伊藤智洋が読むマーケット・シナリオ【週間展望】 8月30日版
年末までのシナリオは週明け後の動きで明確になる公算
1. 本年が年足陰線で引ける展開は限られている
前回の本コラムでは「 日経平均株価は本年の年足が陰線(年初よりも年末の値位置が低い)で引ける可能性を残している」、「弱気の展開になる場合、9月末頃までに3月31日安値の5万0558円付近まで下げる動きになる」と述べました。
図1の赤の実線は、本年の日経平均株価の年足が陰線引けする場合の最も有力な展開になります。
9月末に5万0558円へ接近する程度まで下げるためには、まず7月29日安値の6万0448円を割れて、史上最高値をつけた6月22日以降がはっきりとした下降の流れへ入っていることを示す動きになる必要があります。
6万0448円割れ後は下げが勢いづくと考えられますが、6万0448円前後では一時的に下値を支えられる可能性があります。
最近のチャートを見ると、数日間の小幅な調整を経過しています。長い期間のチャートで見ると小動きに過ぎないのですが、8月20日~28日まで7営業日の期間、一定の水準に留まっています。
大型連休がある9月は、19営業日しかありません。最近のもみ合いものような動きが表れれば、もう下げられる期間は10営業日程度しかなくなります。
9月末に5万0558円へ接近するには、まず6万0448円以下へ下げて下降の流れを明確にして、そこからさらに1万円近く下げなくてはいけません。
6月22日から7月29日までは、はっきりとした下げの流れを作っています。この下げは27営業日で、1万2383円幅というとんでもない値幅の下げ場面になっています。
今回はさらに短い期間で同程度の値幅か、それ以上の値幅の下げにならなければ、目標とする場所へ到達できません。6月22日~7月29日のようにジグザグの下げが長く続くのではなく、2024年7月11日~同年8月5日(17営業日で1万1270円幅の下げ場面)、2025年3月26日~同年4月7日(9営業日で7428円幅の下げ場面)のような急激な下げの動きが表れると考えられます。
2024年7月11日からの下げは、日銀が追加利上げの姿勢や国債買い入れ減額方針、量的引き締めへの道筋を示したことで株価が下落しています。
2025年3月26日からの下げは、トランプ米大統領が追加の関税政策を発表したことをきっかけにして株価が急落しています。
今回想定している下げは、2024年7月以降、2025年3月以降の下げと同様、材料を伴って一気に下げが加速するパターンになると推測できます。現時点で想定できるシナリオの一つは、日銀が9月18日の政策決定会合で利上げを決定して、株価が下げる展開です。
まず、9月18日までの期間で日経平均株価が7月29日安値の6万0448円前後まで下げて、その後、日銀の政策決定会合後の政策金利発表をきっかけに、6万0448円割れを明確なものとし、弱気の流れを再確認して下げが勢いづく、という展開が想定されます。
図1 日経平均株価(日足)と今後のシナリオ

2. 日経平均週明け後に下げるかが焦点
これまで述べてきたことは、9月から10月にかけて日経平均株価が暴落すると予言しているわけではありません。本年の日経平均株価が年足陰線をつける展開になる場合、9月にどのような値動きにならなければいけないのかを示しているに過ぎません。