朝日印刷:NEUTRAL継続【今村証券アナリストレポート】
●朝日印刷<3951>[東証S]
レーティング: NEUTRAL(2025/7/2)→ NEUTRAL
◆医薬品向け、化粧品向けパッケージでシェアトップ
◆投資先行で利益伸び悩み
◆2030年度に「ROE8%、営業利益率8%」めざす

◆会社概要…医薬品や化粧品のパッケージ(包材)の印刷会社
医薬品パッケージの印刷でシェア4割弱、化粧品パッケージでもシェア3割弱と業界トップ。生命にかかわる医薬品のパッケージには完璧な品質管理が要求されるため参入障壁は極めて高く、実績のある同社に強みがある。
◆業績
2026年3月期連結業績は小幅な増収・営業減益。包装システム販売事業の売上高が10億円近く増収となったことが売上高を押し上げたものの、原材料価格や運送費の上昇、人件費の増加などが利益を押し下げた。想定以上の原材料価格の上昇によって営業利益は想定(22億5000万円)を6億円余り下回る16億2300万円となり、営業利益率は3.6%と前の期に比べて1.1ポイント低下、4年連続の低下となった(資料1参照)。

会社は今年に入ってから価格交渉を進めており、今期は利益率改善が見込めるとする。
◆強み
医薬品や化粧品のパッケージの印刷において同社の存在感は大きい。強みは① 高い参入障壁、② 業界トップの生産体制、③ 設計・デザインから製造・包装まで自社グループで提供できるワンストップサービス―――だ。
医薬品のパッケージの製造には法律などの厳しい規制があり、徹底した品質管理体制と品質保証体制が求められる。また、デザインが重視される化粧品向けのパッケージには高い印刷技術や設備が要求されるが、これに応えられる印刷会社は数社に限定される。参入障壁は極めて高く、同社の優位性がある。
生産設備を富山と京都に構えることも強みだ。災害時などのBCP(事業継続計画)対応が可能になることは受注獲得に優位となっており、20拠点の国内販売拠点も他社との差別化につながっている。
また、医薬品や化粧品など需要が安定している業界に特化していることに加え、幅広い取引先を持つことが同社の事業基盤を盤石にしている。取扱高トップの得意先でも売上高の3%程度を占めるに過ぎず、幅広いメーカーとの取引が安定した業績につながっている。
一方、増産や省力化・効率化のための投資が続く中で固定費が増加していることが利益を圧迫し、近年の最終損益は16億円から18億円で推移している。ROEの低下も課題だ(資料2参照)。

こうした課題に取り組むべく掲げる「中期経営計画2030(以下「中計」)」の目標は2031年3月期の「ROE8%、営業利益率8%」。効率性を重視し、注力するのは高付加価値製品・サービスの拡大だ。印刷包材事業では緩衝機能や改ざん防止機能など高機能を付加した製品で差別化を図るほか、包装システム販売事業では前工程や後工程を含めたソリューション提供で付加価値を高める。ROE改善に向けて、流動資産や固定資産などバランスシートの適正化にも取り組み、2030年度の総資産回転率を0.75回転(2026年3月期0.64回転)への向上を目指す。バランスシート適正化によって生み出された資金は工場再編などの成長投資に振り向ける方針だ。
◆業績予想と投資判断
今期業績予想は増収増益見通し。価格転嫁が寄与するうえ、マレーシア子会社の新工場稼働が増収につながるとする。製品値上げによって利益率も改善見通しだ。配当については、会社は前期並みの38円を予想しているが、掲げる配当方針は「DOE(連結純資産配当率)2.4%を目途」、「累進配当(原則として減配せず、配当の維持もしくは増配)」だ。配当方針をもとにすれば今期配当予想は41円となろう。
来期業績は新工場稼働の通年寄与により小幅な増収を想定する。今村証券では売上高490億円(今期予想比4%増収)、営業利益22億円(同13%増益)、純利益18億円(同8%増益)、EPS87円を予想する。
なお、中東情勢の影響については、現時点では一部の部材に調達難がみられるが影響は限定的としている。
利益の横ばいが続いていることから投資判断は「NEUTRAL」を継続する。ただ、今村証券予想による配当利回りは4.7%、会社予想でも4.3%と配当利回りが高いことから、配当重視であれば投資対象として検討に値すると考える。
| 【レーティングの定義】 OUTPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超上回ると予想される。 NEUTRAL:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンの+10%と-10%の間に入ると予想される。 UNDERPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超下回ると予想される。 トータルリターン:株価変動率+配当利回り 目標株価は12カ月間の投資を想定しており、将来発行されるレポートで修正されることもあります。 |
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今村証券より提供されたレポートを掲載しています。
株探ニュース