概要・株価
チャート
ニュース
かぶたん ロゴ
PR

防災庁発足で熱視線、成長ロード駆け上がる実力派「防災DX」関連株 <株探トップ特集>

特集
2026年10月26日 19時30分

―「デジタル技術の徹底活用」受け高まる活躍期待、新サービスも続々登場―

防災庁が11月2日に発足する。内閣直属の組織で、高市早苗首相をトップに初代の防災大臣は細野豪志復興大臣が兼務する予定だ。防災庁は、将来的に高い確度で発生が予想される巨大地震への対応、大規模水害をはじめ頻発化・激甚化する自然災害などに対しての司令塔機能を担う。新設される防災庁では「デジタル防災技術の徹底活用」(防災庁設置準備室)を掲げており、今後「防災DX(デジタルトランスフォーメーション)」を推進する企業が大きな役割を担うことになりそうだ。活躍素地が広がる「防災DX」関連銘柄を探った。

●「誤報」が呼び覚ます備えへの関心

今月16日、気象庁が千島列島で巨大地震が発生したとして緊急地震速報を発表した。スマートフォンのアラームが各地でけたたましく鳴り響き、多くの市民が大地震の到来に身構える事態となった。気象庁によると、今回の原因はシステムが地震の規模を「マグニチュード9.9」と過大に推定したことによってシステム誤認が起きたためと判明。結果として今回は誤報に終わったが、「もしこれが現実の巨大地震であったなら」という仮定は、国民に強い緊張感を与えている。今回の事例は、システムの誤作動に対する課題を浮き彫りにすると同時に、日頃からの防災意識を再確認し、不測の事態に備える重要性を改めて投げかけることになった。

防災DXとは、デジタル技術を活用し、事前防災をはじめとする防災・減災や災害対応(発災時の対応、復旧復興、被災者支援)などを高度化する取り組みだが、さまざまな産業分野に波及しそのすそ野は極めて広い。今回は大失態を演じることになった緊急地震速報だが、これも防災DXのひとつだ。もはや現代における防災体制の構築は、デジタル技術なくしては成り立たない。

●成長分野としても大きな魅力

防災分野においては官民の連携強化が重要視されており、2022年には、デジタル庁の声がけにより「防災DX官民共創協議会」が発足している。同協議会には今年9月末時点で120の地方公共団体と505の民間事業者が参画しており、自治体との連携を強める事業者も増加している。昨年6月に策定された「第1次国土強靱化実施中期計画」においても「デジタル等新技術の活用による 国土強靱化施策の高度化」が掲げられており、防災DX関連銘柄を取り巻く事業環境は極めて良好だ。

最近でも、今月14日にエムティーアイ <9438> [東証P]が、防災業務支援システムの自治体向け提供の開始を発表。また、地盤調査改良とITコンサルが主力のSAAFホールディングス <1447> [東証G]が、1日に「防災ソリューション事業推進プロジェクト」を発足させるなど、成長期待が高まる防災DX分野に向けて展開領域を拡大する企業が相次いでいる。

防災庁でも、災害対応の高度化・効率化に向けたデジタル防災技術の活用基盤・環境整備や、新総合防災情報システム(SOBO-WEB)を中核とした「防災デジタルプラットフォーム」の強化・利活用などデジタル防災技術の徹底的な活用を目指すとしており、民間の防災DX分野への経済的な波及効果に期待は大きい。今後、防災庁が災害対応の司令塔を担い、デジタル庁が情報基盤と実装を担う形での連携が見込まれている。

細野氏は9月の復興大臣・内閣府特命担当大臣(防災)の就任時記者会見で、防災分野でのデジタル技術の重要性を強調。日本が蓄積してきた優れた防災技術について「近年、ドローンや衛星、AIを活用した技術など、新たなサービスも次々生まれている」とし、海外展開も見据え成長戦略としても後押しをしていく構えを見せている。防災DX関連銘柄は、国土強靱化という国策の追い風に加え、成長分野としても大きな魅力を内包している。

●IIJは「公共安全モバイルサービス」展開

インターネット接続サービスで先駆のインターネットイニシアティブ <3774> [東証P]は、災害対応でも技術力を発揮している。同社は、災害発生時に自治体や消防、警察などの公共機関が、安定した通信を実現するための仕組み「公共安全モバイルサービス」を展開。災害時優先電話に対応するほか、市販のスマホを利用できるため平時の業務にも活用でき、必要なアプリケーションを組み合わせて用途を柔軟に拡張できるという利便性の高さが評価を得ている。また、行政と地域の医療介護職によって専門職間の情報連携を実現する「電子@連絡帳サービス」のオプション「災害時連携」なども提供しており、緊急時の連携対応にも余念がない。サイバーセキュリティー関連の一角としても活躍期待が高く、株価は高値圏でもみ合っている。27年3月期の連結営業利益は、前期比10.5%増の385億円を計画し8期連続で最高益を更新する見通しだ。

●サイエンスA、「バディコム」でニーズ捉える

サイエンスアーツ <4412> [東証G]は、非常時の通信手段としてフロントラインワーカーをつなげるライブコミュニケーションプラットフォーム「Buddycom(バディコム)」を展開している。バディコムは、スマホやタブレットにアプリをインストールすることで、トランシーバーや無線機のように複数人と同時コミュニケーションを可能にするサービスで、9月には名古屋市防災危機管理局が約1000IDを導入したと発表。8月現在で、官公庁・自治体・消防などにおいて、前年比倍増の100団体以上で導入されている。同社の27年8月期の単独営業利益は、前期比20.0%増の3億1400万円を予定しており、3期連続で最高益を更新する計画だ。株価は、直近高値の1576円をつけた後は1300円近辺まで下押す展開も、好業績を背景に切り返しに期待。

●活躍領域広げる能美防災

防災DXへ注目が集まるなか、総合防災機器大手の能美防災 <6744> [東証P]に向かう投資家の視線は熱い。8月には「能美DXビジョン2030」を策定し、防災ソリューション企業として大きく羽ばたこうとしている。9月30日、子会社の明星電気がカナダ企業と超小型成層圏観測プラットフォームに関して協力することで合意したと発表。気象、災害対応及び安全保障分野への応用を目指す構えだ。また、5月1日からは東京都渋谷区において、全国初導入となる「避難所開設・運営支援アプリN-HOPS(エヌ・ホップス)」の運用を開始するなど活躍領域を広げている。火災報知設備や消火設備なども好調で、27年3月期通期の連結営業利益は前期比3.5%増の190億円と3期連続の最高益更新を予想。株価は、今月2日につけた3855円を底に下値を切り上げる展開で、現在は4200円近辺に位置している。

●オプテクスG、「冠水クイック・モニタリング」提供

各種センサー大手のオプテックスグループ <6914> [東証P]は、洪水リスクに備える冠水センサーも手掛ける。今年も各地で水害が発生したが、同社は浸水や冠水の危険性を迅速に把握する「冠水クイック・モニタリング」を提供。浸水や冠水しやすい場所で水位が上がってきたことをメールで情報発信し、スマホなどで受け取ることができる。今夏は豪雨などにより、交差する道路や鉄道の下を通過する「アンダーパス」の冠水で、車が水没する事故が多発し大きな関心が向かったが、この遠隔監視でも「冠水クイック・モニタリング」が活用されている。26年12月期連結営業利益は、前期比28.8%増の105億円を予想し、前期に続き最高益を更新する見通しだ。国土交通省によると「アンダーパス」は全国で約3800カ所(25年3月時点)存在するとしており、活躍素地は大きい。株価は下値模索の展開だが、目を配っておく必要がありそうだ。

●TDCソフトは「避難所チェックインシステム」

TDCソフト <4687> [東証P]は独立系システムインテグレーターで、防災分野では避難所運営を支援する「避難所チェックインシステム」を開発している。同システムは、避難所へのチェックインをスマホで行えるようにし、電源やネットワークが遮断されている状況下でも稼働。避難所を運営する職員の事務負担を軽減し、リアルタイムに避難者情報の登録・管理、防災データの共有、活用を支援するものだ。サイバーセキュリティーでも高実績を誇り、不正アクセスによる個人情報の漏えい事件が多発するなか、脆弱性診断などでも力を発揮している。株価は6月につけた年初来安値846円で底値を確認し、上値追い姿勢を鮮明にしている。現在は、全体相場の波乱にも動ずることなく1200円近辺に位置しており、1月6日につけた年初来高値1387円が視界に入り始めている。27年3月期連結営業利益は、前期比8.5%増の56億円を計画し、最高益更新を継続する見通しだ。

●ドーン、星和電、ソリトン、ビプロジーにも注目

ドーン <2303> [東証S]は地理情報システム事業を主軸に、独自のクラウドアプリケーションを多角的に提供するが、防災分野にも注力するなど幅広い分野に活躍の舞台を広げている。エンドユーザーの8割以上は官公庁であり、自治体や警察が防災・防犯情報を配信するスマホアプリ、災害対策本部での情報収集を支援する「DMaCS(災害情報共有サービス)」などを展開している。今月8日には、27年5月期第1四半期(6~8月)の単独決算を発表。既存アプリの機能追加などが奏功し、営業利益段階では前年同期比27.0%増の1億100万円で着地。通期業績予想は、前期比2.3%増の6億7000万円と微増ながらも最高益更新の見通しだ。

アンダーパスに絡んでは、冠水警報表示システムを手掛ける星和電機 <6748> [東証S]にも目を向けておきたい。水位レベルの設定により、「冠水注意」「冠水進入禁止」などを自動表示し、キセノン灯の点灯によりアンダーパス利用者へ注意喚起を速やかに行う。また、施設管理や自然災害の状況確認、事故・犯罪の防止など、あらゆる現場のモニタリングに活用されている遠隔監視DX「S-BOX」シリーズも展開。100ボルト電源に差し込むだけでモニタリングを開始できる手軽さが好評だ。

そのほかでは、災害時の現場状況の把握・指揮・監視をサポートするリアルタイム映像伝送システムを提供するソリトンシステムズ <3040> [東証P]、クロノロジー型災害情報共有システム「災害ネット」を展開するBIPROGY <8056> [東証P]などにも注目しておきたい。

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集