「宇宙関連」に新たな息吹、官民連携で成長エリア突入の有望株選抜 <株探トップ特集>
―宇宙空間を利用して何を行い、その機能をどう担保するかが今後の重要課題に―
AI・半導体関連株に過剰投資を背景とした財務不安が台頭し、投資マネーを動揺させている。目先は資金シフトの動きも考慮すべき局面だが、ここはAI同様に国策支援と官民の連携が強力な 宇宙関連株に目を向けてみたい。くしくも前日の米国株市場ではイーロン・マスク氏率いるスペースX<SPCX>が好決算発表を受けて時間外取引で大きく買われた。タイミング的にもフォローウインドが吹いている。
ロケットの打ち上げや月面探査は、その成否が大きなニュースになる。しかし、「宇宙に行く」という夢も大事だが、昨今では必要なときに利用でき、それを継続できるかということに関心が高まっている。直近の防衛省の宇宙輸送に関する取り組みと、デジタル技術の展示会で「宇宙」が従来と異なる切り口で独立したテーマとなったことは、株式市場でも新たな手掛かりとなる可能性がある。
●AIの進化と並行する宇宙ビジネスの在り方
AIはあっという間に進化し、単なる会話相手から仕事の相棒(実際は人間の職務を脅かすレベル)にその位置付けを変えた。そうしたなか、宇宙もまた利用方法だけでなく、その利用できる環境をどう守っていくかが問われる局面に変化してきている。
この変化を感じさせる直近の出来事は、9月14日に「敵対勢力の行動から米軍を防衛できる“軌道上の宇宙統制兵器”を米国が保有している」とメインク米空軍長官が明らかにしたことだ。報道では、米国による軌道上への兵器配備を公に認めた初の発言とされる。兵器の種類や性能などは明かされていないが、宇宙での活動が妨げられる事態への備えを国家が行っているという事実は、投資家も今まで以上に注意を向けるべきである。宇宙関連では、分かりやすい成果のロケット打ち上げや月面探査は、その成否が大きく取り沙汰される。しかし、今は必要な機能をどう使い続けていくか、こちらの課題への対応も宇宙産業の需要に大きく関係している。
防衛省は10月9日、即応宇宙輸送能力に関する調査研究の開始を発表した。目的は、有事などで人工衛星の一部が失われた場合に、その機能を迅速に回復するための輸送能力を検討することだ。ここで念頭に置かれているのも、衛星を保有するだけでなく、その「機能を維持する能力」についてである。高性能な衛星を保有していても、故障や損失が生じた際に代わりをすぐ軌道へ運ぶことができなければ、必要な機能は途切れて大きな損失を受ける。衛星そのものだけでなく、ロケットの製造、部品の調達、射場の確保、打ち上げ準備など、一連の工程を短くする必要性が高まっているのだ。
●シーテックで初の「宇宙共創パビリオン」設置
一方、利用する側の裾野を広げる動きも同じ時間軸で進んでいる点は見逃せない。10月13日から16日まで幕張メッセで開催された「CEATEC 2026」では、同展で初となる「宇宙共創パビリオン」が設けられた。主催者の発表では5社・団体が参画し、自動車、製造、通信、インフラ、ITなど多様な産業との接点づくりを行った。準天頂衛星「みちびき」を使ったドライブレコーダーのデータ実証や、衛星上でのAI処理と受信機会の拡大を融合させた取り組みなどが紹介されたようだ。測位の精度や情報を届ける速さは、自動車や防災など地上のサービスの使い勝手に関わる重要なポイントとなる。
宇宙関連株は、将来の大きな市場獲得への思惑から期待が先行しやすく、人気が一巡したところでネガティブ材料が出て関連銘柄の一角が大きく株価調整するケースなども多かった。ただ、防衛省の調査研究とCEATECの新企画は、異なる角度から宇宙をめぐる課題に向き合っているといえる。前者は必要なときに宇宙へ運ぶ体制を、後者は地上の産業が宇宙を使う接点を探る動きである。こうした、宇宙ビジネスの裾野を広げる動きが活発化している事実は押さえておく必要がある。
今回の特集では「宇宙」関連の銘柄にスポットライトを当てた。宇宙輸送・射場・ロケット部材などを手掛ける中心的な大型株のほか、衛星の供給・情報収集の位置付けで中小型株を紹介する。
●改めて注目したい宇宙関連有望株6選
◆三菱重工業 <7011> [東証P]~国産基幹ロケット「H3」の開発・製造、打ち上げサービスを担う。ロケットの設計から製造、衛星の軌道投入まで対応できる総合力が強み。今年8月にはH3ロケット9号機による「みちびき7号機」の打ち上げに成功。9月にはQPS研究所の小型SAR衛星3機、Synspective <290A> [東証G]の小型SAR衛星2機の打ち上げ契約も明らかになった。衛星輸送の国産化や打ち上げ頻度の向上に加え、有事における衛星の迅速な補充体制の構築に向けても中核的な役割を持つ。
◆キヤノン <7751> [東証P]~4月に完全子会社化したキヤノン電子を通じて小型ロケット「カイロス」を開発するスペースワン(東京都港区)に出資。同社は3月の3号機打ち上げでミッション達成に至らなかったものの、増強型カイロスの開発・実証事業が国の支援対象に。小型衛星を機動的に打ち上げる体制の整備が進めば、宇宙輸送のテーマ性が高まりそうだ。
◆清水建設 <1803> [東証P]~超高層建築や大型インフラ整備などの技術力が強み。スペースワンへの出資に加え、和歌山県串本町の民間ロケット射場「スペースポート紀伊」の建設・運用に参画。3月には同射場からカイロス3号機が打ち上げられた。また、金属3Dプリンターを活用したロケット用大型タンクの製造技術開発に取り組む。即応宇宙輸送能力の強化には射場や地上設備の整備が不可欠で、宇宙インフラ関連として存在感を示す。
◆川崎重工業 <7012> [東証P]~H3ロケットの衛星フェアリングを開発・製造しており、打ち上げ時の振動や熱から人工衛星を保護する技術に優位性を持つ。8月にはH3ロケット9号機が「みちびき7号機」の打ち上げに成功。過去にはH2Aやイプシロンなどのフェアリングも手掛け、豊富な納入実績を持つ。宇宙輸送能力の強化によるロケットの打ち上げ頻度増加や、衛星の迅速な輸送需要の拡大が事業機会につながる可能性がある。
◆QPSホールディングス <464A> [東証G]~傘下のQPS研究所が小型SAR衛星を開発・製造・運用。独自の軽量アンテナ技術を強みに、天候や昼夜に左右されない高精細な地表観測サービスを展開する。防衛省の衛星コンステレーション事業にも協力企業として参画。9月に三菱重とH3ロケットによる小型SAR衛星3機の打ち上げ契約を締結した。10月には19号機、20号機の11月以降打ち上げ予定を発表。衛星の迅速な補充や情報収集能力の維持という安全保障上の課題との関連性が高い。
◆Synspective <290A> [東証G]~小型SAR衛星「StriX」の開発・運用と衛星データ解析サービスを行う。天候や昼夜を問わず地表を観測でき、防災やインフラ監視、安全保障分野へも応用が利く。2月に防衛省の衛星コンステレーション事業への参画が正式決定。9月には自社13機目の衛星の軌道投入に成功し、三菱重とH3ロケットによる2機の打ち上げ契約を締結。10月には米Rocket Labと新たに20機の打ち上げ契約を結んだ。衛星の迅速な配備と継続的な観測体制の構築が成長テーマとなる。
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