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明日の株式相場に向けて=逆流するAI相場「波乱の第2幕」に備えよ

市況
2026年11月4日 17時30分

きょう(4日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比893円安の6万2188円と大幅続落。大引けは6万2000円近辺で着地したものの、取引時間中は3000円超の深押しで6万0030円と6万円大台割れ寸前まで叩き込まれる場面があり、大波乱といってよい相場つきであった。とはいえ、きょうは陰線とはいえ長い下ヒゲを形成した。これがトレンド転換を示唆するのかどうかだが、結論から言えば楽観はできないといえる。市場関係者からは売り材料出尽くしという声も聞かれたが、そもそも中間選挙の結果が売り材料の本丸というような次元ではないように思われる。短期リバウンド狙いは投資作戦として十分成立するが、大局的に戻り売りの相場から脱却するのは難しそうだ。

米中間選挙は下院で民主党の大勝は半ば予想されていたものの、これと併せて上院も過半数の議席を確保した。もちろんマーケットは事前コンセンサスとしてある程度は織り込んでいたはずだが、トランプ政権に吹きつける向かい風の風速がここまで強いものとは見込んでいなかったフシがある。とりわけブルーウェーブを強く印象づけたのはテキサス州とオハイオ州だ。両州は連邦議会選(上院)だけでなく、州知事選も民主党候補が勝利したが、いずれもこれまでトランプ政権の強固な支持基盤であり牙城と表現しても過言ではなく、AIデータセンターの集積地、いわゆる“データセンター銀座”としても知られている。

今回の選挙で民主党支持に看板が付け替えられ、今後は規制強化の動きを背景に、事実上AIデータセンター建設がままならぬ可能性がでてきた。「電力料の値上がりなどで生活に支障が生じ、怒り心頭の住民の心情を民主党は追い風としていた」(ネット証券アナリスト)という指摘がある。データセンターは選挙における争点にほかならなかった。そうなると、今後は連邦ベースではなくても州ベースの規制が重い足かせとなる。この流れは局地的なものでは収まらない。後場寄りの東京市場で、半導体や光デバイス関連を中心に「AIのツルハシ関連」が下げ幅を一気に広げたのはそうした思惑が働いたとみられる。

当然ながら売り方の暗躍もあった。日経平均6万円のプットオプションの「売り」が厚く、そこを踏ませに行く仕掛け的な売り浴びせが観測された。こうしたケースではプットオプションの売り手による先物のヘッジ売りを誘発することによって、自滅的な負の連鎖で下げが加速するパターンに陥りやすい。しかし、きょうのところはこの天下分け目の攻防ラインを徳俵で耐え抜き、その後は後場取引後半に急速に下げ渋った。 AI・ 半導体関連株に関しては急落しても逆張り指向の投資家は多く、現状は総弱気には程遠い。急勾配の下げはリバウンドの弾力も強くなるのが道理で、「一度恐怖を代償に買い向かって利を得ると、勝ち逃げはせず必ず挑戦を繰り返すのがトレーダー心理」(中堅証券ストラテジスト)という。しかし、信用の買い残の整理が進捗しない状況においては、セリングクライマックスに至らないという認識も必要だ。つまり、全体相場の底入れはまだ先ということになる。

個別ではやはりキオクシアホールディングス<285A>の値動きに投資家の視線が集中している。きょうはフシ目の1万円大台をついに割り込む場面があった。「信用の投げも出ているが、それ以上に信用枠を使って買い向かう新たな個人マネーの動きが目立つ」(ネット証券アナリスト)という。アナリストコンセンサスによる今期最終利益予想からPERは3倍前後という水準であり、これを拠りどころに今は望外の大バーゲンセールと見る向きが多いのもうなずける。会社側も決算発表に際し「半導体は明確にスーパーサイクルに入っている」との認識を強調し、今後もNANDフラッシュの需要は飛躍的な伸びが見込めると太鼓判を押しているのだ。

だが、これはAIデータセンター の建設ラッシュというシナリオが前提として横たわっている。このシナリオに齟齬(そご)が生じた場合は、投資マネーの拠りどころとなっている利益が伸びているから、バリュエーションとの対比で株高は妥当であるという論理も砂上の楼閣と化す可能性がある。当欄でも繰り返し述べてきた業績バブルの崩壊を警戒しなければならない。米コアウィーブ<CRWV>の信用リスク増幅にともなう資金調達難は氷山の一角であって単発で片づけられる問題ではなく、雪だるまと化せば金融も揺るがす。テクノロジーとしてのAI革命そのものは全く否定し得ない。しかし、商業的に巨額投資に見合う最終需要が担保されていない。近い将来「あの時株価が上がらなかったのは、逆業績相場の初動であったから」という結論に至る可能性を心に留めておかなければならない。

あすのスケジュールでは、日銀金融政策決定会合の議事要旨(9月17~18日開催分)や11月の日銀当座預金増減要因見込みがいずれも朝方取引開始前に公表される。前場取引時間中に10年物国債の入札が行われる。また、午前中に10月の車名別新車販売(自販連)、10月の軽自動車販売(全軽自協)が発表される。個別に主要企業の決算では日本製鉄<5401>、ソニーグループ<6758>、太陽誘電<6976>、トヨタ自動車<7203>、任天堂<7974>、日本郵船<9101>などが26年4~9月決算を発表する。海外ではインドネシアの7~9月期国内総生産(GDP・速報値)が開示されるほか、マレーシア中銀、ノルウェー中銀などが政策金利を決定する。イングランド銀行(英中銀)もこの日は金融政策委員会の3日目にあたり政策金利を発表する。米国では週間の新規失業保険申請件数や7~9月期の労働生産性指数(速報値)が開示される。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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