国内株式市場見通し:今後は決算内容を吟味した選別物色の動きが強まっていく公算
■週末にかけ25日線が上値抑制も連日で下ヒゲが目立つ展開
今週の日経平均は先週末比1244.69円高(+1.9%)の65606.71円で取引を終了した。日米の円買い協調介入実施を受けてのスタートとなったが、5月上旬以来の円高進行を受けて売りが優勢となった。先週末にかけて大きく上昇した反動も強まった格好。週央にかけては、米ハイパースケーラーの株価上昇が買い安心材料につながった。とりわけ、5日は、米半導体株指数(SOX指数)が6%超高となったほか、韓国市場の株高も追い風にして、2342円高と大きく上昇している。
週後半にかけては上値の重い展開となった。米サンディスクの決算発表後の株安をきっかけとして、人工知能(AI)・半導体株に戻り売り圧力が再度強まることとなった。結局、週後半にかけて日経平均は25日移動平均線に上値を抑えられる格好となったが、一方で、週を通して下ヒゲを残す展開になっており、押し目買いへの意識の強さも印象付けられた。日中安値から終値までの上昇幅は、3日が1051円、4日が1093円、6日が741円、7日が955円となっている。
■ここまでの決算発表を受けた選別物色が強まっていく公算
今週末の米国株式市場は上昇。ダウ平均は前日比151.83ドル高の54036.93ドル、ナスダックは同342.26ポイント高の26690.62で取引を終了した。225ナイト・セッションは日中終値比円650円高の66310円。7月雇用統計で非農業部門雇用者数が予想外の減少となり、早期の利上げ観測が後退、長期金利の低下を好感してハイテク株主導での上昇となった。なお、SOX指数も2.5%の上昇となったが、メモリー株は軟化している。
米SOX指数は今週末に25日線レベルを上抜けており、AI・半導体株の短期的な売られ過ぎ感は解消したとみられる。目先は、AI・半導体関連以外の物色テーマを探る動き、あるいは、直近の決算発表を受けてのセクター内やテーマ内での選別物色の動きへと移行していきそうだ。
ちなみに、今週の決算を受けてポジティブインパクトが強まった主力株には、ルネサスエレクトロニクス<6723>、カシオ計算機<6952>、住友ベークライト<4203>、ヤマハ発動機<7272>、イビデン<4062>、メルカリ<4385>、花王<4452>、オムロン<6645>、バンダイナムコホールディングス<7832>、キッコーマン<2801>、明治ホールディングス<2269>、フジクラ<5803>、三菱マテリアル<5711>、ロート製薬<4527>、日本触媒<4114>、ADEKA<4401>などが挙げられる。一方、AI・半導体関連銘柄では、決算自体にネガティブサプライズは乏しかったものの、出尽くし感が先行して大きく下落したものも多く散見される。こうした銘柄に関しては、見直しの動きに伴う株価の反発余地はありそうだ。
今週までで主力企業の決算発表は大方一巡、来週は損保各社のほか、住友金属鉱山<5713>、アシックス<7936>、荏原<6361>などが発表予定だが、むしろ今週までの決算発表を吟味しての選別物色の動きが優勢となりそうだ。ただ、海外ではアプライドマテリアルズが13日に決算発表を予定しており、短期的に半導体製造装置各社の株価変動要因となる公算が大きい。なお、海外でも、国内企業に影響を与えるものとしては他に、鴻海精密、テンセントが挙げられる程度。
■売買ボリュームやボラティリティは目先低下の公算も
来週はお盆休みシーズンとなり、機関投資家の売買ボリュームは低下する可能性がある。AI・半導体関連株一極集中の動きも沈静化しつつあり、日々のボラティリティも落ち着いたものとなっていこう。また、お盆休みシーズンには個人投資家の影響度が強まることで、低位株や材料株などには突飛高、乱高下の動きが目立ってくる可能性もあろう。
注目イベントとしては、消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)など、米国のインフレ指標発表が挙げられる。直近の報道では、ウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、今後数週間のうちに公表されるインフレ指標が強い内容となり、市場で利上げ観測が強まれば、政策金利を引き上げる用意があるなどと伝わっており、指標の上振れは米国株安につながっていく公算が大きいだろう。ただし、今週末の雇用統計では雇用者数が予想外の減少となっており、いくらインフレを重視とはいえ、早期利上げへの警戒感は後退の方向といえよう。
一方、日米協調介入の効果か、介入後のドル円の戻りは限定的にとどまっている。マーケットインパクトという意味では、市場参加者が減少するお盆休み期間での再度の介入なども思惑視されるため、当面は円の上値を探っていく動きとなろう。国内株式市場にとっては上値を抑制する要因となる。また、今回の協調介入実施を受けて、9月の日銀金融政策決定会合における追加利上げの実施可能性は高まっているとも判断される。
■12日に米国の消費者物価指数が発表予定
来週、国内では、10日に6月経常収支、7月景気ウォッチャー調査、7月30-31日開催の日銀金融政策決定会合の「主な意見」、12日に7月マネーストック、13日に7月国内企業物価指数が発表される。なお、11日は山の日の祝日で休場となる。
海外では、11日に米・7月中古住宅販売件数、12日に米・7月消費者物価指数、7月財政収支、13日に欧・6月ユーロ圏鉱工業生産、米・7月生産者物価指数、新規失業保険申請件数、14日に欧・6月ユーロ圏貿易収支、米・7月小売売上高、8月ミシガン大学消費者マインド指数などが発表される。
《FA》