大幅買い増しと完全売却、バリュー投資の両巨頭の判断が分かれたわけ<13Fで読み解く米著名投資家の売買戦略>第1回
【今回分析する米投資家】
米国の株式市場は今、AI(人工知能)の収益化フェーズへの移行と、高止まりする金利環境の狭間で、新たなパラダイムシフトに直面している。そうした中、資本の番人たるトップ投資家たちは、市場の表面的な熱狂とは裏腹に、極めて冷徹なリバランス(資産の再配分)を進めている。米国証券取引委員会(SEC)に提出された2026年第1四半期(26年3月31日時点)の「フォーム13F(機関投資家の株式保有報告書)」の最新データを中心に、今回は世界的な巨人である3人の米著名投資家の銘柄売買動向を分析したい。
その3人とは、バークシャー・ハサウェイ<BRK.B>の指揮を執るグレッグ・アベル、ディープ・バリュー投資の最高峰、バウポスト・グループを率いるセス・クラーマン、そして破壊的イノベーションの旗手、アーク・インベストメント・マネジメント(以下、ARK)のキャシー・ウッドである。
言うまでもなく、今回分析する13Fのポートフォリオは、2026年3月までの米国株式市場を取り巻く社会情勢が色濃く反映されている。AIへの過剰投資懸念に始まり、米アンソロピックの新型生成AI「クロード」の登場により喧伝された「SaaSの死」を経て、世界中の投資家たちを混乱に陥れた米国とイスラエルによるイラン攻撃へ。この激動の中で、世界の株式市場に大きな影響力を持つ投資家たちはどのように動いたのか。
彼らの選択からは、景気後退局面における「徹底した防衛」と「次世代インフラへの強い確信」という共通のグランドデザインが浮かび上がってくる。(執筆・若桑カズヲ、編集・樫原史朗)
◆「SaaSの死」からイラン攻撃へ、3人に共通するのは資本の『防衛』