不安定な相場で真価を発揮、秋の高配当「好進捗&割安」お値打ち6選 <株探トップ特集>
―値動きの荒い地合いで強さみせるか、中間決算前に注目度上昇の高配当株リストアップ―
3月期決算企業の中間決算期末にあたる9月末を前に、高配当利回り株への注目が高まりつつある。足もとの株式市場は、インフレ懸念や世界的な金利の先高観から神経質な展開が続いている。これまで相場を牽引してきたAI・半導体関連株が荒い値動きとなる一方、割安感のある銘柄へと資金を振り向ける動きが強まり、バリュー株比率が高いTOPIX(東証株価指数)は堅調な推移をみせる。
こうしたバリュー株への見直し機運に、月末の中間配当取りを狙う動きが重なり、高配当株にも下値の強さが目立つ銘柄が増えてきた。高配当株の代表的な指数に連動するNEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信 <1489> [東証E]は、日経平均株価が伸び悩むなかでも下値抵抗力を発揮し、9月1日に過去最高値を更新している。今回は中間配当の権利取りに向けて、業績の裏付けと強固な財務基盤を持ち、株主還元に積極的な高配当株を探った。
●企業の還元意欲は歴史的な高水準に
高配当株への資金流入を後押しするのが、日本企業による歴史的な規模の株主還元だ。日本取引所グループ(JPX)がまとめた2026年3月期決算短信集計(2127社)によると、最終利益の合計額は59兆6575億円(前の期比9.8%増)に拡大した。これに伴い、配当金総額は21兆4408億円(同11.9%増)と利益の伸びを上回るペースで膨らみ、過去最高を記録した。東京証券取引所が促す「資本コストや株価を意識した経営」への対応が進むなか、約6割の企業が増配に踏み切るなど、利益を積極的に株主へ還元する姿勢が鮮明となっている。
続く27年3月期についても、企業による株主還元の拡充が期待されている。その裏付けとなる直近の業績も総じて堅調で、8月中旬までに発表が一巡した27年3月期第1四半期(4-6月期)決算では好スタートを切る企業が相次いだ。業績の進捗が順調で財務基盤も盤石な銘柄は、今後本格化する中間決算で、業績の上方修正や追加増配への期待が高まりそうだ。
ここでは、不安定な相場でも安定感が期待できる実力派バリュー株として、(1)PBR1倍割れを中心とした株式指標面の割安感がある、(2)今期の年間配当利回りが3.5%以上と高水準である、(3)直近の決算で業績上方修正や配当増額に踏み切るなど、業績や株主還元に強いモメンタムがある、といった条件を満たす有望な6銘柄をピックアップした。なお、9月末基準日の中間配当を獲得するには、権利付き最終日の9月28日に株式を保有していることが必須条件となる。
※配当利回りは9月7日終値ベースで算出。
【デンヨー <6517> [東証P]】 配当利回り4.26%
屋外用エンジン発電機で国内シェア70%を誇るトップメーカー。自己資本比率78%という強固な財務基盤を背景に株主還元を一段と強化している。政策保有株式の売却を進める一方、累進配当の方針に基づき、7月31日に今期配当を期初の120円から170円(前期実績100円)へ大幅に増額したほか、10億円を上限とする自社株買いも実施中だ。第1四半期は米国で在庫調整の一巡に加え、データセンター向けなど旺盛な建設需要を背景に出荷が伸長。販売価格の上昇も寄与し、営業利益は前年同期比9割近い大幅な伸びを示した。国内でも防災やインフラ整備向けの需要が底堅く、水素発電機など脱炭素分野の開拓も進めている。予想PER13倍台、PBR0.9倍台と指標面の割安感もあり、好業績と高水準の株主還元を兼ね備えた有力株として投資妙味はなお大きい。
【大日精化工業 <4116> [東証P]】 配当利回り4.20%
顔料、着色剤、インキから樹脂合成まで幅広く展開する化学メーカー。PBR1倍割れの是正に向け、資本コストを意識した経営を強化しており、事業ポートフォリオの見直しなど構造改革を推進している。4月には1対4の株式分割を実施したほか、中期経営計画では3ヵ年平均の総還元性向50%以上を掲げるなど、株主還元にも前向きな姿勢を示す。本業では高付加価値品の販売が好調に推移するなか、価格改定や原材料価格高騰前の在庫消費による利益押し上げ効果も加わり、第1四半期決算の発表と同時に通期業績予想を早くも上方修正した。これを受けて株価は2018年1月以来の高値水準まで上昇したが、PBRは0.6倍台にとどまる。業績の上振れを背景に、今後の配当増額への期待も高まりそうだ。配当利回り4%超、予想PER10倍台と割安感が強く、本格的な水準訂正が期待される。
【プレス工業 <7246> [東証P]】 配当利回り4.81%
商用車向けフレームやアクスル(車軸)で高いシェアを誇る自動車用プレス部品の国内大手。中期経営計画では総還元性向60%以上、DOE(株主資本配当率)3.0%超を掲げるなど、株主還元に積極的な姿勢をみせる。第1四半期は国内外でトラックの生産が増加したほか、データセンター建設などに伴う建設機械向け部品の需要拡大を取り込んだ。更に、合理化効果や円安も追い風となり、営業利益は前年同期比40%超の大幅増益を達成。これを受けて通期業績予想を上方修正するとともに、配当も従来計画の44円から50円(前期は37円)へ引き上げた。直近では、新型パジェロ用フレームの受注や国内証券による強気の投資判断も株価を刺激し、1990年3月以来となる約36年6ヵ月ぶりの高値圏に浮上している。それでもPBRは0.8倍台にとどまり、更なる評価余地がありそうだ。
【日本冶金工業 <5480> [東証P]】 配当利回り4.04%
ステンレス特殊鋼の大手メーカー。ニッケル製錬から製品化までを一貫して手掛ける独自の生産体制を強みに、高耐食・高耐熱合金などの高機能材で世界トップクラスの供給能力を持つ。中期経営計画では高機能材をはじめとする成長・戦略分野への設備投資を積極化し、一段のシェア拡大を目指す。足もとの業績も好調だ。半導体製造装置(プリント配線基板用)向けやオイル・ガス関連の需要が拡大しているほか、原料価格の上昇で在庫評価益も膨らみ、第1四半期決算の発表と同時に通期業績予想を大幅に引き上げた。今後は輸入材に対するアンチダンピング関税の発動に伴う国内材への需要回帰も期待される。今期配当は220円(前期と同額)で利回り4%前後、予想PER8倍台、PBR0.7倍近辺と出遅れ感が強く、好業績や需要回復を追い風に見直し余地は大きい。
【日本特殊塗料 <4619> [東証S]】 配当利回り4.85%
自動車用防音材を主軸とする自動車部品と、建築・航空機向け塗料の製造販売を手掛ける。祖業の航空機用塗料は国内唯一のメーカーであり、技術力の高さに定評がある。中期経営計画では総還元性向70%を目標に掲げ、機動的な自社株買いを予定するほか、今期配当は6期連続増配となる130円(前期比5円増)を計画するなど、株主還元への意欲が際立つ。業績も力強く、第1四半期は自動車生産台数の増加や防水材の復調に加え、北米を中心とする海外持ち分法適用会社の利益成長が寄与し、経常利益23億3500万円(前年同期比60.5%増)と四半期ベースの過去最高益を更新した。株価は8月18日に上場来高値2761円をつけた後も底堅く推移しているが、予想PER10倍台、PBR0.9倍台と指標面の割安感はなお強い。高配当バリュー株として注目したい。
【日本電計 <9908> [東証S]】 配当利回り3.80%
電子計測機器の販売でトップシェアを握る独立系専門商社。特定メーカーの系列に属さず、約5000社の仕入れ先を持つ強固なネットワークを築く。次世代自動車やAI・データセンター、半導体、防衛などの成長分野で、研究開発や設備投資に伴う需要を的確に捉えており、27年3月期は営業利益52億円(前期比4.6%増)と5期連続で過去最高益を更新する見通しだ。配当も109円(前期比12円増)と7期連続増配を計画する。第1四半期の営業利益は前年同期比2.9倍の9億6100万円と好調な出だしをみせ、株価は8月31日に上場来高値3015円まで上値を伸ばした。一方、予想PER9倍台、PBR1倍割れと過熱感は乏しく、好業績と連続増配を背景に、今後も上値追いが期待できそうだ。
株探ニュース