AIラリーで主役級に抜擢、大活況続く「電子部品」有望株セレクト <株探トップ特集>
―MLCCに視線集中、需要急拡大の期待で半導体メモリーに続く快進撃なるか―
4日の日経平均株価はソフトバンクグループ <9984> [東証P]への利益確定売りがかさんで反落したものの、東京エレクトロン <8035> [東証P]をはじめ半導体関連の一角はプラス圏で取引を終えた。日本株を最高値圏に押し上げたAIラリーの持続性が注視されるところではあるが、短期的なスピード調整を繰り返しながらもAI・半導体株を牽引役として、株高基調が継続するといった根強い期待感が存在するのも確かだ。こうしたなか直近では、AIデータセンター関連での設備投資の恩恵を受ける銘柄群として 電子部品セクターに投資家の関心が集まるようになり、関連株は活況を呈している。
●世界で高シェア製品多くデータセンター向け需要急拡大
電子部品はスマートフォンやタブレット端末、家電製品、自動車など幅広い分野で使われている。その種類はさまざまだ。「受動部品」と呼ばれるものには、電圧の安定化やノイズの除去などに用いられるコンデンサーや、電流を調整する抵抗器、電圧を変えるトランス、電気エネルギーを磁気エネルギーに変換するインダクターなどがある。通電状態の切り替えや電子機器や基板の接続などに使われるコネクターは「接続部品」、電気エネルギーを運動エネルギーに変換するアクチュエーター、温度や圧力、加速度などを検知して電気信号に変換するセンサー、スピーカーは「変換部品」。これらのほかスマホなどに使われる高周波部品や、スイッチング電源なども存在する。
JEITA(電子情報技術産業協会)によると、電子部品の世界生産に占める日系企業の2025年のシェアは32%の見込みで、24年時点で受動部品のシェアは52%、変換部品のシェアは61%に上り、世界シェアトップとなる日本製品が数多く存在するのだという。海外勢の後塵を拝することとなった半導体と比べて、なお高い競争優位性を持つのが電子部品である。
AIデータセンターへの巨額投資が相次ぐなか、株式市場においてはAIサーバーに搭載される先端半導体やハイエンドメモリー、光ファイバー・ケーブルなどが脚光を浴びることとなった。電子部品メーカーはどちらかといえばこれまで地味な存在であり、少なくとも昨年の段階でバリュエーションが急速に切り上がることはなかった。積層セラミックコンデンサー(MLCC)大手の村田製作所 <6981> [東証P]は24年11月に発表した中期方針のなかで、「AI機能搭載サーバー」向けのコンデンサーの需要が数量ベースで30年にかけて年平均成長率が18%になるとの想定を示していたものの、同社株が本格的に動意づいたのは今年に入ってからである。
市場の評価を変える契機となったのが、MLCCの値上げ観測だ。ハイエンドのMLCCの需給のタイト化が一因となったゆえ、MLCC関連株のエクイティストーリーは、キオクシアホールディングス <285A> [東証P]に代表されるメモリー関連株のそれと類似性を持つこととなり、投資マネーを誘引する結果を生み出した。村田製はもちろん、太陽誘電 <6976> [東証P]やTDK <6762> [東証P]が株価の居所を大きく変えたほか、MLCC向けの材料を手掛けるノリタケ <5331> [東証P]や日本化学工業 <4092> [東証P]、堺化学工業 <4078> [東証P]、戸田工業 <4100> [東証S]なども値を飛ばすこととなった。MLCCは、かつてはアップル<AAPL>などセットメーカーから常に値下げを要求されていた部品であった。その部品が値上げできるという点で、AIインフラ投資のインパクトは計り知れないものがある。
●物色人気化したMLCC関連株
微細化・積層化が進む半導体と同様に、電子部品も小型化・高性能化が進んでいる。AIサーバーには先端半導体や光部品だけでなく、ハイエンドの電子部品が不可欠だ。需給がひっ迫し、部品の争奪戦が繰り広げられることになれば、MLCCに限らず価格は自ずと上昇することになる。国内の電子部品・部材メーカーは村田製とTDK、太陽誘電のほか、MLCCとともに半導体用セラミックパッケージを製品群に持つ京セラ <6971> [東証P]が大手企業の一角に加わる。ニッチ商品で競争力を持ち、ハードディスクドライブ(HDD)用精密フレキシブル回路基板が データセンター向けに伸長する日東電工 <6988> [東証P]、車載部品とともにデータセンター向けでは光通信レンズが拡大中のアルプスアルパイン <6770> [東証P]も主力企業だ。
半導体メーカーのイメージが強いが、ローム <6963> [東証P]も電子部品大手であり抵抗器など幅広く展開。ガバナンスの立て直しに動くニデック <6594> [東証P]の精密モーター技術はHDDに活用され、サーバー冷却システムなど新領域を攻略している。ミネベアミツミ <6479> [東証P]はデータセンターのサーバー向けにベアリングが好調で、空冷式の冷却システムの成長を図っている。AIサーバーの高速・大容量通信においては高精度な水晶発振器が求められ、水晶部品関連では日本電波工業 <6779> [東証P]やリバーエレテック <6666> [東証S]、大真空 <6962> [東証P]が主力企業となる。
これら以外にもキラリと輝く電子部品メーカーが多く存在するのが日本の強みと言える。足もとでは過熱感を強めた電子部品株が数多く散見されるものの、中長期的な目線で業績の拡大が期待でき、相対的に出遅れ感または割安感が意識される銘柄などは、旺盛な物色意欲の恩恵を折に触れて受けると期待できるだろう。そのような観点で注目銘柄をピックアップしていく。
●AI時代に躍動機運高まる電子部品株6銘柄
タムラ製作所 <6768> [東証P]はトランスやリアクターなどを主力とし、株価は4月以降上げ足を速めているものの、電子部品セクターのなかではやや出遅れ感がある。中国拠点の再編・集約とともに、国内生産体制の再構築に乗り出すなど構造改革を推進。前期に赤字に転落した最終損益は、今期は45億円の黒字に転換する計画だ。大型トランス・リアクターは米国でAIデータセンター向けに好調に推移し、生産能力の拡大に取り組んでいる。航空宇宙・防衛用トランスの需要増加も想定され、バリュエーション評価の更なる高まりを期待したい。
指月電機製作所 <6994> [東証S]は進相コンデンサー最大手で、三菱電機 <6503> [東証P]や村田製と資本関係を持つ。電気自動車(EV)関連が頭打ちとなる一方、電力機器システムが伸長。データセンター向けでは電力用コンデンサーやリアクトル、高調波対策機器の増加が見込まれている。27年3月期は最終利益が微増ながら過去最高益を連続で更新する計画。PER(株価収益率)は16倍近辺だ。
日本ケミコン <6997> [東証P]はアルミ電解コンデンサーで世界首位。5月22日にAIサーバー向け高容量コンデンサーを開発したと発表した。足もとでもAIサーバー向け需要が同社の業績にとって大きな追い風となっており、生産能力の強化に臨む方針。27年3月期の営業利益は前期比2.4倍の80億円に急拡大する見通しだ。株価は決算発表後に一段と水準を切り上げた。日柄調整を経て再び浮揚力が高まるか注視したい。
日本セラミック <6929> [東証P]は赤外線センサーや超音波センサーの有力企業。ADAS(先進運転支援システム)の普及が追い風となっている。26年12月期第1四半期(1~3月)は製品群の一部見直しで減収となった半面、経常利益は前年同期比25%増と大幅増益で通期計画に対する進捗率は27%と順調。配当利回りは4%超と高水準だ。無借金経営で自己資本比率は85%超と財務は盤石。赤外線センサーは温度管理や侵入検知に用いられ、産業の目と位置付けられている。フィジカルAIなど投資家の注目する領域で事業展開の動きが確認できれば、評価が一変する可能性が高い。
スミダコーポレーション <6817> [東証P]はコイル大手で車載関連の比率が高く、EV市場の伸び悩みの影響を受けてはいるものの、中国やアジアの車載関連は伸長し、26年12月期第1四半期(1~3月)は増収、24%の最終増益で着地した。データセンター関連ではリアクトルやインダクター、トランスといった製品群を持ち、成長ドライバーと位置付けて事業拡大を図っている。PBR(株価純資産倍率)は0.8倍近辺にとどまっており、PERも14倍台となお割安感が漂う。23年高値の1797円の奪還を期待したい。
オキサイド <6521> [東証G]は半導体ウエハー欠陥検査装置に用いられる波長変換単結晶や深紫外レーザー製品を展開。単結晶はがん診断用PET装置にも活用される。光アイソレーターの中核部品であるファラデー回転子向け単結晶がAIデータセンター向け光トランシーバーの需要拡大を受け好調に推移。量子コンピューターといった新領域にも深紫外レーザーなどでの技術力を発揮し、事業拡大を目指している。27年2月期はイスラエル子会社の売却の影響で減収予想ながら営業利益は前期比7割増で過去最高益更新を計画。75日移動平均線に接近した株価は値頃感も意識される。
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