明日の株式相場に向けて=崩れるAI・半導体株にCTA主犯説、レンジ相場継続の兆候も
22日の東京株式市場で、日経平均株価は大幅反落。寄り付き直後こそプラス圏に浮上する場面があったものの上値は重く、やがて一本調子の下げとなった。終値は前日比1713円安の6万2907円と安値引け。7月30日以来の低水準となった。AI・半導体関連株が下値を探った半面、プライム市場の値下がり銘柄数は52%程度にとどまり、ソフトウェア関連や内需・ディフェンシブ系が堅調に推移したほか、プログラム言語「PHP」の重大欠陥が判明したことを受け、サイバーセキュリティー関連株が一斉高となった。
韓国総合株価指数(KOSPI)や台湾の加権指数をみると、この日は日経平均と同じような右肩下がりの売られ方となっている。メタ・プラットフォームズ<META>が米株市場21日引け後に発表した26年7~9月期(第3四半期)決算は、売上高が市場のコンセンサスを上回り、設備投資計画については従来のレンジ予想の下限を引き上げた。種類株発行による資金調達策を明らかにするなど、AI分野での積極的な投資意欲を示す格好となり、時間外取引で同社株は大幅高となった。一方、半導体製造装置のラム・リサーチ<LRCX>は好決算を示しながらも市場の高い期待値を下回り、時間外取引で株価は急落した。市場では「両社とも決算はポジティブな内容だったが、コアウィーブ<CRWV>が発端となった信用不安を払拭するまでには至らなかった」(国内アセットマネジメント)との声が出ている。
韓国・台湾株と相似形をなす日経平均の下げを主導した主体として、市場ではCTA(商品投資顧問業者)の存在を指摘する向きが多い。トレンド・フォロー(順張り)型で、アルゴリズムを活用した機械仕掛けの売買を行うことで知られているが、「直近のAI・半導体関連株の戻りの鈍さゆえ、トレンド転換の兆候を確認しエクスポージャーを減らした可能性がある」(国内証券)という。AI・半導体関連株の低迷にはネオクラウド勢の財務不安と、これに伴うクレジット市場の変調が一因となっている。とはいえ、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は16日までの8日続落後、下げ止まっている。この先のハイパースケーラー決算の結果次第で、AI・半導体関連株を巡る悲観の揺り戻しが加速するシナリオが消えてなくなったわけではない。
需給面とは別にファンダメンタルズの観点でこの日の相場の悪材料となったのが、中東情勢である。米国はサウジアラビアにある大使館の一部職員に退避命令を出した。更に米紙ニューヨークタイムズは、米国が中間選挙後、イスラエルとともにイランへの攻撃再開に向けた具体的な計画を策定していると報じている。中東からの原油供給量については回復に向かっている模様だが、それでも相場は高止まりした状態だ。急上昇した原油輸送コストもここに来て取り沙汰されており、世界各国において物価が上振れする恐れが高まっている。
政治面では11月3日の米国の中間選挙に市場の関心が向かっているが、10月27日にイスラエルの総選挙があることにも留意が必要だ。選挙の結果については予断を許さない状況で、連立交渉が難航し、その結果再選挙が実施される可能性も指摘されている。フランスの暴動ではマクロン大統領の支持率が低迷し、ルペン氏が次期大統領として有力視されるようになった。財政拡張路線に向かうとの見立てからフランス国債価格が下落(金利は上昇)し、仏長期金利は5%のフシ目を突破している。
これとは対照的に米長期金利は一時5.3%台をつけた後、上昇一服となっている。リスク回避の米国債買いが入ったゆえではあるが、それでも米国債相場の予想変動率を表すMOVE指数をみると、10月5日の114をピークに低下基調となり、足もとでは100の大台を明確に割り込んでいる。指数自体はなお高水準にあるものの、米国債のボラティリティが順調に低下し、機関投資家による米国債への選好姿勢が回復すれば、社債市場は安定化し、金融マーケット全体に広がった動揺も収束に向かうと期待される。加えて、CNNが公表する「恐怖と強欲指数(Fear & Greed Index)」をみると、19日に「極端な恐怖」の域となる21まで低下した後に下げ止まり、21日時点では「恐怖」のゾーンにある29となっている。4月以降は25まで低下した後に持ち直すといった動きを繰り返している。機械仕掛けの株売りへの付き合いを余儀なくされた一日だったが、米国市場において悲観ムードが一段と後退に向かえば、時間差で東京市場にも好影響が波及することになるはずだ。その際には日経平均の底入れと6万から7万円の間のレンジ相場の継続という将来がみえてくる。
日程面では国内では9月の全国消費者物価指数が寄り前に公表される。取引時間中は午後に9月全国スーパー売上高と9月全国百貨店売上高が公表される予定。企業決算は、ファナック<6954>や東京製鐵<5423>などが予定している。海外ではドイツやユーロ圏、米国の10月製造業PMIとサービス業PMIが発表される。タイ市場は休場となる。(長田善行)