禁断の「ショート戦略」、上げ相場でも輝かせた3つの理由
すご腕投資家さんに聞く 『銘柄選び』の技
AI相場で勝つ人
爆弾低血圧さんの場合-最終回
イラスト:福島由恵ショート戦略で億り人の座を勝ち取った兼業投資家。2005年にFIRE(経済的自立と早期リタイア)を目指して投資を開始した当初はバリュー投資やテクニカル投資などのロング戦略に取り組んだものの、思うように成果を上げられず元手500万円の大半を失ってしまう。失敗の原因を分析する中で、値下がりしやすい銘柄には一定の傾向があることに着目。これが、現在のショート戦略につながった。足元の日本株資産は1億円を超える。「株探-個人投資家大調査-2026」の回答者で、投資スタイルは「イベント・カタリスト重視」、日本株投資の腕前は「中級者」となる。
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・「AI相場で勝つ人」を読む
・前回記事「日経平均7倍の『逆風下』、個別株ショートで運用額20倍&億り人達成」を読む
| この記事を読んで分かること |
| 1. 勝率70~80%の空売り戦略を生み出した原点 |
| 2. 上昇相場でも空売りにこだわった3つの背景 |
| 3. FIREを目指して地道に取り組んでいること |
「もうこんな生活は耐えられない。絶対にFIRE(経済的自立と早期リタイア)してやる!」
2013年に始まった日本株の長期上昇相場の中で、ショート戦略で資産20倍超を達成したのが、今回登場の爆弾低血圧(ハンドルネーム、以下バクテイさん)だ。
その原動力となった1つが、FIREへの強い思い。だが、それだけで生き馬の目を抜く株式相場で成果を上げられるほど投資は甘くない。ましてや相場の流れに逆らうショート戦略ではなおさらだ。
バクテイさんの成功には、「FIREへの思い」以外にも2つ、つまり合計3つのカギがある。最終回では、この3つの中身を見ていく。
株式投資で成功するには、勝ち技を身に付けることは必要条件だが、それだけでは十分ではなく、心技体を伴って初めて十分条件となることがわかるはずだ。
「休日も、会社に居場所を把握される」
バクテイさんがFIREを決意したのは20代後半、自分の時間を守るためには経済的な自立が欠かせないと痛感させられたからだ。
きっかけは、地元の産業機器メンテナンス会社への就職だ。休日出勤・長時間労働が常態化し、「体力的、精神的に耐えられない」と感じていた。
「休日に仕事がない日でも電話がかかってきて、常に居場所を把握されているような環境だった」(バクテイさん)
過酷な環境から抜け出すために、1日も早く資産を築きたい。そんな思いで、株式投資に踏み出した。しかし、最初の数年間は失敗の連続だった。
ロング戦略で挫折
現在ショート戦略を実践するバクテイさんだが、初心者時代はロング戦略からスタートしている。割安株狙いで、PER(株価収益率)の低い銘柄を買ったり、移動平均線を15%下回った銘柄を逆張りで仕込んだりしていた。
結果は思うようにいかず、「自分が買った銘柄ばかりが、上場廃止や民事再生法の適用に追い込まれた」(バクテイさん)。損失は重なり、開始5年後の2010年には元手500万円の大半を失っていたという。
投資をやめる前に、せめて原因分析を
どん底からの転機となったのは、自身の取引を徹底的に振り返ったことだった。
この当時、バクテイさんは投資から一切足を洗おうとしていた。参加費20万円の投資スクールの受講時に、夢や目標を記した紙はすべて破り捨てた。
ただ、それまでに投じた資金や労力、そして家族のことを考えると、失敗の原因を解明せずに終えて本当に良いのかという思いがふつふつと膨らんできた。「妻や子どもと過ごす時間も犠牲にして、投資と向き合ってきた」(バクテイさん)
投資と見切りを付けるためにバクテイさんが自身の失敗史を辿っていくと、「なんだ、これは」というサインが目に止まった。この気づきが、後に億り人の道を切り開く転換点になったのだ。