生成AI普及で需要急拡大、「データセンター冷却」で浮上する妙味株6選 <株探トップ特集>
―GPUの放熱抑制が喫緊の課題に浮上、AIインフラの経済性を左右し開発進む―
米半導体大手エヌビディア<NVDA>のジェンスン・ファンCEOは3月、「すでにAGI(汎用人工知能)を達成した」と述べた。同氏の発言には賛否が分かれそうだが、AIの発展は我々の予測をはるかに超えた水準にあることは間違いない。このAIの驚異的な発展を支えているのがデータセンター(DC)だ。米ビッグテックを中心とするDCへの巨額投資が続いているが、その一方で新たな課題も浮上している。DCの電力使用量が急増しており、画像処理半導体(GPU)などの放熱を冷やすための冷却システムへの需要が急拡大しているのだ。
●高密度AIサーバーでの水冷式システムの採用広がる
生成AIの競争力は、単純なモデルの賢さだけでは決まらない。米国のオープンAIの「Chat(チャット)GPT」やアンソロピックの「Claude(クロード)」などが有力だが、その能力を発揮するためには、大量の電力や大規模DCが求められる。そんななか、関心が高まるのが、DCで使用するAIサーバーに搭載されるGPUが発する熱処理への対応策だ。注目すべき技術の一つが、運用コストとサーバー性能の両方に直結する「冷却システム」である。AIサーバーは、従来型の汎用サーバーとは発熱密度がまるで違う。従来の空冷式は、高密度化が進むAIサーバーに対して冷却能力の限界が見えやすく、冷却のために大量の空調電力を使えば、DC全体の電力効率も大きく悪化する。ソフトバンクグループ <9984> [東証P]が電力豊富なフランスでの大規模なDC建設投資を発表したように、世界的に電力の重要性が増していくなかで、高密度AIサーバーでは、従来型の空冷だけに依存する設計は採用しにくくなりつつある。
そこで近年、AIサーバーや高性能コンピューティング(HPC)向けの高密度環境で採用が広がっているのが、サーバーに冷水を循環させ冷却する「水冷(液冷)式」である。空冷式よりも熱源により近い場所で熱処理できるだけでなく、より高密度なサーバー配置を可能にし、DC全体の効率を引き上げる設計も可能にする。
●高成長性評価し有力企業が水冷市場に参入
いまや水冷式などの冷却技術は、AIインフラの経済性を左右する技術と言って過言ではない状況だ。直近の動向で言えば、富士電機 <6504> [東証P]は5月、DC向けに「エジェクタ冷却機」を発売すると発表した。また、「水冷システム」の関連銘柄には、大手メーカーでは富士通 <6702> [東証P]やNEC <6701> [東証P]のほか、精密モーター技術を応用したデータセンター用水冷システム・冷却装置を手掛けるニデック <6594> [東証P]などが挙げられる。空冷が強みであったダイキン工業 <6367> [東証P]は、2025年11月にAIデータセンター向けに負圧式液体冷却システムで実績を持つ米チルダイン社(カリフォルニア州)を買収し「ダイレクトチップ液体冷却技術」をポートフォリオに加えている。以下では、冷却システムや重要部品、素材などを手掛けている企業を紹介する。
●富士電機や三桜工、日機装、ダイセルなど注目
富士電機 <6504> [東証P]~DCのサーバーを冷却する「エジェクタ冷却機」を世界で初めて開発。DCの消費電力のうちサーバー冷却が30~40%を占める場合があるが、同社の新装置はサーバー冷却に関わる消費電力量を最大85%削減できるという。液体や気体は、圧縮すると熱くなり、膨張させると冷たくなる性質を持つが、チラー(冷凍機)やエジェクタ冷却機はこの原理を使って冷気を作る。チラーは、コンプレッサで冷媒を圧縮するため、ここに大量の電力を消費する。一方で、エジェクタ冷却機はコンプレッサを使わず、サーバーの排熱をエネルギーとして再利用し、独自開発したエジェクタで冷媒ガスを圧縮・循環させる仕組みだ。
三櫻工業 <6584> [東証P]~中央演算処理装置(CPU)やGPUの高速演算時の課題である高発熱化対策やDCのエネルギー効率を高めることが可能な水冷式冷却配管システムを手掛けている。同社の水冷式冷却配管システムは、スーパーコンピューター「富岳」の冷却配管システムに採用されている。NTT <9432> [東証P]傘下のNTTデータ及び日比谷総合設備 <1982> [東証P]が開設した次世代冷却技術の検証施設「Data Center Trial Field」に同社の直接水冷方式の配管モデル製品が実装されている。
HPCシステムズ <6597> [東証G]~科学技術計算用コンピュータ事業(HPC事業)と産業用コンピュータ事業(CTO事業)を展開。サーバーやスパコン自体をダイレクトに冷やして性能を100%引き出すという立ち位置にあるが、エヌビディアの最新GPUを搭載したフル水冷・液冷のAIワークステーションやサーバーの提供を最速で行っており、TDP(熱設計電力)の高騰するAIデータセンターの最前線に対応している。
イワキ <6237> [東証P]~薬液移送に使用されるケミカルポンプ及び専用コントローラなど周辺機器を手掛ける。DC向け高性能ポンプ「NRDシリーズ」は、DCやサーバー冷却、光源冷却など各種冷媒循環用途に向けて、高揚程・大流量タイプの高性能キャンドモータポンプである。生成AI用サーバーの劇的な発熱量増加に伴い、より速く大量の冷却水を循環させるニーズに直接応える製品となる。
日機装 <6376> [東証P]~人工透析装置などの医療機器や産業用特殊ポンプで世界的なシェア。DCの液冷・液浸冷却システムにおいて、冷却液を循環させるためのキーコンポーネントとなる特殊ポンプの供給や、液浸技術に関連する要素技術を支えている。中期経営計画においてAIの進化やDC整備に伴う市場成長を商機ととらえており、冷却液循環ポンプの需要増が期待されそうだ。
ダイセル <4202> [東証P]~大手化学メーカー。同社は、AIサーバーの液冷・液浸冷却システムを成立させるための「超高性能なエンジニアリングプラスチック(高性能樹脂)」や「高機能化学材料」を手掛けている。具体的には液冷システムの配管、継手(ジョイント)、コネクターなどに使われる液晶ポリマー(LCP)やPPS樹脂、PBT樹脂といった「エンジニアリングプラスチック」などを提供している。
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