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明日の株式相場に向けて=台湾発「高気圧」通過後に大型台風到来か

市況
2026年9月10日 17時42分

10日の東京株式市場で日経平均株価は3日ぶりに反発。金利上昇への警戒感から下げ幅は一時950円を超えたものの、取引終了間際にプラスに転じ、高値引けとなった。TOPIXも3日ぶりに反発。TOPIXの日足は2営業日連続の陽線で75日移動平均線が下値を支持している。この日はメジャーSQ(特別清算指数)算出前の最終売買日。先物でのロールオーバーによる影響を受けやすい地合いにあったなか、米長期金利は5%へ迫る動きをみせたにもかかわらず、過度に悲観に傾く雰囲気はなく、後場半ばまでは韓国総合株価指数(KOSPI)にらみの展開が続いた。

米財務省は国債のバイバック(買い入れ消却)の額を60億ドルとする方針を公表し、これが市場の一部観測に届かなかったという理由で、債券が売られ金利が上昇したのだという。自らを「胴元」と表現したとされるベッセント財務長官の思惑とは裏腹に、金利の上昇が収まらない。胴元の敵となる存在は一般にイカサマ師と、内部情報を外部に漏らす人物、そして真のプロと言われるが、胴元の算段に反する金利の動きからは、時の政権を意のままに操ろうとするマーケットの根源的な権力指向をも感じさせる。

この日はトランプ米大統領の発言も話題となった。11月の中間選挙で共和党が勝利した場合、米国民の成人に1人あたり5000ドル(約77万円)を支給することを約束したのである。夫婦なら合計1万ドルとなり、アップル<AAPL>が9日発表した折り畳み式スマートフォン「iPhone Duo」の最上位モデル(3199ドル)を3台購入できる計算だ。約2億7000万人の成人の米国民に5000ドルずつ配るには1兆3500億ドルが必要となる。実現可能性は乏しいとマーケットは受け止めており、米長期金利をみても時間外取引で水準を切り上げた形跡はみられない。

中間選挙において上院で民主党が勝利を収めるためのハードルは非常に高い。一方、下院は民主党が過半を獲得するとの見方が優勢となっている。上下院が「ねじれ」となれば、トランプ政権の過激な政策が鳴りを潜めることになる。株式市場にとってはベストシナリオだ。トランプ大統領が焦りをみせたとしても、支持率低迷の要因がインフレで、これを助長する中東紛争に解決の糸口が見えない限り、共和党の下院勝利は遠のくことになる。

金利上昇懸念がくすぶるなか、TSMC<TSM>が10日発表した8月の月次実績は、市場の閉塞感を打破するうえで大きなインパクトをもたらした。売上高は前年同月比53.3%増の5148億台湾ドルで単月として過去最高を記録。まさに絶好調といえる結果となり、東京市場において半導体検査装置のアドバンテスト<6857>や、積層セラミックコンデンサー(MLCC)の村田製作所<6981>と太陽誘電<6976>など、AI・半導体関連株に対する投資家の物色意欲を喚起した。台湾発の「高気圧」が株式市場に晴れ間をもたらしたというわけだ。

とはいえ、来週15~16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果がどのようなものになるのか、市場参加者の見方が大きく分かれている。CMEフェドウォッチによると、0.25%の利上げの確率は現時点で62%。日本時間11日夜発表の米8月消費者物価指数(CPI)を受けてこの確率は変化することになるのだが、利上げ観測と据え置き観測が拮抗したままFOMCを迎えることになれば、「どのような結果になっても相場は荒れる」(国内アセットマネジメント)との声が聞かれる。金融引き締めとなれば株式市場にはマイナスに作用することが見込まれる。据え置きとなった際には「ジャクソンホール会議でのウォーシュ議長のタカ派的姿勢は一体何だったのかとなりかねず、市場の予見性が一段と低下することになる」(同)という。

10日夜の欧州中央銀行(ECB)理事会は利上げが確実視され、中立金利の観点で利上げはいったん打ち止めになるとの見方が優勢だ。日銀に関しては17~18日の会合での利上げがすでに織り込まれている。10月会合での連続利上げの可能性については、直近の急ピッチな円高を受けて低下したとの見方が広がっている。最も不確実性が高いFOMCという大型の台風が通過しなければ、レイバーデー明けの相場の方向性が見えてこないというのが実態だ。11日の東京市場も次第に様子見ムードが広がると考えられている。

そのような地合いにおいて幕間つなぎ的な形になるかもしれないが、台湾メディアによるAIチップの検査に用いられるプローブカードの需給ひっ迫報道を受けた関連銘柄の物色が続くかどうか注視されるところだ。一足先に動意づいたプローブカード大手の日本マイクロニクス<6871>や、メモリー向けプローブカード需要が急拡大している日本電子材料<6855>のほか、半導体検査用ソケットの山一電機<6941>、半導体商社でメモリーテスターなどを取り扱うイノテック<9880>、テスト用ソケットを製品群に持つエンプラス<6961>などが注目銘柄となりそうだ。

日程面では11日は国内では寄り前に7~9月期の法人企業景気予測調査と8月国内物価指数が公表されるほか、午後3時に8月投信概況の発表が控えている。また、KOMPEITO<618A>が東証グロース市場に新規上場する。米同時多発テロから25年の節目となるこの日は、米国で8月CPIが公表され、投資家の注目度が高い。このほか米9月ミシガン大学消費者信頼感指数も発表される予定だ。(長田善行)

出所:MINKABU PRESS

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