AI時代の電力問題に突破口、上昇旋風迫る「光電融合」関連株リスト <株探トップ特集>
―米テック大手による新製品が続々、2027年以降に本格的普及加速の公算―
株式市場はデータセンター運営の米コアウィーブ<CRWV>の社債価格急落という悪材料に見舞われ、AI・半導体関連株が一時的に調整色を強めた。しかしその成長性の高さゆえ、押し目買いのタイミングを見定める投資家も一定数存在する。AIデータセンターは世界各地で建設が進むものの、大量の電力を消費するという課題を抱えている。電力消費量の抑制に向けた有効策として期待されているのが「光電融合」技術だ。2027年から本格的な普及期に入るとの指摘もあり、市場参加者から熱視線を集めている。
●米半導体大手が新製品投入
光電融合は、情報を伝達するための電気信号を光信号に置き換える技術だ。コンピューターやサーバー内の基板には数多くの電子部品や半導体が搭載されている。電気信号を用いた情報処理は、データ量が多くなれば多くなるほど消費電力量が増えることになる。一方、伝送時のエネルギー損失が少ない光信号を取り扱う回路と融合すれば、こうした課題を解決することができる。データの送受信の高速化といったメリットを享受することも可能になる。
米巨大テック企業は光電融合技術の実用化に重点的に経営リソースを投入し続けてきた。半導体と光学部品を一つのパッケージに組み込む「コ・パッケージド・オプティクス(CPO)」をベースとするネットワークスイッチについては、米ブロードコム<AVGO>が昨年に新製品を発表した。これに続く形で、エヌビディア<NVDA>もCPOベースのネットワークスイッチの本格的な量産開始を今年に入り公表している。
光電融合技術は基板同士の接続で適用された後、チップレット同士、チップ内部の伝送に導入が進む見通しだ。日本国内ではNTT <9432> [東証P]が次世代情報通信基盤「IOWN(アイオン)」を推進するうえで、光電融合デバイスを重要技術として位置づけており、中核機器の生産にブロードコムなどが参画している。光通信においては住友電気工業 <5802> [東証P]や古河電気工業 <5801> [東証P]、フジクラ <5803> [東証P]といった電線大手が要素技術を蓄積してきた。
半導体関連企業に目を転じると、信越化学工業 <4063> [東証P]は光電融合技術に不可欠なSOIウエハーを供給する。フォトレジストで世界トップ級の東京応化工業 <4186> [東証P]は東京科学大学とともにUVナノインプリントを用いたシリコンフォトニクス半導体プロセスを開発。昨年2月に子会社化したドイツ社の技術も生かして光電融合関連の需要拡大に対応する構えだ。もちろん、次世代の技術領域で飛躍が期待できる企業はこれら大手ばかりにとどまらない。
●デクセリやQDレーザに注目
デクセリアルズ <4980> [東証P]はディスプレー向け光学材料などを提供する。今年5月に中期経営計画を更新。データセンターの建設ラッシュを背景に光半導体需要が想定を大きく上回って拡大しているとし、フォトニクス事業の29年3月期収益計画を引き上げた。ハイエンドスマートフォン向け精密接合用樹脂や形状加工異方性導電膜(ACF)が好調に推移するなか、光半導体関連事業の中期的な成長期待は根強い。9月半ばから10月上旬にかけて株価は戻り歩調を続けた。
QDレーザ <6613> [東証G]は最先端の半導体レーザー技術を強みとし、光電融合のキーデバイスとされる量子ドットレーザーの量産化に成功。高温でも安定して性能を発揮でき、高密度実装が可能な光源としてデータセンターの半導体チップ間の光配線向けなどで活躍が想定されている。新基準のTOPIXにグロース上場銘柄から採用され、ファンド経由の資金流入に伴う持続的な株高が期待されている。
湖北工業 <6524> [東証S]は昨年12月、子会社による単結晶PLZT(鉛とランタン、ジルコニウム、チタンの酸化物)薄膜ウエハーの販売開始を発表。光導波路に用いた超高速光スイッチをAIデータセンターに活用することで、低消費電力化が可能になるという。26年12月期の最終利益は前期比54%増と大幅増益で2期ぶりの最高益更新を計画する。
精工技研 <6834> [東証S]は光コネクターの研磨機が世界のデファクトスタンダード機としてトップシェアを誇り、光部品の端面形状測定器などに展開。光製品分野ではCPO関連の技術開発に注力している。27年3月期は売上高が前期比36%増、最終利益は同48%増と大幅な増収増益で連続最高益更新を予想。新基準のTOPIXの構成銘柄に採用された。
●オプトランやシグマ光機も要マーク
オプトラン <6235> [東証P]は光トランシーバー向け光部品の製造に使用される光学薄膜成膜装置を手掛ける。光通信事業領域の受注は高成長を続けており、26年12月期の経常利益は前期比2.3倍の74億円と業績の急回復を計画。今後のCPOの普及拡大を見込み、シリコンフォトニクス事業の早期立ち上げに注力しており、光電融合関連での需要の捕捉に邁進している。
santec Holdings <6777> [東証S]はCPO向けの高出力波長可変光源を開発。複数の導波路への光の分岐の必要性から、デバイス評価における高出力光源の需要に対応する製品で、研究開発から量産評価まで幅広く活用できるという。27年3月期は2ケタの増収増益で連続最高益更新を計画する。
シグマ光機 <7713> [東証S]はレーザー用光学関連部品を主軸として事業を展開する。光電融合向けには製造装置・検査装置用のミラーや球面レンズ、調芯システムなど高精度位置決め用途の自動ステージの需要が増加し、9日に通期業績予想の上方修正を発表。同日に株価はストップ高に買われた。
冨士ダイス <6167> [東証P]は超硬合金製の工具で国内最大手。半導体製造装置向けの精密ガイドレールやガラスレンズ成形用金型などで技術力を発揮しつつ、CPO向け光電融合コネクター金型の開発に取り組んでいる。
ザインエレクトロニクス <6769> [東証S]はファブレス半導体企業として特定用途向け標準品とともに、AIデータセンター用サーバー向け光半導体の開発を担う。CPOに対応するソリューションも来年にサンプル提供する計画だ。
このほか関連銘柄として光電融合分野での高精度加工と成膜を実現する装置群を持つサムコ <6387> [東証P]や、光デバイス技術で高い競争力を持つ浜松ホトニクス <6965> [東証P]、光電融合技術を使ったブロードコムのスイッチの部品に関して、電子部品実装ロボットによる実装に対応するFUJI <6134> [東証P]などをマークしておきたい。
株探ニュース