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ウイルプラスH Research Memo(6):一部ブランドのモデル末期のマイナス影響をカバーして増収増益で着地

特集
2018年10月9日 15時06分

■業績の動向

1. 2018年6月期決算の概要

ウイルプラスホールディングス<3538>の2018年6月期決算は、売上高25,770百万円(前期比9.3%増)、営業利益1,261百万円(同4.3%増)、経常利益1,255百万円(同4.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益815百万円(同9.6%増)と増収増益で着地した。期初予想との比較でも、売上高、利益ともに計画を上回り、順調な決算だったと言える。

売上高については、アルファロメオ、フィアットの新車販売の好調、ジープ、BMW、MINIの中古車販売の好調、2017年5月に事業譲受したボルボ・カーズ小田原(VC小田原)のフル寄与、ストック型収入であるサービス・その他(保険代理店手数料など)の順調な拡大が増収の主な要因となった。

詳細は後述するがBMWやボルボでは主力車種がモデル末期にあり、新車販売の販売台数や価格において苦戦を強いられた。これをフィアット、アルファロメオ、ジープの新型モデルで補い増収につなげた。同社が進めるマルチブランド戦略の効果が如実に表れた1年だったと言える。

営業利益については、増収に伴う売上総利益の増加(451百万円)により、VC小田原取得などに伴う人件費の増加(102百万円)、減価償却費増加(134百万円)、その他費用増(162百万円、内容は店舗リニューアル費用、ジャガー・ランドローバー事業開始に伴う費用など)を吸収し、前期比51百万円の増益を達成した。

減価償却費の増加は主としてデモカー(試乗車)にかかるものだ。同社は1店舗当たり10台程度の試乗車を抱えている。顧客に試乗の上で納得して購入してほしいという経営思想と、エンジンの多様化により、店舗当たりデモカーの台数が増加してきている。一部ブランドを除き1店舗当たりのデモカーの数は現状からは増えない見通しだが、毎年新デモカーを一定数投入することと、店舗数が増えることから、今後も緩やかに増加する可能性がある。一方でドミナント戦略の活用で費用削減の余地もあるのではないかと考えている。

バランスシートについては、総資産が前期比20.9%(1,957百万円)増の11,312百万円となった。増加の内訳としては商品が前期比33.7%(1,186百万円)増加したことが最も大きい。これは2018年4月のジャガー・ランドローバー湘南の事業譲受や、インポーターの施策によって在庫仕入が増加したことが理由だ。負債の部では長短借入金が合わせて828百万円増加したが自己資本比率は42.4%、デット/エクイティ・レシオは0.53倍であり健全と評価できる財務状況となっている。

キャッシュ・フロー計算書においては、営業活動によるキャッシュ・フローが161百万円の支出となった。内訳を見ると棚卸資産の増加が主たる要因となっている。前述のように、ジャガー・ランドローバー湘南を期末近くに取得したため、販売によって在庫を減らしきれなかったことが影響している。言わば一時的な在庫増であり、懸念の必要はないと考えている。

チェッカーモータースが増収増益を達成の一方、他の2社は増収ながら減益で着地

2. 各社別の業績の動向

(1) チェッカーモータース

チェッカーモータースの業績は売上高12,693百万円(前期比11.3%増)、経常利益698百万円(同28.9%増)と、増収増益となった。期末近くにジャガー・ランドローバー湘南の事業譲受があったものの、既存ブランドの増収効果で吸収し、増益を確保した。

ジープではニューモデルのCompassを中心に新車販売が好調に推移した。また、アルファロメオでもニューモデルのGiuliaが販売を伸ばしたほか、フィアットでは500の限定モデルの販売が好調だった。中古車ではジープの中古車が好調に推移した。

2019年6月期は、期初近くにアルファロメオでは初となるSUVのSTELVIOが投入された。国内ではSUVが人気を集めており、STELVIOの投入は新車販売に貢献すると期待されている。またジープでもWranglerの新モデルの投入が予定されており、こちらも売れ筋モデルとして期待が高まっている。さらに、ジャガー・ランドローバー2店舗(湘南に加え、北九州が10月に新規オープン)の貢献もあり、前期に続いて増収増益が期待される。

(2) ウイルプラスモトーレン

ウイルプラスモトーレンの業績は、売上高9,257百万円(前期比7.7%増)、経常利益358百万円(同9.9%減)と増収減益となった。BMW、MINIともに新車販売台数は前期並みにとどまったが、中古車販売が好調に推移し、増収を確保した。利益面では、BMWにおいて値引幅が拡大して粗利益率が低下した。また、体制強化のための人員増に伴う人件費増加やデモカーの増加に伴う減価償却費増加もあり、経常減益で着地した。

2019年6月期はBMWの主力車種である3シリーズの新型モデル投入が計画されており、これをテコに新車販売、中古車販売を伸ばして、増収増益への転換を図る計画とみられる。

(3) 帝欧オート

帝欧オートの業績は、売上高3,995百万円(前期比8.6%増)経常利益148百万円(同24.4%減)と、増収減益となった。売上高は2017年5月に取得したVC小田原のフル寄与があり、前期比では増収となった。しかし、VC小田原の販売は当初計画に未達だったほか、既存店舗でも売上高が前期比減となった。この大きな要因は、需要と供給のミスマッチだ。主力車種のV60がモデル末期ということで販売が伸びない中、SUVのXCシリーズは人気で数多くの予約を集めた。しかし納期の長期化で2018年6月期の収益には貢献しなかった。

2019年6月期は前期に予約が入っていたXCシリーズの納車が進むことに加え、主力のV60の新型モデル投入が予定されているため、新車販売を大きく伸ばすと期待されている。中古車販売の増加と合わせて増収増益への転換を目指す方針とみられる。

人気・主力4車種の新型モデルや、新規4店舗の寄与で増収増益の見通し

3. 2019年6月期の見通し

2019年6月期について同社は、売上高29,510百万円(前期比14.5%増)、営業利益1,344百万円(同6.6%増)、経常利益1,331百万円(同6.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益850百万円(同4.3%増)と増収増益を予想している。

各社別動向の項で述べたように、2019年6月期はSUV人気に合致した車種や主力車種など4つのニューモデル投入が計画されており、新車販売の押し上げに貢献すると期待されている。

店舗ベースでは、ジャガー・ランドローバー湘南とアルファロメオ大田がフル寄与してくるほか、ジャガー・ランドローバー北九州(仮称)も実質的にフル寄与になるとみられる。同店は2018年10月に正式オープン予定だが今年3月に仮オープンし営業活動も含めて開店準備作業を進めてきている。また、2019年1月には初の東北進出となるポルシェセンター郡山(仮称)のオープンが予定されている。約半期分の寄与となるがこれも売上高の上積み要因として期待される。

利益面では、新規開店にかかる費用(店舗費用、人件費等)の増加や、デモカー関連の減価償却費の増加などが想定されるが、前述の新型モデル投入に伴う増収効果や値引き販売の減少による粗利益率の改善などで吸収し、前期比増益になると予想されている。

弊社では2019年6月期の注目ポイントは1)新型モデル4車種の販売動向、2)ジャガー・ランドローバー2店舗の販売状況、3)ポルシェセンター郡山の立ち上がりと東北進出の手応え、の3点に特に注目している。また、水面下で進んでいるとみられる新たなM&A戦略、マルチブランド戦略、新規出店の進捗についても注視していきたいと考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)

《MH》

提供:フィスコ

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