エネ、ライフサイエンス分野など幅広く展開するが、とりわけ水素分野への傾注が目立つ。中核技術となっているのが独自の脱水素触媒を用いた水素を輸送・貯蔵する「スペラ水素技術」だ。また、再生可能エネルギーから作る「グリーン水素」などにも力を注ぐ。昨年12月には、米スタートアップとの協業により天然水素の回収・精製設備の建設に向けて初期設計を検討と発表。また、今月に入って、大林組 <1802> [東証P]、川崎重工業 <7012> [東証P]、商船三井 <9104> [東証P]と同社の4社連合でニュージーランドから水素を調達するためのコンソーシアム「日本ニュージーランド水素コリドー」を設立したことを開示している。業績も回復色が鮮明、26年3月期は従来予想を増額し営業利益段階で前期比3.3倍の810億円を見込んでいる。

株価は1月下旬の業績上方修正を契機に商い急増のなか一気に水準を切り上げた。それまでの株価は3ケタ台が地相場だったが、約8年ぶりの4ケタ台に突入し、2月12日には1830円の高値を形成。その後は調整局面に移行したが、直近は75日移動平均線を下値支持ラインとした1000円トビ台でリバウンドの機をうかがう。エネルギー関連株特有の急騰習性があり、まずは高値からの“下げの半値戻し”で1400円どころが目標に。

【アセチレンはナノテクなど先端分野で存在感示す】

東邦アセチレン <4093> [東証S]は産業用ガスの製造・販売を幅広く手掛けており、自動車や造船などの金属加工分野及び半導体製造プロセスにおけるエッチングなどで需要を獲得している。水素や窒素、アルゴンのほか、高純度アセチレンは不純物が限りなく少ない特性からナノテクノロジーをはじめハイテク分野で必須となっている。同社は東ソー <4042> [東証P]が筆頭株主で、営業地盤である東北・北海道・関東を中心に案件獲得を進める。水素は半導体業界の旺盛な需要に対応し、昨年8月に山形県酒田工場で水素製造設備を大幅増強して商業運転を開始している。26年3月期の業績は営業利益段階で前期比微減の19億円を見込む。現状はPBRが0.8倍台、ROEは7.19%だが、会社側では中期経営計画を推進し成長戦略の立案と収益力向上に取り組み、IR活動の充実にも力を注ぐ構えを示している。

株価は2月中旬以降に動兆著しく、売買代金も急増傾向となった。2月12日に開示した四半期決算の発表で、25年10~12月期の営業利益が前年同期比53%増の5億5300万円と大幅な伸びを達成したことを開示、これが株価を刺激する格好となった。2月27日には480円の昨年来高値を形成、これは1996年以来約30年ぶりの高値となる。その後にひと押し入れているが、押し目では着実な買いが観測され、調整を交えながらも上値慕いの動きが続く。早晩500円台乗せから実質的な青空圏を舞い上がる展開を想定。

【岩谷産は無双の水素サプライヤーとして活躍必至】

岩谷産業 <8088> [東証P]は産業用及び家庭用ガスの専門商社で、水素事業を成長領域に位置付け経営資源を注いでいる。水素ガスの製造では業界の先駆的存在で、1978年に日本で初めて大型商用液化水素製造プラントを稼働させたことが歴史に刻まれるほか、2002年には本格的水素ステーションを完成させ話題を呼んだ。国内の水素市場ではライバル不在の圧倒的なトップサプライヤーである。産業用や宇宙開発など水素の用途は多岐にわたるが、データセンター向けでは非常用電源システムとして貢献している。更に今後期待されるのは、マイナス253度の液化水素が気化する際の「冷熱」をAIサーバー冷却などに活用する技術の実装である。なお、同社は半導体製造工程で必須となるヘリウムのサプライヤーとしても群を抜く存在だ。26年3月期業績はヘリウム価格の下落を背景に大幅減額修正を強いられたものの、27年3月期の営業利益は2ケタ伸長で切り返す公算が大きい。

株価は2月27日に2059円の昨年来高値に買われたが、その後は急速に軟化し3月9日の取引時間中には1660円まで下押した。しかし、ここが陰の極となり、売り物を枯らしリバウンド局面に移行している。1900円手前に位置していた25日移動平均線をブレイクしたことで2000円台復帰は指呼の間。水素関連の象徴株的なポジションにあり、中期的には24年7月の上場来高値2637円50銭も十分視野に入る。

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