「消費減税」で期待膨らむ、国策追い風に飛躍する食品関連銘柄6選 <株探トップ特集>
―商品値上げによる消費者行動への影響緩和か、乱高下相場で強みも発揮―
食品消費税の減税を巡る議論が進んでいる。超党派で形成する社会保障国民会議の実務者会議における中間取りまとめ案では来年4月から2年間、軽減税率の対象となっている飲食料品の消費税率を1%にするという内容が提示された。更に厚生労働省の毎月勤労統計によると、実質賃金は4月まで4カ月連続で増加しており、家計所得は好転に向かいつつある。減税政策と賃上げを追い風とする内需拡大が、業績に恩恵を与えると期待される食品関連銘柄を改めてマークしておきたい。
●消費税「実質ゼロ」に議論も大詰め
今年2月の衆議院選挙では自民党が2年間にわたり食料品の消費税をゼロとすることについて検討を加速させるとの公約を掲げており、選挙中の株式市場では食品企業や食品スーパーに物色人気が向かう局面もあった。その後、社会保障国民会議で議論が行われ、レジ改修にかかる時間を踏まえ消費税率自体は8%から1%に引き下げつつ、所得に連動した給付を実施することで飲食料品の消費税を「実質ゼロ」とする中間取りまとめ案が6月に公表された。合意に向け各党がどのような動きを見せるか注目される。
中東情勢の影響を受けた資材などのコストアップを背景に、飲食料品の値上げが続いている。帝国データバンクによると、7月の飲食料品値上げは合計2566品目と3カ月ぶりに2000品目を超えた。年間では11月までの判明分が1万4902品目に上り、最終的に2万品目台で着地することが想定されるという。値上げは食品企業の収益力の維持・強化につながる一方、消費者の購買意欲を後退させる懸念がある。その点、政府による食品消費税の減税が実施されれば、消費行動に対する値上げの影響を緩和しつつ、食品企業が収益性を確保しながら業容を拡大するシナリオもあり得る。
●輸出・インバウンドなども成長のエンジンに
国策の追い風は内需拡大に留まらず、外需の獲得にも及んでいる。政府は「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」に取り組み、農林水産物・食品の輸出額を2030年までに5兆円(25年は1兆7005億円)に増やすことを目指している。輸出との相乗効果が期待される インバウンドによる食品関連消費額などについても目標を掲げており、食品業界全般に幅広い恩恵がありそうだ。世界で活躍する日本の食品企業は多く、例えば100カ国以上でしょう油を展開するキッコーマン <2801> [東証P]や米国・メキシコにおける即席めん販売でトップ級の東洋水産 <2875> [東証P]、昨年に乳酸菌飲料の売り上げ世界1位としてギネス世界記録に認定されたヤクルト本社 <2267> [東証P]などが挙げられる。
日経平均株価が6月の1カ月間で過去10番以内に入る上昇幅を2回、下落幅を3回記録するなど相場は乱高下している。ディフェンシブ銘柄の一角でもある食品セクターが強みを発揮しやすい局面にあるとも考えられそうだ。好調な業績が見込まれながらも、PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回り割安感がある食品企業6銘柄を選抜してみる。
●食品業界で成長期待の6銘柄ピックアップ
乳業大手の雪印メグミルク <2270> [東証P]は牛乳やヨーグルトなどを含む飲料・デザート類セグメントを牽引役とし、今期は2ケタの営業増益を見込む。収益性が高く独自の機能を持つ商品として、骨密度を高める機能性表示食品「MBPドリンク」などの販売を拡大。消費者の節約志向が高まるなか、ヨーグルトの大容量商品の販促も強化する。PBRは0.9倍台だ。
日清オイリオグループ <2602> [東証P]は食用油大手。チョコレート用油脂や食用油の販売増加などにより、今期の連結営業利益は前期比11.6%増の190億円となる見通し。29年3月期目標に280億円への到達を掲げており、CBE(ココアバター代用油脂)や化粧品油剤の世界シェア拡大に取り組む。日足・一目均衡表の雲領域を明確に上抜けられれば戻り余地が広がる。PBRは0.8倍近辺だ。
丸大食品 <2288> [東証P]はハム・ソーセージのほか、レトルト惣菜をはじめとする調理加工食品を手掛ける。26年3月期連結営業利益は期初計画から大きく上振れして着地。今期もハム・ソーセージにおける収益の向上などにより、営業利益の成長を見込む。200日移動平均線は上昇基調を維持。PBRは0.7倍台となっている。
六甲バター <2266> [東証P]は家庭用プロセスチーズの販売で国内トップ級のシェアを誇る。26年12月期第1四半期(1~3月)の連結決算は売上高127億4700万円(前年同期は単独決算で96億3800万円)、営業利益3億4300万円(同4300万円)。海外事業を強化中であり、昨年11月にベトナムにQBBアジアを設立。現地工場を建設し、27年から生産を始める予定。自社株買いや政策保有株式の縮減を通じ、資本効率の向上も図っている。
亀田製菓 <2220> [東証P]は米菓メーカーで、トップクラスの国内シェアを持つ。国内米菓事業の価格改定効果や北米事業の拡大により、今期の連結調整後営業利益は前期比7.7%増の107億円と過去最高益の連続更新を計画。31年3月期目標の145億円達成に向け、北米子会社ではコア事業のうす焼の拡販を進めるとともに、製品群の拡大にも取り組んでいる。
日本甜菜製糖 <2108> [東証P]はビート糖最大手。10月1日付で商号を「ニッテン」に変更する。今期の連結業績は砂糖事業の回復により売上高が690億円(前期比0.4%増)で、営業利益が13億円(前期は5200万円)と大幅な営業増益となる見通し。5月に配当方針を変更。今期の年間配当は前期比100円増配の260円で、配当利回りは5.5%台と高水準だ。大株主のBe Brave(東京都港区)が「純投資及び状況に応じて重要提案行為などを行うこと」を目的に、甜菜糖株の保有割合を9.48%まで高めていたことが2月に明らかになっている。株価は上昇基調のなか約30年ぶりの高値水準に達してなお、PBRは0.7倍台と割安感があり更なる上値余地を感じさせる。
株探ニュース