AI関連株動揺の陰でマネー誘引、高成長「ITコンサル」関連6銘柄 <株探トップ特集>
―波乱相場で頑強ぶり発揮、サイバーセキュリティー対策強化の潮流も追い風に―
AI・半導体関連株が再び乱気流に巻き込まれている。米ハイテク株安を受けて日経平均株価は30日に一時1900円を超す下げとなった。荒い相場環境が続くなか、にわかに脚光を浴びているのが、「ITコンサルティング」関連株である。主力企業の好決算を契機に投資マネーを惹きつけており、波乱相場のなかでも上昇基調を維持する銘柄が散見される。直近では不正アクセスによる個人情報の流出事案が相次いでおり、情報セキュリティー対策のニーズも事業の追い風になると期待されている。
●企業のソフトウェア投資は拡大中
ネオクラウドの米コアウィーブ<CRWV>の社債利回りの急上昇を受けて10月の株式市場は激しく動揺し、15日の日経平均は前営業日比3318円安と下げ幅として過去3番目の大きさとなった。その後は落ち着きを取り戻し、米国の生成AI大手アンソロピック<ANT>がIPO(新規株式公開)に向けた目論見書を26日に公表すると、AI関連株への物色意欲が再燃。一時的に戻り歩調を示したものの、7~9月期決算が市場予想を下回ったアルファベット<GOOG>の株価が急落し、水を差す形となった。日経平均は月間では3463円安となった。
米国ではAI・半導体関連株にとどまらず、ソフトウェア関連株にも下押し圧力が掛かるようになっている。AI脅威論の台頭で年始から売り込まれ、その後成長性を巡る過度な悲観が後退した局面で出遅れセクターとしてSaaS関連は物色人気化した。ところが業務管理のクラウド型プラットフォームを提供するサービスナウ<NOW>が28日に発表した7~9月期決算は1株利益が市場予想を下回り、利益率に対しても物足りなさが意識された。発表を受け29日のサービスナウの株価は27%近く急落し、セールスフォース<CRM>など他のソフトウェア関連株に売りが波及。生成AIの進化により、SaaSのビジネスモデルの差別化が困難になっているとの指摘もあり、各社の利益創出力への懸念が広がりつつある。
しかし30日の東京市場で、米国のソフトウェア関連の株安による影響は度合いとしては比較的軽微なものにとどまり、株価指数とは対照的に頑強ぶりを発揮する銘柄が目立った。27年3月期の業績・配当予想を上方修正した野村総合研究所 <4307> [東証P]が反発。総合コンサル大手のベイカレント <6532> [東証P]は15日発表の8月中間期決算が大幅な増収増益となり上値指向を強めていたが、30日は逆行高となり上場来高値を更新した。コンサル関連ではビジネスブレイン太田昭和 <9658> [東証P]も新値追いとなっている。
10月1日に発表された日銀短観(9月調査)によると、2026年度のソフトウェア投資額(全規模合計)は製造業、非製造業ともに前年度比10.3%増で、伸び率は25年度(製造業で5.1%、非製造業で8.8%)を上回る水準となっている。特に中堅企業、中小企業の伸びが顕著で、中堅企業の製造業は18.0%増、中小企業の非製造業は29.2%増となっている。企業のDXやAIの導入による業務効率化ニーズは根強いものがあり、短観の数字にも表れていると言えるだろう。
そのような企業側の需要にきめ細やかに対応するのがITコンサルである。 SaaSの差別化が困難になったとしても、企業側はソフトウェア投資を加速させている。企業側に寄り添って具体案を策定し、システムを提供するビジネス自体は今後も成長が期待される。加えて、不正アクセスにより個人情報の外部への流出を発表する企業が頻発する昨今、 サイバーセキュリティー対策の強化に取り組む企業が増加すれば、事業環境には更なる追い風が吹くことになる。これらの観点をもとに、中期的な成長が期待できるITコンサル関連株を6銘柄ピックアップしてみた。
●成長性の評価機運高まるITコンサル関連6銘柄
◎シグマクシス・ホールディングス <6088> [東証P]
三菱商事 <8058> [東証P]のIT・コンサルサービス事業の強化を目的に、同社とRHJインターナショナル(旧リップルウッド)が08年に設立した合弁会社が源流。上場後しばらくして三菱商との資本関係はなくなり、その後21年には伊藤忠商事 <8001> [東証P]と資本・業務提携に踏み切った。インターネットイニシアティブ <3774> [東証P]やTISI <3626> [東証P]も資本参加している。今年4月にコアコンセプト・テクノロジー <4371> [東証G]の株式取得を発表。DX分野での協業について検討を進めつつ、シグマクシスは27年3月末までにCCTについて、持ち分法適用となる水準まで議決権比率を高めたいとの意向を示す。27年3月期の最終利益は前期比12%増で2期ぶりの最高益更新を計画。第1四半期(4~6月)は一部顧客での中東情勢の影響などが出て大幅減益を余儀なくされた結果、株価の出遅れ感は強まった。AI基盤整備に関連する案件を含め、顧客数の持続的な拡大が期待されている。
◎ULSグループ <3798> [東証S]
ITコンサルとしてデジタル戦略の立案や業務・システム変革の支援などを展開。20年以上にわたり情報システムの開発・保守を手掛けてきたみずほ証券に対し、米コグニションAI社の自律型AIソフトウェアエンジニア「Devin」の導入を支援するなど、厳格なセキュリティー要件が求められる金融機関向けのプロジェクトでの実績を重ね、日本総合研究所ともAIを核としたパートナーシップを締結している。コンサルタント数を順調に増やし成長への人的投資を進めつつ、27年3月期は2ケタの増収増益で連続最高益を計画。PERは13倍台と割高感は乏しい。
◎テラスカイ <3915> [東証P]
セールスフォースと提携し、クラウドシステムの導入支援を展開。アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)などのソリューションも提供し、上場子会社にBeeX <4270> [東証G]やキットアライブ <5039> [札証A]を持つ。量子コンピューター関連株としても位置付けられている同社だが、27年2月期第2四半期累計(3~8月)決算はセールスフォースやAWSを中心にソリューションの底堅い需要を支えとして前年同期比2割の増収で、最終利益は2.2倍化と高成長を果たした。NTTデータとは金融領域で協業実績を着実に作りあげ、今後は法人・公共インフラへと展開する方針。11月に顧客企業のセールスフォース開発を支援するAI駆動開発プラットフォーム「BLADE SAYA(ブレード・サヤ)」の提供を始め、顧客の開発効率向上を後押ししていく。顧客の経営変革をサポートするコンサルティング統括本部の新設を8月に発表した。
◎セカンドサイトアナリティカ <5028> [東証G]
金融から小売・流通など幅広い業界において、データ分析を通じた経営支援を展開し、AIプロダクトも提供。AIプロダクトの主軸は「R2Engine」で金融機関を主要顧客とし、与信や決済の不正検知に活用されている。売上高は堅調に拡大しており、コンサルに関しては大手企業へのデータ利活用支援や戦略最適化支援が順調に進捗。AX(AIトランスフォーメーション)導入支援案件も増加している。26年12月期は2ケタの増収増益を計画。2月にはジェーシービー(JCB、東京都港区)とキャッシュレス決済事業者向けの加盟店審査システムの構築に向けた共同事業契約を締結した。
◎Laboro.AI <5586> [東証G]
企業ごとに特有の経営課題を踏まえた「カスタムAI」の開発とコンサルティングサービスを展開。今年6月までの9カ月間累計の業界別売上高構成比は自動車が24%と最も高く、消費財・小売業界が17%、半導体が16%と続く。新規顧客が拡大し、26年9月期は前の期比で36%の増収、99%の営業増益を見込むなど、成長ロードをまい進。30年9月期までの売上高の年間平均成長率42%以上、営業利益は53%以上を計画する。人員の拡充を進めるとともに、グループ会社の外国人エンジニアの活用による海外への進出にも意欲を示している。
◎インフキュリオン <438A> [東証G]
金融・決済関連でのプラットフォームの提供に加え、コンサルも手掛ける。三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]傘下の三井住友銀行と資本・業務提携を結び、同行のデジタル総合金融サービス「Trunk」に参画。次世代カード発行プラットフォーム「Xard」や請求書支払いプラットフォーム「Winvoice」において、事業者間の決済処理金額が増加し、従量型のストック収入が好調に推移している。27年3月期の売上高は前期比で18%増と2ケタの伸びで、営業利益は36%増。連続最高益更新の計画となっている。75日移動平均線を下回る足もとの株価水準には値頃感も意識される。
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