【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ あるべき未来を描けるか? 企業の “成長ストーリー”を読み込む!
「あるべき未来を描けるか? 企業の “成長ストーリー”を読み込む!」
●企業の将来ビジョンが投資家をつなぎとめる
投資する際、銘柄を選ぶために経営計画書をお読みになっているだろうか。私は職業上、経営計画書が発表されたら反射的に目を通すことにしている。しかし、すべてを精読するのはまず不可能だ。そのため、主力企業やマークしている中小型企業が中心となるのだが、残念なことに主力企業の経営計画書であっても、なかには「読むのが時間の無駄」と思えるようなものも少なくない。
どんな内容だとそうなるのか。新味が乏しく、退屈な内容だと、どうしても「時間の無駄だった」となってしまう。それらに共通するのは、前回の発表と似通った内容であること。そして、売上目標について「7~10%の成長を目指す」などと漠然と記載していても、どのようにしてそれを達成するのか、具体的なものが見えてこないことだ。
いまは明日なにが起きるか、誰も判断できないほど不透明感は強い。そのため、具体的な数字をあげるのが難しいことは理解できる。それでも、投資する立場からはなるべく裏付けのある具体的な数字を示してほしいし、それを達成する方策として「インドでの出店数を現在の年間20店舗から50店舗に増やす」といった目標を示してもらいたい。
でなければ、将来のあるべき姿から逆算して中長期計画を作成する「バックキャスティング」の計画書を策定・発表してほしい。それならば投資家も具体的なストーリーを描きやすく、投資もしやすくなる。同時にそれは、投資家をその企業につなぎとめておくロープにもなる。中長期のあるべき未来が明るい風景として描かれていれば、投資家はそれに引きつけられ、株を長期に保有しようとするだろう。
●首席評価のOLCの「長期経営戦略」
なお最近では、中長期計画が語る未来ストーリーは、3~5年の中長期ではなく、10年先の未来を描いてみせるものが増えつつある。この点は高く評価できるし、当然株も長期で保有する気になる。また、ほとんど変化がなさそうに見える中長期経営計画の策定とその内容にも、精査すれば変化はしっかり訪れているものもある。今回は中長期計画の中で私が最も評価するものをひとつご紹介しよう。
それが、オリエンタルランド <4661> [東証P]の中長期経営計画だ。いや、正確には「長期経営戦略」になる。同社は2022年4月27日に「2030年に目指す姿」と題して中期経営計画を発表している。それからすでに4年になるが、まだ2030年が来ない段階で、昨年4月28日には「2035 長期経営戦略」を発表したのだ。2035年は昨年4月の時点では10年先のこと。それに向けて歩み始めるための経営計画(戦略)であり、私が読んで感心したのもそれになる。
内容を逐一紹介している紙幅の余裕はないので、興味のある方はオリエンタルランド社のサイトをご覧いただきたい。私が感心したのは、2035年までに達成を予定している「新たな収益モデルの確立」として紹介されている施策だ。スペース・マウンテンと周辺エリアの一新(投資額705億円、27年完成予定)や、所有するホテル群への新規ホテルの追加、28年度就航予定のクルーズ事業(船体2900億円、予備費400億円を予定)といった戦略が並ぶ。もちろん、計画どおりに戦略が実行されるとは限らない。しかし、かなり明確に同社が今後10年で行おうとしていることが分かるのではないか。
株価にもプラスに作用するだろうと見ているものの、同社株をネガティブにみている投資家も多く、株価が下がる方に賭けるカラ売りの残高と、上がると見込んでいる買い残高は拮抗している。しかし、株価はこのところ上昇基調であり、前週末16日には年初来高値を更新している。下落を期待している投資家(といっても信用取引をしている投資家になるが)には悪いが、私の見立てでは、株価は続伸する確率が高い、となる。
2026年10月16日 記
株探ニュース